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ヒーリングっど♥プリキュア 第45話 「おいでませ♥ヒーリングガーデン!」 感想

ヒーリングっど♥プリキュア 第45話 「おいでませ♥ヒーリングガーデン!」 感想

地球に生きる一生命体として求められる人間の在り方。

地球を蝕む存在でもある人間の在り方を改めて考えさせられる

ビョーゲンズとの決戦は前回までで一応の決着を見ており、実質的には最終回後のエピローグ的な位置づけの今回のお話。後日談として基本はギャグ描写も交えた穏やかな雰囲気でしたが、最後の最後で地球にとって一番害悪な存在は人間という観点を、これまではパートナーであり味方であったヒーリングアニマル側から指摘され気付きを得るのをやってくれたのが良かった。

一口に地球を蝕むと言ってもこれまでは動植物に寄生して蝕むビョーゲンズが主体で、16話24話のように全くなかったわけじゃないけど環境に纏わる諸問題にはあまり触れてこなかったので、そこに対する積み重ねという意味では確かに弱い部分はあるかもしれない。

しかし、生き残るためにやっているビョーゲンズ陣営の行動理念を否定したからこそ、自分が生きるためとは言え必要以上に環境を破壊し、他の動植物を脅かす人間の身勝手さが引き起こす現実が、実感を伴ってのどか達に跳ね返ってくる。ビョーゲンズと相対し一つの決着を見た今だからこそ向き合える問題。出来るタイミングだったと言えるかもしれません。

勿論それに対する答えは一朝一夕で出るような生易しいものではない。でも、物理的な戦闘以外でも生きること全ては戦いという一つの答えと覚悟を得た前回までの話があるからこそ、これから長い時間をかけて向き合い続けなければならない問題に対してのどか達が示した心構えも映えるのだと思う。見て見ぬ振り、気付かないではなく直視した上で問題と向き合う形で戦い続けることで生きている実感を得る。

これが実にヒープリらしい幕引きというか。今を生きることに精一杯だったのどかが元気になり、これから先の未来を見据えることが出来るようになったから導き出される指針。解決困難な問題でも逃げずに立ち向かい、向き合い続けていく覚悟の表れ。「生きてるって感じ」から最後ののどかの「生きてくって感じ」への変遷は、それを如実に表し体現する本作の全てが集約されていた台詞だったと思います。

直近の先輩たちはエピローグで数年~10年後くらいの姿を描いていることが多かったけど、本作ヒープリが初登場時の中学生のまま完結したのもそういうことなのかもしれない。今すぐ手に入るものでも一足飛びで到達していいものでもない。問題に向き合い今を全力で頑張り生き抜いた結果として。ずっと先に望む未来は訪れるべきものだからだ。

こんな御時世だからこそ今を全力で生き、確定していなくとも希望に溢れた未来を見据え、より良き理想の世界を思い描き目指そうとする幕引きで良かったのではないかと思う。そういう意味でヒープリの締めは、まさに主人公である花寺のどかの物語と今の時流に乗るものだったと言えるのではないだろうか。

恒例の次代を担うキュアサマーとの対面やギャグ要員として活躍したアースとラテ様コンビの奮戦。思わぬ重要アイテムとなった「すこやかまんじゅう」、略してすこまんのインパクト等々。テーマの中にも楽しさや未来に繋げる要素も散りばめられていて、満ち足りた気分に浸れる最終回でした。色々ありすぎた一年だったけどそれでも辿り着いた最終回。

この事実がのどか達の先行きを、プリキュアシリーズの未来を明るく照らしてくれているようにすら感じるよ。ともあれこの一年楽しませてもらいました!ありがとうヒープリ!

キュアアースの意外な弱点!?襲い来るすこやかまんじゅうの驚異!

ヒープリチームの中では最高戦力のキュアアースを封じる思わぬ手立て。まさかこんな方法があるなんて夢にも思わず。ヒーリングアニマルの世界に行ったけど登場当初よりも俗っぽく、もとい人間っぽくなったアースのギャグっぷりが面白かった。感受性が成熟してラテ様の他にも大切なものが出来たからこその反応ですよ。それがすこやかまんじゅうなのはアレかもしれないけど。

突然ギャグ要員と化したアースに対するグレース達三人の冴え渡るツッコミも光っていたし、アメイジングお手当の時に、すこやかまんじゅうを見ないよう目を瞑ったままでヒーリングっどシャワーを放つアースの徹底ぶりに感服しました。制作サイドの皆様もこういうところでこだわりを見せるんだもの。こういう遊び心、嫌いじゃないというか好きだぜ!

プリキュアのバトンは次代へ!キュアグレースからキュアサマーへの継承!

まほプリ以来恒例となった本編内への次世代プリキュアの登場。そして最後のバトンタッチが今年も無事に行われ、次作への引き継ぎが完了して何よりでした。最初の緊急事態宣言の時は、これすら出来ずにアニメ産業事態どうなるのか分からないくらい先行きが不透明だったので、もうこの当たり前の光景が当たり前のように見られるだけで感無量なのですよ。

ビジュアルイメージそのままに元気印であることが伝わってくるキュアサマーの立ち居振る舞い。本作ののどかが病弱設定から始まったこともあり、まさに対照的とも言える主人公像と言えるかもしれませんが、不安に満ちた世の中の空気を吹き飛ばすかのような快活感が溢れる活躍を期待したいな!ありがとうヒープリ、これからよろしくトロプリ!

異例の一年を駆け抜けたヒープリに最大級の敬意と感謝を

コロナで誰もが予想し得ない事態に陥った一年。長いプリキュアシリーズの歴史にあって、初となる約二ヶ月に及ぶ休止期間を挟んでの放送再開、春映画の公開延期、全体話数の削減、各種イベントの中止等々。当たり前だったはずのものが当たり前ではなくなり、先行きが全く見通せなくなったことで、それらが奇跡的かつ平穏な日常の上に成り立つものであるかを改めて痛感させられました。

ちょっと大袈裟というか無理やりなこじつけかもしれないけど、これは人間の健康にも通じるものがあると個人的には思っています。娯楽を楽しむことが出来るのも、日々を自由に謳歌して満喫出来るのも平和な日常と健やかな心身あればこそ。コロナ以前に幸いにも治る類のものでありましたが、いくつかの怪我や病にも襲われ健康体でいられる有り難みを個人的にも感じたからこそ余計にそう思うのです。

癒やしや病をテーマにした本作の放送年にこのような未曾有の事態に陥ったことは皮肉でもあり運命的でもあるのかもしれません。しかし、こんな危機的状況下だからこそ本作で扱った題材や伝えたかったメッセージが、より鮮明に意義のあるものとして映り込んだ側面もあったのではないだろうか。そういう考えに及んだ時点で、自分は本作を見た価値は十二分にあったと思えている。

何より当たり前は当たり前ではない。その中にあって例年通り次代を担うプリキュアにバトンを繋ぎ、シリーズの命を紡ぎ存続させてくれた本作には感謝の気持ちしかありません。尺の削減から全体構成の練り直しも求められただろう本作。やりたかったのに出来なかったこと。本来は予定していたのに変更を余儀なくされたことなどあったかもしれないが、こうして無事に完結させてくれたことが素直に有り難い。

プリキュアの放送を楽しめる喜びを、これほどまでに感じたことはなかった一年。大変な状況下の中で、無事に完結させてくれた制作陣や出演陣の皆様に改めて感謝を。本当にありがとうございました。そしてお疲れ様でした!