生命が成熟する実り多き季節、そして―。
ヒーリングアニマル勢の成長の実感と共に迫りくる別れの予感
スポーツの秋、芸術の秋、食欲の秋。そしてプリキュアにとっては別れの予感が迫ってきているのを感じる少しさみしい季節が秋でもある。今回はヒーリングアニマル組の内面的な成熟を感じる回でもありましたが、のどか達との出会いとこれまで共に積み重ねてきた経験からくる成長を動植物の生態系と重ね、生命力が成熟してくる秋にヒーリングアニマルの去就や使命感に踏み込む構成が美しく感じました。
いつまでも今の状態が続くことはない。生命にいつか終わりが訪れるように、のどか達と共にいられる時間にもいつか終わりが来る。そして、敵対勢力であるビョーゲンズが存在するからこそ成り立っているとも言える今の関係性と時間の皮肉とでも言いましょうか。これからも当たり前のように続くと漠然と思っていたものがそうでないことを知覚した時に、何を思い何をしなければならないのか。
変わっていくことに対する不安と向き合い、それをどのように乗り越え未来への展望を見出すのか。出自が精霊に近いヒーリングアニマルであり、生まれた瞬間から地球を癒やすという至上の命題、果たすべき使命を与えられているラビリン、ペギタン、ニャトランたちは、人間であるのどか達と違い自分たちで選べる未来の選択というものを持ち得てはいないと言えるだろう。
でも、だからこそ何のために頑張るのか。癒やすことに対する自分たちなりの意義を見出すことが重要になるのではないかと思います。大好きなのどか達だけでなく、地球をすこやか市に住む人たちのことが大切で大好きになったからこそ強くなった守りたいという意思。実際にこちらに来て暮らし様々な交流の中で自分の内から生じた癒やしてあげたいという意思が大切なんじゃないだろうか。
春に種が蒔かれ芽吹き季節を経て充実してくる生命の如く。最初はヒーリングアニマルとしての使命感から始まったラビリン達の行動も、パートナーと出会い巡る季節の中で芽吹き育まれた意思が膨らみ、守り癒やしたい相手の顔がしっかりと浮かぶ具体性が伴うものに変化し成長した。元からあった使命感に加えて交わる自分自身の意思と選択。それこそが将来を選択する源になる力にもなるのだ。
ダルイゼンの甘言に惑わされることなく、いつか訪れる終わりを自覚しつつ、それでも共に歩み成し遂げる本当の覚悟を固めた意志の強さに、ヒーリングアニマル勢の内面的な成長を見た思いでいっぱいです。プリキュアとなる人間だけでなく、パートナーであるヒーリングアニマルの内面や将来への展望に踏み込むところが良いよね。どちらも合わせてヒープリチームであり共に難敵に立ち向かう仲間なのだから。
テアティーヌ様の側近と思しきイケてる二人も近々参戦の気配が漂い、いよいよ最終盤の来るべき時に向かって動き出そうとしている物語。出会いがあるから別れもある。巡る季節の果てに皆がどんな未来に向かって歩き出していくのか。その顛末を最後まで見届けられたら良いな。実りも多いけど秋はプリキュアの終わりが近づいているのを実感するから毎年寂しくなって複雑だわ！
芸術に労働！プリキュアたる人間側のライフワークも充実だ！
今回はヒーリングアニマル組が主体の話で、のどか達プリキュアの存在感は控え目になっている珍しいタイプの話だった気もしますが、その中でも実りの秋を満喫しつつ、少しずつ変化している彼女たちの生活様式や日常を垣間見ることが出来て何気に印象深かったりもする。個性が出るというかなんというか。立場も違えば感じ方も違う。それぞれの感性に触れたような回でもあったかなと。
のどか、ちゆ、ひなたの三人の画力に関しては性格や個性がダイレクトに出ていたなと感じたところです。ちゆちーが抜群に上手いけど他の二人も下手というより感性が滲み出ていたという方がしっくりくるか。アスミは公式でバックパッカーということになっていたけど、これでただの居候から労働者にランクアップだね！特殊な出自故の最初の赤ちゃんっぷりを思うと、アスミンが成熟するまでの早さに涙を禁じ得ないよ。
人と触れ合い守るべきその地を肌で知る。すこやかまんじゅうを売る接客販売業。アスミちゃんには合っていると思う！
残された時間をせいぜい楽しむんだね
上述したようにただでさえ秋口は終わりの気配が強くなり始めて寂しくなるというのに、ダルイゼンくんの容赦ない死刑宣告にしてやられるのである。メタ視点で言えばビョーゲンズサイドの余命宣告とも取れるんだけど、それはそれで終わりの始まりなのでやはり物悲しさが漂ってしまうし複雑なの。
