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ひろがるスカイ!プリキュア 第22話 「バッタモンダー最後の秘策!」 感想

ひろがるスカイ!プリキュア 第22話 「バッタモンダー最後の秘策!」 感想

心を折られたヒーローガール・ソラが立ち止まる瞬間が訪れる。

洗脳の類でシャララ隊長がプリキュア側と敵対関係になり、特に関係性の深いソラの心を折りに来る展開はあるかと思っていましたが、ランボーグの素体として利用される日が遂に訪れてしまいましたね。ソラがヒーローを目指すキッカケとなり、今の彼女を形成するにあたって多大な影響を与えた大恩ある人物。

そして今なお憧れの理想像として敬愛する彼女と対峙した時に、それでもソラは自らが掲げるヒーローとしての在り方を貫けるのか。ここはかねてから懸念されていた部分でもあるし、真っ直ぐだけど危うさも孕んでいた彼女の資質を改めて問う意味においても、根源的な部分を否定され揺るがされた時に、どう立ち向かい乗り越えるのかという意味でも非常に大きな意義を持つ大切な部分である。

ヒーローノートの件でも改めて触れられていたけど、完璧や絶対を信条として掲げる人ほど、それが崩された時には脆さを露呈することになるし、何よりそれに固執するあまりに自らの視野や可能性を狭めて縛り付ける。一種の呪いのようなものとして作用する危険性と隣合わせのものでもある。今回の一件はソラの境遇や資質等から危ぶまれていた性質。それら負の側面が一気に噴出した形とも言えるだろう。

無機物ではなく人間由来のランボーグが本作でも初という事情もあるが、よりにもよってそれがシャララ隊長であるのは無慈悲という他ない。しかし、ソラの根幹に関わる人物が対象となるからこそ、ヒーローが私情によって信念を曲げてもいいのか?たとえ相手が誰であろうと公平な振る舞いが求められるのでは?時に正義を成すために犠牲が必要になるのか?等々。

ヒーローものについて回るだろう多くの問いかけに対するソラなりの解答を、その身を以て示すべきときが来たとも言えるだろうか。普段は良い子でどこまでも真っ直ぐなソラが、動揺や焦燥、怒りの感情をかつてない程にダイレクトに顕にしていたのも、それだけ彼女の中でシャララ隊長の存在が大きく、同時に自らのヒーローとしてのスタンス、生き様そのものを揺るがされたことの証。

心を折られ塞ぎ込みプリキュアとして、ヒーローとしての資格を失ってしまったソラが、ここからどのようにして立ち直り、顔を上げてシャララボーグに立ち向かっていくのか。彼女の中にある完璧や絶対に対し折り合いをつけて柔軟な変化を得られることはあるのか。ソラ個人にとっても作品全体の流れとして見ても大きな分岐点にして山場。復活を期すソラの再起の瞬間を楽しみにして待ちたい。

最初の敵であったカバトンと比べると、ここまで個人的に少しキャラが弱いなと感じていたバッタモンダーでしたが、ここに来て悪役としての矜持というか見せ所を作ってくれてキャラも立ってきたかなという印象です。

今回もソラを単独で仲間の元から引き離すことに成功し、且つ自分に屈辱を味わわせたソラが最も手を出しにくい存在を敵対させ、これまでのプリキュアたちの交戦で得た知見から浄化技を封じるために、敵対者の恩人の命を天秤にかけてくることまでやってきたので。なかなかエグいことやってくれたけど思っていた以上に策を弄することが出来るタイプでもあったのだなと。

シャララ隊長が闇落ちという形にはならなかったけど、これはこれで見応えのあるシチュエーションを生み出すのに成功したのかなと。ここまでのことをやったバッタモンダーに対し、ソラがどのような引導を渡すことになるのか。カバトンの時のように彼を許せるのか否か。キュアスカイ復活に際し、バッタモンダーを相手にどのような幕引きを図るのか。彼への引導の渡し方。これも一つ見どころになりそうですね。

一歩を踏み出せないソラを隣で支え、常に寄り添ってくれているましろの存在感も光っていました。ソラの掲げる理想のヒーロー像を共に信じ、自らの生き様を貫く力強い佇まいや意思の強さに救われ勇気を貰っていたましろが、今度はそのヒーローが弱った時に手を差し伸べ立ち上がる為の勇気と力をもたらしてくれる。そんな関係性にやはりなって欲しい思いが自然と湧き上がってしまうのです。

以前の回の感想でも触れたけど本作では力を持つ存在が一方的に助けたりする構図ではなくね。時に助け合い支え合う相互関係の在り方を、ソラましの二人の間柄から垣間見ることが出来るのではないだろうか。予告を見てもやはりソラの復活の鍵になるのはましろんっぽいですし、傷つき心折れたソラにましろがどう向き合い手を差し伸べてくれるのかも見ものですね。頼むぜましろん、ソラの心を救えるのは君しかいない!