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ヒーリングっど♥プリキュア 第41話 「すこやか市の危機!!忍びよるキングの影」 感想

ヒーリングっど♥プリキュア 第41話 「すこやか市の危機!!忍びよるキングの影」 感想

拠り所となるものが足元から揺らいでいく。

三者三様の幹部勢!キングビョーゲン完全復活!

道化として完全に手のひらの上で踊らされていたグアイワルの退場と入れ替わる形で復活を遂げたキングビョーゲンの復活回。大本は同じでも独自の進化を遂げる病原体の特性そのままに、それぞれの尖っ個性が命運や大きく左右している入り乱れた状況が面白い。ここに来て自らの力を増す糧として強制的な統一を図ろうとすることに拒絶反応を示すダルイゼンの姿も、種としての生存本能故のものか。

歴代作でも当初ラスボスと目されていた存在を裏切り自らが取って代わったり、思いもよらぬところから現れた別の存在が成り代わることはあったけど、最終盤に突入する頃合いで幹部勢の思惑すら未だに各々別物で、目的もここまで一致していない作品も珍しいかもですね。仕えるボスの復活こそが悲願にして共通の行動原理なことが多いけど、本作ヒープリではその役目は主にシンドイーネが一手に引き受けてるので。

自らの野望に殉じて逝ったグアイワルにキングビョーゲン至上主義のシンドイーネ。相容れない考え方の二人でも自分の信ずるところ、本能の赴くままに動いていたのは共通している。その点、唯一貫くべき信念や明確な目的など持たず、状況に流されるまま本能の赴くままに生きてきたダルイゼンは、本作の中でも特異な存在であると改めて突きつけられたような感覚を受けました。

そのダルイゼンがプリキュアとして、また一人の人間としての花寺のどかの義や理性を揺さぶり、彼女の信ずるところに寄りかかろうとして否定されるというのも皮肉が効いていて非常に興味深い見せ方でした。かように今回はそれぞれの根本にある理念とか本能とか信条が密接に絡み合い、相互作用するかのように波及していく様が見事だったと思います。

己の信ずるところや目的という点ではキングビョーゲンもそうでね。地球を蝕むことやプリキュアを倒すこと以上に、プリキュアを餌に天敵であるテアティーヌ様を引っ張り出そうとする彼女に対するこだわりのようなものも感じられたし、真の姿を見せたキングビョーゲン様からして犬ベースのような姿で元ヒーリングアニマルだったのでは?という疑問も浮かび上がってきました。

人間と病原体、癒し手であるプリキュアとヒーリングアニマルと彼女らを蝕むビョーゲンズ。決して相容れることがなかったそれぞれの立場や境遇、本能と信念がぶつかり合い混じり合った先に迎える結末が如何なるものになるのか。ここに来て本作が持つテーマ性を強く感じられる描き方をしていると感じるだけに、最後がどうなるのか非常に気になるし楽しみで仕方ない。

やはり切っても切れない因縁の関係!のどかとダルイゼンの対峙!

いや、最後数分で凄い見せ場を持ってきたなぁと感心する。今回の中でもダルイゼンくんは一貫した主義主張や信念もないし、自らが生き残る為にこれまで散々否定してきたのどかに縋る自分勝手さみたいなものすら感じさせたのだが、その身勝手さも生き残ることを何よりも優先する病原体の生存本能の表れと取ることも出来るし、良くも悪くも人間に対する寄生や、人間との共生という部分を担っているのがダルイゼンなのだろう。

居場所も自らを受け容れてくれる者もいなく最後にのどかに縋り救いを求めてきたダルイゼン。その彼の手をのどかが本能的に拒否して払い除けたというのも非常に印象深いシーンでした。まぁ自分を散々苦しめた者を受け容れるってだけでもキツイし、また受け容れることで自らの身が蝕まれるかもと考えたら、人間の生存本能的にも生理的にも受け容れられず嫌悪感を示すのどかの反応は至極当然のものと言える。

でも、他に縋るものがなく極限まで追い込まれた時に救いを求める人の気持ちを、生きたいと願う者の気持ちをその身を以て誰よりも知っているのもまた花寺のどかという少女なんですよね。そして、プリキュアは例え悪人であろうと救いを求める者を見捨てるようなことは基本的にはしない。こういう立場や境遇があるからこそ、のどかとダルイゼンの関係性は非常に興味深く見応えあるものとして映るのです。

自分なりの義や理性を全て吹き飛ばす本能的な嫌悪感や拒絶感と、のどかがどう向き合いどんな答えを導き出すか。以前の感想でも触れたことあったけど、相容れない存在ののどかとダルイゼンの迎える結末が如何なるものになるのか。赦しを得られるのか、はたまた共生の道はあるのか。自然免疫や獲得免疫などの医学的な知見なども絡めて、その辺りがどのように描かれるの楽しみ。

心配してくれる人がいて帰るべき場所があることの幸せ

怒涛の騒動を終えて帰宅したプリキュアたちの家族が、彼女らの身を案じ守るべき子どもとしてしっかり諌めつつも見守ってくれている描写が嬉しい。自分の身を案じてくれる人がいる幸せ、帰るべき場所があるから得られる最高の癒やし。最前線で戦っている彼女たちも一人の女の子であるという当たり前のことを、改めて示してくれていたのが素敵。

それだけに最後のダルのどパートが際立つとも言えるが。帰る場所もなく自らの身を案じるどころかパワーアップの為の贄となれと言われたダルイゼンの境遇。その対比的な意味でも味わい深い。