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ミュークルドリーミーみっくす! 第14話 「お空がキラキラ花火大会」 感想

ミュークルドリーミーみっくす! 第14話 「お空がキラキラ花火大会」 感想

微細に変化していく人間模様と心の在り様。

ミュークルの花火大会は物語の全体の流れの中でも大きな転機となることを改めて実感させられますね。去年の花火大会も朝陽と森村さんの接近を契機に、ゆめの心情を揺さぶり視聴者の心も掻き乱されたものですが、今年の花火大会では去年の再現を仄めかしつつも、変わっていないようで少しずつ確実に変化している各キャラの心境の変化や立ち位置の変遷を繊細かつ丁寧に描き出していた回でした。

そして、それはゆめと朝陽の幼馴染関係や恋愛的な感情だけに留まらず日常描写の中にも自然と見受けられるもの。進級して部活動での立場も変わり、ゆめと朝陽がそれぞれチア部の副部長とテニス部の部長になったのも変化の表れの一つでしたし、ゆめやときわが去年とは異なる浴衣を新調したのも微細な変化の表れだ。そういう何気ない部分での変化が目に見えるからこそ心情的な変化もより引き立つのだ。

朝陽に対する淡い恋心が夢破れ杉山ファンクラ部の一員として染まっていた森村さんの感情も、朝陽の無自覚な優しさに触れて再燃の気配を見せていたし、打ち上げ花火のメッセージを一瞬とは言え誤解して反応を見せたゆめのそれも如実な変化の表れと取れるし、夢幻のような一夏の夜に彩られたゆめの大人びた横顔に魅せられたアッキーのトキメキは、その筆頭とも言えるのだろうと。

一年前の再現を仄めかして森村さんの感情の再燃をフェイクに用いつつ、アッキーの意識をゆめに向ける流れに見事にしてやられたのです。アッキーが見せた反応が本当にそういった類のものであるか否かは次回以降を見ないと何とも言えないのですが…。一年前に森村さんが朝陽に急接近してゆめの心が乱されたように、今度は朝陽が揺さぶられる側に回るのかもと思うと色々と昂ぶるものがあるのです。

勿論昨年の時点でゆめは杉山先輩に憧憬を含んだ感情を見せてはいましたが、当の杉山先輩本人はゆめにそういった感情を抱いていたわけではなかったので、アッキーがゆめにそういう感情を抱いてアプローチしてくるとなると、状況は似ているようで全く異なったものになってしまう。明確なライバルの登場となってもおかしくはないわけだ。

今回自然にフェードアウトしたように見える森村さんにしても、再び灯った感情を再燃させる可能性は依然として残っているのでね。物語開始時に比べ意識の変化はあるものの依然として幼馴染のままのゆめと朝陽に、それぞれ特別な感情を抱いて近づいてくるアッキーと森村さんが絡むことで、二人の関係性に新たな刺激が与えられより明確な変化が訪れることはあるのかどうか。

一年目のバレンタイン回を最後にゆめと朝陽の関係性も小康状態に入っていた感じもあったので、この夏の出来事をキッカケに新たに動き出しそうで楽しみは尽きない。多感な年頃の少年少女たちは一夏の経験で劇的に変わることもある。今年もこの夏の花火大会を機に訪れそうな色々な変化。余すことなく堪能していけたらいいなと思う。

しかし、そうは言ってもやはりゆめと朝陽には幸せになってもらいたい思いはあるのですよ。実際は違ったけど朝陽から送られたメッセージだと思い込んだ際にゆめが見せた反応なんかは…ね?去年の花火大会の時と同じようでいて確実に異なる心模様。今後二人の関係がどのように移ろい変わっていくのか。ハラハラドキドキしながら見守っていきたいのです。他の三人も視聴者もみんな応援しているぞ!

ゆめやときわが浴衣を新調する中で、お母さんの大切な思い出がこもっている浴衣を大切に着ているまいらちゃんに触れてくれたのが嬉しい。変わらないようで変わっているものがある中で、変わらない大切なものも確かにある。その上で少しのアクセントとして帯締めの変化を加え、微細な変化という今回の話の内容を裏打ちするように添えてくれる優しさと気遣いに感謝しかないのである。

こうして振り返ってみると去年の花火大会の回は本当に大きな転機となっていたし、朝ゆめやまいらちゃん回りの描写を取っても重要な要素に満ち溢れていたことが改めて良く分かりますね。