密やかに伸びやかに

アニメ、PCゲーム、PC関連のニッチな備忘録

トロピカル~ジュ!プリキュア 第40話 「紡げ!みのりの新たな物語(ストーリー)!」 感想

トロピカル~ジュ!プリキュア 第40話 「紡げ!みのりの新たな物語(ストーリー)!」 感想

今のみのりん先輩だから紡ぐことが出来る物語。

トロピカる部の皆と一緒に歩み様々なことを経験してきた今のみのりん先輩だから書くことの出来る物語がある。創作において全てが実体験に基づくものである必要はないと思うが、同時にどこかで見聞きしただけの何一つ自らの経験が伴わないものは、やはりどこかで説得力に欠けてしまうところはあるのだろう。自分の好きや大切なものが反映されたものは、それだけで強みになることだったある。

みのりのパパイアに関する知識は相当のものがあったけど、実際に食べたことのなかったパパイアの実態に迫り、また実際にそれを食してみることで新しく気づけたことや、自分が持ち合わせている知識を更に活かせる視点を得ることも出来ていた。トロピカる部の仲間と一緒にパパイアを知る過程で、一人で考えるだけでは決して得られない知見というか。世界の広がりを体感することも叶ったわけでね。

決して全てが実体験に基づく必要はないし空想めいたファンタジーの世界観はそれを経験することだって困難だ。しかし、今のみのりは普通の人々にとっては絶対体験できないようなね。プリキュアとしてもトロピカる部の部員としても刺激的で彩りに満ちた目新しい経験が連続するような日々を送っている。自分たちにとっての日常が他の人にとっての非日常になることだってある。ならばそれを活かさない手はないのです。

文芸部時代に自らの作品に先輩からダメ出しをされて傷ついたみのりん先輩が、そこから勇気を出して踏み込んだ日々を顧みて、今までの全てがあったから書くことの出来るトロピカってる物語に辿り着いたのも良かったし、みのりん先輩の世界を広げてくれるキッカケをくれたまなつとローラが今回要所で良い立ち回りをしていたのも印象深かったなぁ。

パパイアの花言葉は同胞。太陽の光を浴びて育ち仲良く身を寄せ合って果実を付けるパパイアの如く、みのりん先輩にとっての太陽がまなつとトロピカる部の仲間であること。そんな彼女たちがいてくれたから味わうことが出来た得難き日々を、みのりん先輩が噛み締め自分の糧とし、私たちの物語としてみのりん先輩にとって今一番大事なことに結びつける話運びが爽快でした。

他の誰でもない自分たちにとっての特別を、嬉しくて楽しさに満ちた数々の体験を伝える物語。これからみのりん先輩とトロピカる部の皆が一緒になって紡いでいく物語が、彼女らの先行きを更に明るく幸せに満ちたものになることを願ってやまないのである。登場回を経てトロピカる部とプリキュアとしての活動で自分の心境の変化を感じ取り今回へと至る。ローラとの入れ替わり回も含め、みのりん先輩周りの描写は本当に丁寧になされていた印象で味わい深いのです。

今回はまなつとローラの言動がいつも以上に光っていたなと感じました。まなつの感性に基づく純粋な疑問や質問が頭でっかちなみのりん先輩をハッとさせることも多かったですし、逆にローラは割と客観的な目線でみのりん先輩を見ていて、さり気なくフォローして導いてあげるような立ち居振る舞いをしていたのが印象的で、良くも悪くも二人の持ち味が存分に発揮されていたんじゃないかなと。

元々立ち止まって踏み出せなくなっていたみのりん先輩を、暗がりから光の当たる場所に引っ張り出したのがまなつとローラの二人でしたし、ローラに関しては入れ替わり騒動などを筆頭に、みのりん先輩と絡む場面も多かったので、みのりん先輩の成長に焦点が当たる今回のお話で二人が活躍するのも至極当然の流れと言えたのかもしれません。

当初は感情の起伏に乏しいと言われることもあったみのりん先輩が、今こうして仲間たちに素の姿を見せ弱いところや駄目なところも全て曝け出している姿がいっそ感慨深いのです。照れみのりん先輩も穴があったら入りたいみのりん先輩も可愛すぎたし、もう今回はこれだけでも満たされた感じはあります。

転んで汚れてしまった顔をさんごが拭いてあげるところも良かったし、あすか先輩が眼鏡をかけてあげることでボヤけた視界がクリアになる演出も凄く良かったなと思ったところ。まなつやローラだけでなくトロピカる部の皆がみのりん先輩に立ち上がる力を、一歩を踏み出す勇気をくれて見えてる視界や世界を広げてくれる存在となっているのが伝わってくるので。