心が安らぎ皆が楽しい気持ちになれる素敵な時間をお届け!
カイゼリン様との接触に端を発した前回までの流れが一つの山場だっただけに、年末のクリスマス、もとい今作風に言うならばスリクマス回は、比較的穏やかな時間の中で心安らぐ最後の小休止的な回に仕上がっていて安心する。プリキュアの年間放送スケジュールの都合上、物語が最終盤に差し掛かるこの時期は、イベント事に興じる余裕もない作品もあるのだが今年はクリスマスを純粋に楽しめて何より。
ツバサの研究の成果やあげはの受け持ちの園児との交流。ソラとましろの深まる交友関係との意思疎通。そして、自分の意思をよりハッキリ表出し言葉がハッキリしてきたエルちゃんの成長等々。最終決戦の前の一年の総括というわけではないが、それぞれの成長した姿や互いに対する理解が深まる姿なども見受けられ、皆の目指すところや立ち位置などを今一度振り返る契機にもなっていた。
その上でクリスマスというイベントの趣旨と、本作のテーマでもあるヒーローを絡め、物理的な危機のみならず心に寄り添い救うヒーロー像も描き出せていたのかな。ツバサ考案のバリアで当面は身の安全は確保できたとしても、住み慣れないところに移住しての生活は不安も付きまとう。それを払拭し心からの笑顔をもたらしてこそヒーローはヒーロー足り得るのだろう。
その国民の漠然とした不安や悲しい気持ちを、誰よりも先んじて察して自らの経験を元に、パーティーをしたいと切り出したのがエルちゃんだったのも印象的でしたし、幼くとも育ての親であるソラ達から大切なことを学び、共に戦う仲間の一人として成長した姿を見せてくれたのも嬉しい。特殊な出自とは言えまだ赤ちゃんなのに志と心は立派なプリンセスなのである。
また、皆に笑顔をもたらす存在。子供たちにとってのヒーローという意味においては、プリキュアもサンタさんも同じようなものであり、不安を抱えるスカイランドの国民の心に寄り添うヒーローの在り方を、クリスマスを通して上手く見せられていたと思う。何も戦うだけがヒーローじゃない。いじわるトルネードの妨害こそあったけど、敵対者との戦闘がない回だから心に寄り添う部分をより強調出来たのかな。
何より普段は心身ともに疲弊させながらも皆で戦うヒーローだって一人の人間であることは変わりない。そんな彼女たちにも心安らぐ時間と頑張る為の休息は必要なのです。それだけにこの小休止的なクリスマス回の意義は大きいし、カイゼリンに心身ともに揺さぶられた今のタイミングで最も必要な束の間の平穏なのだろう。立ち止まり見渡すことで見えるものや気付けることだってあるのです。
内容的に劇的な進展や激動の展開があったわけではないけれど、それでも本作にとって必要な要素が詰め込まれた大切な回でした。ひろプリも残り一ヶ月弱となり、ここから先は本当に平穏な時間って殆どないんじゃないかとは思うけど、それだけに大切な人たちと笑い合える。そんな素敵で無敵なクリスマス回を噛み締めたいと思います。ハッピーメリークリスマス!
今回はそれほど大きな進展はないかと思っていたら最後の最後で見せてくれましたわ!ここぞというところでソラましの唯一無二な関係性を、これでもかというくらいアピールしてくるのだから堪りません。ましろが何やら用意していたものや、ソラがあげはに頼んでいたものもエルちゃんの為に用意してるのかとか思っていたら、お互いに大切な人に贈るためのプレゼント用意してるっていうんだもの。
それも二人にとって思い入れの深い。大切な思い出が詰まった同じ手帳だっていうんだからもうね。最高としか言いようがないじゃないか。残り少なくなったヒーロー手帳のページが、本作の終わりを仄めかして一抹の寂しさを感じさせてくれたけど、それより先の未来をソラましの二人が築き上げてくれようとしているようで。
異なる世界で生まれ育った二人だけど、今は誰よりも互いのことを理解し合うパートナー。これから先もずっと二人で手帳のページを埋め合うような関係で居続けてくれるなら。仮に離れることになっても志と思いを同じくする相手がいると確信できるなら。きっと何よりも心強く自分を支えてくれる力となる。いつまでも仲睦まじいソラましのままでいておくれ。二人だけの素敵な聖夜の時間。素晴らしい。