密やかに伸びやかに

アニメ、PCゲーム、PC関連のニッチな備忘録

ミュークルドリーミー 第15話 「ドキドキ花火大会」 感想

ミュークルドリーミー 第15話 「ドキドキ花火大会」 感想

心模様が揺れ動く儚くも切ない一夏の思い出。

繊細かつ複雑に揺れる心!絶妙な距離感と空気感に魅せられる!

夏の夜空に大輪を咲かせる花火の空模様とは裏腹に、年頃の少年少女たちが織りなす複雑な恋愛模様に心を掻き乱されてしまうのだが、そのやるせなさやもどかしさが味わい深く美しくすらあるので堪らない。杉山先輩と百合先輩コンビ以外に、主にゆめの朝陽に対する意識に変化をもたらすスパイス的な存在として、朝陽に好意を寄せる森村さんを投入する等、幼馴染な二人の関係を刺激するのに余念のない畳み掛けるような構成に、一視聴者としてニマニマせずにはられない。

少し前から仕込まれていたわかばと翔平の恋愛事情にしても、サブキャラを掘り下げ世界観を深める効果もあるが、今回に関してはそれぞれの友人であるゆめと朝陽に、改めて男女の恋愛を意識させること、また長らく友達だった二人が恋人同士に関係性が変化することへの意識付けを行うことにも一役買っていたのかなとも思います。本当にあらゆるところから攻め立てられていた感じだ。

互いのさり気ない一言に反応したり、花火大会を通じて変わってないようで変わってしまった昔と今を述懐したりなど、主観と客観を巧みに織り交ぜて描かれる二人の心情描写が、物凄く丁寧に行われているから見入るし自然と応援したくなってしまう。ふとしたことをキッカケに激しく年頃の男女の不安定さ、揺れ動き移り変わる心の変遷。それらがもたらすもどかしさったらもう!もどかしいけどそれが良い!

私と朝陽はただの幼馴染。俺とゆめはただの幼馴染。自己暗示のように繰り返すその言葉の根底にある思いを自覚する日は果たして…。幼馴染で兄弟のように思っていた子が次第に異性の男の子になっていく。今まで近すぎるが故に見えなかったものが、第三者の介入によって客観的に見えるようになったとき、変わらなかったものが少しずつ変化し始めていく。これから先の幼馴染な二人の関係がどうなっていくのか。本当に要注目なのである。

ただの幼馴染が気になる異性へと変遷していく過程の始まりか

前の朝ゆめ回では主にゆめに対する朝陽の心情描写の方に重きが置かれていたと思うけど、今回の朝ゆめ回は朝陽に対するゆめ側の心情変化や見方の変化の方に重きが置かれていたかなと思います。いつも以上にゆめの口から出る「幼馴染」というワードの繰り返しからの、最後に朝陽から改めて幼馴染と返された際のゆめの心の動きや反応が本当に堪らんかったですね。

森村さんの介入と夢の中でぶつけられた思いによって、朝陽が改めて男の子であることを否応なしに見せられ意識付けられた上で、繰り返し自分が言っていた幼馴染というワードによるカウンター炸裂。そこからの最後のゆめの反応。ここに至るまでの積み重ねと流れの持って生き方。話の構成の上手さも光っていた回だと思います。積み重ねがあるからこその幼馴染。これからも焦らず丁寧に描きながらやきもきさせて頂きたいところ。

引き続き気になる月島まいらの家庭環境

まいらちゃんが引っ越してきた直後の回でも触れたのだけど、母親から貰った大切な浴衣に対するまいらの反応はやはり気になるところです。蓋を開けてみればそこまで複雑じゃないよーという可能性もあるが、まいらの家庭環境に関しては引き続き意識の端に留めておきたい。

変わらないようで変わり始めている幼馴染なゆめと朝陽の二人がいる一方で、母親から貰った大切な浴衣を大事にしている変わらないまいらちゃんの思いがある。新しい友人と出会い色々な物に触れ価値観も考え方も複雑に変わっていく思春期の少年少女たち。その中でも変わらない確かなものがあるということを感じさせてくれる一幕でもありました。