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ひろがるスカイ!プリキュア 第14話 「スカイランドへ!憧れのあの人との再会」 感想

ひろがるスカイ!プリキュア 第14話 「スカイランドへ!憧れのあの人との再会」 感想

正しさとはなんなのかを考え続けることこそが肝要。

新たな舞台、新たな出会い、そして憧れの人との再会に立ちはだかる新たな脅威。物語の舞台をスカイランドへと移し、印象的な新キャラも続々と投入されて色々な意味で濃く情報量の多い回でしたが、その中でも印象的だったのはソラの憧れの人であるシャララ隊長の正しさとはなんなのかという問い掛けと、ソラに対抗意識を燃やすベリィベリーとの諍いと和解の果てに、ソラが新たな知見を得たことであろうか。

正しさとは本当に怖いもので時に一種の麻薬のように人を狂わせてしまう危険性をも孕んでいる。正しさ、正義の名の下に時に人は道を踏み外し凶行に走ることもあるもので、行き過ぎたそれは人の視野をも狭めてしまい悪い意味で自分を縛り付けるものにもなり得る。人の数だけ正義はあるなんて言いますが、自分の正義こそが絶対と思いこんでしまえば自らの可能性を狭めるし自分以外の他者を排斥なんてことにもなりかねないわけで。

性格や生き方、それまでの境遇も各々で異なる。絶対的普遍の価値観など存在しえず故に唯一無二の正義もありはしない。肝心なのはその人が何を考え、どういう思いのもとに何を成したいとしているのか。それを知るために向き合い理解し合うための努力と交流を重ねることにあると思うし、相手に思いを馳せて触れ合おうとするからこそ自分の価値観や考えを見てもらうことも出来るのだ。

一方的な価値観や正義の押し付けは独善的であり正しさに非ず。誰だって自分とは異なる価値観、考え方。自分が間違っていたと認めることは怖いし中々に出来るものではない。だからこそソラが最初に間違っていると断じたベリィベリーにも彼女の境遇から来る正しさがあることを知り、その上で自らの非と態度を改め素直に認め謝罪できるソラの純真さや柔軟さも際立つのだろう。

プリキュアとして一定の成果を挙げ、国王夫妻や国にヒーローと認められてともすればつけあがりかねないタイミング。そこで一度立ち止まるではないけど憧れのシャララ隊長と再会し、彼女に自身の成長を認められた上でソラが新たな知見を得て更に一回り大きくなる道筋を示してもらえたのは、色々な意味で大きなことでした。シャララ隊長の存在感も健在で未だソラに良い影響をもたらす存在として確立されますし。

正しさとはなにか。ヒーローとはどうあるべきなのか。プリキュアとして一クール行動してきて結果と実績が積み上がってきたタイミング。ここで舞台を移し人間関係やその他の諸々が刷新されるのを機に、それらを問い続けることの意義を最初に示してくれたのは作品にとっても非常に大きなことだったと感じる。ひろプリは本作における正しさやヒーローという要素に常に向き合っていると改めて印象付けられました。

アンダーグ帝国からの新たな刺客バッタモンダーの登場に青の護衛隊所属という立場も相まって、これまでとはまた一風変わった物語展開が見られそうで楽しみも増します。ここから暫くスカイランドに滞在することになるのかは未知数ですが、新たな出会いを経て更に広がりを見せるソラ達の物語と可能性に期待せずにはいられません。

歴代シリーズで見てもプリキュアが一国の軍属に近い性質を持つ護衛隊。いわゆる正規の組織に所属するという流れがあんまりなかった感じがあるだけに、ソラがスカイランドを守る青の護衛隊の一員になるというのは、新しい可能性や見せ方をもたらす要素になるのではないだろうか。王族以外で国の正規の組織というか立場を得ていた先輩ってキュアソード/まこぴーくらいしか思いつかなかったけど他にもいたっけか。

ともあれ憧れのシャララ隊長を筆頭に、同世代以外の人との交流がソラの新たな一面を引き出してくれることに期待したい。ベリィベリーはソラに早くも篭絡されてしまった感じもあるが、第一印象が喧嘩腰になってしまっただけに、ましろとは異なる意味での交友関係も見てみたいかな。同時に年上という意味では今後の再登場が待たれるあげはさんとの差別化をどのように図るのかも見ものです。

新たな強敵。カバトンとは一風異なる趣きのあるバッタモンダーも初登場を果たし今後の活躍が期待される一人であることは間違いない。優男風の物言いや立ち居振る舞いに関しては、早々に化けの皮が剥がれて本性が垣間見えた感もあるが。上辺だけではなく相手の深いところや本質的部分を見ることの重要性。人となりを知ることの大切さを示す二クール目のアンチテーゼ的な存在とも言えるのかもしれませんね。今回のソラとベリィベリーが学んだように。

今回のエンディング冒頭担当はキュアフローラ!強く優しく美しくという口上は今でも忘れられないフレーズの一つで彼女の生き様を示すもの。ゴープリで掲げられたこれらの要素もまたヒーローに通じるものが確かにあるのではないだろうか。

自分の生き方や理想、価値観を一度は否定され粉々に砕かれたこともあるキュアフローラ/はるはるですが、そこから立ち上がり再び歩き始めたところなども本作のテーマに沿うプリキュアの一人だと改めて思えたよ。