密やかに伸びやかに

アニメ、PCゲーム、PC関連のニッチな備忘録

キミとアイドルプリキュア♪ 第28話 「わんわん!きゅーちゃんと一緒!」 感想

キミとアイドルプリキュア♪ 第28話 「わんわん!きゅーちゃんと一緒!」 感想

ショボッボボンボンな気持ちをキラッキランランに!

祖父の家への帰省を通して見えてくる咲良うたのルーツ。周りにいる温かな人たちの優しさと気遣いで溢れる彼女を取り巻く環境の素敵さが改めて浮き彫りとなる。おばあちゃん子であったうたが生前の祖母とのやり取りと、おあばあちゃん亡き後にずっと彼女に寄り添い見守っていてくれたきゅーちゃんの思いに導かれ支えられていたように。大切な人を思う気持ちは時間や種族をも超えて双方を結びつけるものになる。

幼少期に喧嘩してしまった友達とのことで思い悩み落ち込んでいたうたに対し、ちゃんとごめんなさいをすれば心は通じることを説いてくれていたおばあちゃんがいましたが、人と向き合うことと大好きな歌を通して気持ちを真っ直ぐ伝える今のうたの行き方は、ここで芽生え育まれていったことが伝わってきて感慨深い。そして、大切な人に込めて伝えようとした気持ちは、思いも寄らない形で人にパワーを与えることもある。

うた本人は自覚していなかったけど自らがもう長くないことを知っていたおばあちゃんも、自分のことを思ってくれるうたの気持ちに勇気と元気を貰っていたし、その受け取った気持ちをタイムカプセルに込めて、それがこうして巡り巡って今のうたの元に還ってきて彼女を元気づける力になっていることもエモい。長い時間を経て直接言葉を交わせずとも伝え合える気持ち。その尊さの意義が二人の間にはあって。

友達との喧嘩を機におばあちゃんに素直に気持ちを伝えることの大切さを教えてもらい、幼いながらも自らのうたを通してキラッキランランな気持ちを届けることの意義を実感したうたですが、その歌とスタンスを通して出会い育まれた今の友達や妖精組との絆があり、それによって集ったアイドルプリキュアの面々が、うたを元気づけようと彼女の大切なものを探すべく尽力する姿も、うたとおばあちゃんのやり取りによって形成された流れの中に沿うもので素敵でした。

また、真意が全て正しく伝わってはいないかもしれないが、落ち込んでいるうたを元気づけようと奮闘するきゅーちゃんもその一員の中に入っていることは揺るぎなくて。大切な人を思う気持ち。その人の為に行動し支えてあげたいと思う姿勢は、種族や言葉の壁をも超えて伝わり影響を与え合う。うたときゅーちゃんの間にも“キミ”との双方向の繋がりが意識されており、それがあるから今のうたがいるのだということが改めて良く分かる話運びであったと思います。

うたがおばあちゃんの遺品や部屋の整理に対して前を向けたのも、時を超えて大切な人を思う気持ちが背中を押してくれればこそ。大切な人を思う気持ちや優しさ。それらは時間や種族をもを超えて伝わり確かな力となる。おばあちゃんとの思い出の中にあったうたが歌で思いを届けることの意味を知り、それによって繋がることが出来た友達や仲間が向けてくれる気遣いや優しさが身にしみる思いです。キラッキランランが織りなす空間と、それにより生み出される力の尊さや意義。

それが改めて描かれたからこそ、その中にありながらも一人異なる立ち位置、異なる感情を抱く妖精メロロンの特異性も際立つ。うたを取り巻く環境と周りから向けられる優しさや慈愛の気持ちで溢れていた今回。それを受けて孤独な環境に身を置きながら、ただ一人愛しのねえたまのみに気持ちを向けているメロロンがどうなっていくのか。メロロンにとってもアイドルプリキュアにとっても大きな転機を迎えることになりそうな次回。それがどのようなものになるのか楽しみでならない。

今回はきゅーちゃん回でもあるということで、きゅーちゃんがどういう形で物語に関わるか気にはなっていたのですが、モノローグというか心の声という形でハッキリと自我があることを示し、思っていた以上にガッツリ喋ってくれていたのが印象的でした。津田健次郎さんのイケボながらも愛嬌たっぷりな話し方も相まって、見ていて微笑ましく和やかな気持ちになれました。

おばあちゃんに拾われ、彼女が亡くなったことを機に幼きうたに付いていった経緯を持つきゅーちゃん。いわばおばあちゃんの遺志を受け継ぎ、彼女に代わってうたのことを見守り支えてきた側面もある。きゅーちゃんが今と昔の思い出の中にあるおばあちゃんの思いを橋渡ししてくれた感じもあって、言外に表れる大切な人を思う気持ちが伝わる素晴らしさを体現してくれていた。

今作はキラキランド出身の妖精組の人数も多いので、きゅーちゃんと妖精組が主体で何かをやるような回があったらそれはそれで見てみたいなと。そう思えるきゅーちゃんのモノローグ語りでありました。

うたを取り巻く環境と彼女のことを思い気遣う周りの人達の温かな気持ち。それが満ち足りていた回であったからこそ自らの行いが原因の一端とは言えチョッキリ団で一人物憂げな干渉に浸り、独白をしつつも一抹の寂しさと空虚な気持ちを感じているチョッキリーヌ様の姿も際立っている。

うたが歌を通し自分の気持ちを素直に伝えることで形成されているアイドルプリキュアのコミュニティの繋がりが強調されていたからこそ、チョッキリーヌの今の在り方はまさに対照的で対極にあるものとも言える。そういう意味ではメロロンと近い立ち位置、感情を胸に秘めたキャラクターであるとも言えるのかもしれません。遠目からアイドルプリキュアの皆が楽しそうにする姿を見て彼女は一人何を思うのか。

メロロンへのアプローチはそのままチョッキリーヌ様にも波及しそうな感じもありますし、この二人が今後アイドルプリキュアからどのような影響を受けて変化していくことになるのか。それも見どころの一つとなりそうですし、その推移をしっかりと見届けていきたいところです。