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プリンセッション・オーケストラ 第19話 「自由の意味は」 感想

プリンセッション・オーケストラ 第19話 「自由の意味は」 感想

他人の自由を尊重してこそ始めて許される自由がある。

両親が著名人で特殊な家庭環境。加えて本人の生来の気質等も相まって家でも学校でも特別視されてしまうことが多かった小さな頃のかがり。それだけにそのどちらのにも属さず、自分が自分らしくいられる場所。ありのままの自分を受け入れてくれて普通の女の子でいられるアリスピアは、識辺かがりにとっての心の拠り所たる居場所でもあり、今の心優しき彼女を育んでくれたもう一つのコミュニティとも言える得難きもの。

自分の心に充実感や満足感をもたらしてくれる安息の地。生き甲斐というと少々大げさになってしまうかもしれないけど、それくらいかがりにとっては今の自分を形作る上で不可欠な場所で、特別な思い入れもある素敵なところでもある。それだけに自らを育み慈しんでくれたことに対する感謝と、心の赴くままに自由でいられるアリスピアを守りたい気持ちは、かがりが身命を賭して戦うに足る原動力になるのだ。

加えて自分と一緒に戦い思いを重ねて戦ってくれる仲間。今は友達にもなったみなもやながせとも出会えた居場所にもなって、かがりにとってその思いは物語開始時点より更に強いものになっているだろう。だからこそ、それを不当に脅かし他人を追い詰め侵略するギータに対し怒りを覚えるし、かがりは自らの信ずる心のままに真っ向から立ち向かうことが出来る。

ただ、自由の定義は人それぞれで絶対のものではないという難しさを、かがりとギータの問答を通して改めて考えさせられたところもあります。かがりの主張は彼女の生い立ちに沿った情景を見せられているので共感するところですし、他人の自由を尊重してこそ許される自由があり、ギータの掲げる自由は他人を追い詰める一方的な侵略という主張も、一見すれば正道のものに見える。

ただし、それがプリンセスとバンド・スナッチという対立構図の枠を超えて、アリスピアで暮らしているアリスピアンの目から見た場合どうなるだろうかと。実際に現在多くのアリスピアンは歌や踊りが大好きで人間の女の子たちを快く受け入れ活動に力を貸してくれることは、これまでの回で何度か描かれてきた部分でもある。しかし、全てのアリスピアンが等しく同じように思っているか否かは判然としないところもある。

従来アリスピアには存在しない異界からの来訪者たる人間の女の子。それは、見方を変えればアリスピアにとっての異物。大多数の者は女の子たちの歌や踊りに好意的であっても、それらが苦手であったり苦痛に感じてしまうアリスピアンもいるかもしれない。仮にそういう者が存在したとして、その者たちからすれば人間の女の子たちの自由な活動は、自らの安寧を妨げ脅かす侵略者に様変わりしかねない。

まぁこれは作中で描かれたわけでもない個人的な妄想でしかないのだが、かがりがギータに対して行った自由の主張と否定は、ともすれば自分たちに跳ね返り立場が逆転しかねない危うさを孕んだものでもある。ギータの反応を見るに彼も身勝手なだけで活動しているわけではなさそうな気配も見え隠れしてるだけに「自由」という言葉の定義や立ち位置の確立の難しさを感じずにはいられませんでした。

ともあれたとえ大多数が肯定的であって否定的な者が一部いたとして、そこに全く思いを寄せることなく主義主張を力で以て押し通してしまえば、それはたちまち一方的な抑圧や弾圧になりかねない。プリンセス側の三人と異なりバンド・スナッチの面々の根源。彼らが求める真の目的や原動力たり得る部分も未だ明らかにされておらず立ち位置が確定していないが故に余計にね。

プリンセスがパワーアップしたのに呼応するように彼らも今までとは異なり本気で対抗する気構えを見せ始めてより苛烈な力の応酬に発展していきそうな予兆を感じた今回の話。だからこそ余計に「自由」という言葉の意味とそれに付随して生じる諸々の要素。それらをプリンセス・ジールとギータの二人の問答から色々と考えさせられたのです。

これまでは愛嬌のある憎めない敵役のイメージを築き、バンド・スナッチの中でも年下感があって仲間内でも弄られる愛されキャラみたいな感じもあったギータが、パワーアップしたプリンセス側に対応すべく本気モードで立ち向かってきたのが印象的で。未成熟ながらもやはり彼なりに思うところはあって、ジールが発した自由に対しての反応は目を引くところでした。

力を与えていたと思しき赤の女王も割と期待をかけながらも寛容な姿勢を見せてくれてましたし、普段はいがみ合うこともあるバンド・スナッチも目的を遂げる為に強い絆で結びついているんだなと思わせてくれるような言動もあり、プリンセス側に負けず劣らずこちらはこちらでより結束を高めている感じも伝わってくる。あれから調査を続けているナビ―ユも未だ突き止められない彼らの正体。それらも含めて今後の動向をより注視して見ていきたい。

学校パートでは四人で行動することも多くなっているんだけど、アリスピアに行くときは自分のライブの準備を優先していることもあって、最近は別行動を取っていることが多い我らがなっち。そのなっちがふと目に留めたプリンセス・リップルが戦う動画を見て何を思うのか…。ということでこれでもかというくらい意味深な感じで引きのシーンとして用いられたなっちの今後の動向も物凄く気になるところです。

ある意味バンド・スナッチ以上に今後の役回りや立ち位置がどうなるのか読めないところもあるだけに。事情を知る一般代表の協力者になるのか、はたまた――。ということで妄想が無限に広がる余地があるので、今後なっちがどうなっていくのか。何をしていくのかは本当に楽しみなところ。