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ひろがるスカイ!プリキュア 第29話 「ソラと、忘れられたぬいぐるみ」 感想

ひろがるスカイ!プリキュア 第29話 「ソラと、忘れられたぬいぐるみ」 感想

ひろプリ真夏のホラー回…!?

かと思いきやソラが迷い込んだ洋館で出会った喋るぬいぐるみ・マロンを通じて描かれる出会いと別れの物語。ちょっぴり奇妙で切なさを伴う一夏の体験が寂寥感を伴い染みてくる味わい深い回でもありました。雨が降りしきる洋館での一幕とか意に沿わず追跡してくるぬいとか異空間への閉じ込め等々。

定番のホラー要素を散りばめながらも本質はソラとマロンの出会いと別れ。そしてマロンと持ち主りほの別れと再会の方にあったのだと思える。自らが忌むべきもの、本能的に恐れるものに対しヒーローとして如何に向き合うか。そのスタンスを問われるシーンも印象的なものであったが、やはり今回は最初は苦手意識を抱いていたマロンに対するソラの意識の変化。別れ際に見せた表情の変遷が何より際立っていた。

前回のあげはたち三姉妹の話でも感じたけど、一度引き離された大切な存在とその後どうなるのか。ずっと一緒にいるというソラの言葉に対するマロンの「ずっとなんてない」という返しが印象的で、前回の話があるからこそこの台詞も引き立っていたように感じます。限りがあるからこそ尊く価値があるものも確かに存在すると思うし、だからこそそれをより大切に慈しむことができる。そういうこともあるだろう。

大切な相手との出会いと別れ。これがやはり異なる世界で暮らす者同士であるソラやましろ達の行く末を示唆してるようにも映るのだが、たとえ一時別れることがあったと互いを大切に思い合い、もう一度会いたいと願い続ければ再び引き合い巡り会えるのだと。あげはたち三姉妹がそうであったように。今回のマロンとりほが再会できたように。

この広い世界でずっと一緒にはいられないかもしれないけど繋がり続けることは出来る。マロンとの出会いと別れを通じて、通じ会えた相手と別れる寂しさとともに、今一緒にいられる大切な仲間たちの存在と共に過ごせる時間の有難みを噛み締め実感する。一抹の寂しさを感じながらも心は晴れやか。そんなソラの心模様の移り変わる様が何ともいじらしく愛らしい。

プリキュアとは全く別種の超常的な力が働いていたり、お約束とも言えるホラー要素を交えながら構成されていた回だけど、その中にあって本作で描くテーマを踏襲しながら夏の不思議な感覚を体験できる。この季節ならではの情緒を感じられる特別な時間が、上手く演出されていた回でもあったと思います。これもまた夏休み期間ならではのエピソードと言えるのかもしれません。

普段は元気印で勇ましいソラの真逆とも言える怯え戸惑う姿が可愛らしくて堪らない。困難な事態や強者に対し毅然と立ち向かう格好いいソラもさることながら、年相応に女の子らしいソラも良いものであると改めて噛み締めた次第です。

今週のエンディング前担当はキュアサマー!一周回って再登板と相成ったキュアサマーこと夏海まなつさん。まぁ今の時期的にピッタリだし、トロプリのホラー回で人形と話していたという経緯もありましたし。まなつもまた怖いもの苦手な子ということで今回の話の内容的にもね。これ以上ない人選と言えるのだろう。