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ヒーリングっど♥プリキュア 第44話 「みんなでお手当て!!すこやかな未来のために」 感想

ヒーリングっど♥プリキュア 第44話 「みんなでお手当て!!すこやかな未来のために」 感想

生きることは戦うこと。

全ては健やかに生きるために!勝つためではなく負けないための最終決戦!

実質的には最終回なプリキュアとネオキングビョーゲンの最終決戦にして完全決着の回でした。最終決戦に相応しく見応えある動きのあるバトルに、この一年の間に描かれてきたテーマに対して、主人公である花寺のどかが自分ならではの答えを指し示すところまで描けており、若干駆け足気味なところはあったかもしれないけど抑えるべきところは抑えていたかな。

のどかの境遇や生き様が多分に反映されたネオキングビョーゲンとの最後のやり取り。因果応報とは言えダルイゼンに対して非情とも取れる選択を行ったのどかなだけに、ネオキングビョーゲンに対しても最後の最後まで毅然とした姿を見せ、互いに生き残りを懸けた生存競争を巡る相容れない存在故に、完全な決別というか寄り添うことも叶わぬ厳しい答えを見せてくれたとも思います。

どちらかが生き残るならもう片方は死に絶えるしかない。人間や動植物とそれに寄生し時に宿主すら蝕み殺してしまう病原体。自らの生き残りを駆けて繁栄を望むのは生物としての本能に刻まれた宿命でもあるが、それでも本作の中では共存共栄の道を見出す幕引きもあるかなと思っていただけに、いずれかの消滅を以て決着とする結末に少なからず驚きというか衝撃があったのも事実です。

まぁ他ならぬネオキングビョーゲン自身が、弱肉強食の理論を唱え勝った者が全てを手にするという力の理屈を主張していただけに、負けた側がすべてを失い淘汰されていくというのもまた自然の摂理なのだろう。戦って戦って病に打ち克ったのどかだから、日々を生きている中での戦いを通し充実感や人間的な成長を得てきたヒープリチームだからこその決着とも言えるのではないだろうか。

惜しむらくはやはりコロナの影響で年間の放送スケジュールに狂いが生じたことに尽きる。本来の構想にあった全体話数の内、およそ一ヶ月分の短縮を余儀なくされては駆け足気味になるのも致し方ない。今回にしてもネオキングビョーゲンに一時的に取り込まれた時に吸収されたダルイゼンが出てくる展開とかもあり得たのでは?という疑問や願望はどうしても付いて回ってしまう。

ともあれそうした前例のない過酷な状況下にあって、花寺のどかという一個人。一人の人間を主人公として据えた物語の答えを提示してくれたことは有り難いし、シリーズにとっても意義のあるものだったと思います。近年のプリキュアは敵組織にいた人物が最終的に数名生き残り、新たな未来に向かって道を歩み出すというのが多かっただけに、敵組織が全滅に追い込まれての決着は久しく忘れていた感じでもありました。ありそうで中々ないんだよねこのパターン。

ともあれ最終決戦としては見応えありましたし、プリキュアと妖精サイドのお別れも感動的なものに仕上がっていて、総じて良い最終回だったと言って差し支えない内容でした。いや、最終回じゃないんだけどね。残すは後日談にして次作への引き継ぎ。決着後の世界を生きるのどか達が、終わることのない戦いの日々の中で何を感じどのように過ごしているのか。

人類と病原体の終わることなき闘争の歴史。滅したと思っても滅しきれないことの方が多いのが病原体なだけに、新たな戦いへの予兆を感じさせつつも希望に満ち溢れた未来を示してくれたら嬉しい。あとは難しいだろうけどビョーゲンズ側に何らかの希望というか救いのようなものがワンチャンあったなら…。もう言うことは何もないのである。

過酷な戦いの日々を生きるプリキュア四人の尊き安らぎの瞬間

あらゆる意味において戦いの日々に身を投じていた四人。戦いによって傷ついた心身を全力で労り癒やされていることが伝わってくる渾身の美麗カットが素晴らしすぎた。生きることは戦うこと。これで全ての戦いが終わったわけではなく生きていく限り戦いの日々はこれからも続いていく。そのために頑張る為の休息を今この一時だけは満喫して欲しいと願ってやまないのだ。

各パートナーとのお別れシーンがやはり感慨深い

ここまで決して楽な道のりではなく辛いことや悲しいこと、苦しいことのほうが多かったかもしれない。それでも最後に心通わせ楽しかったと笑い合えるプリキュアとヒーリングアニマルのパートナーとしての在り方が素敵でした。心の肉球にキュンとくるという感覚を、ここに至ってようやく掴むことが出来たかもしれない。まぁやっぱりお別れシーンはグッとくるものよ。

中でもやっぱりのどかとラビリンの最後のやり取りは印象的でしたね。別れの悲しさ寂しさよりも危ない戦いに巻き込んだことを悔いていたラビリンの心情吐露がここで来るんだものなぁ。思い返すとデビュー直後にパートナー解消を言い出したのも、当時はまだ病弱だったのどかの身を案ずればこそのラビリンの判断で。のどかは決してそうは言わないし、ラビリンも表立ってそれを口にすることはなかったけど、ずっと後ろめたさのようなものも感じていたんだよね。

そんな過酷だった戦いの日々をのどかが肯定し、生きている実感を噛み締めながら楽しかったと言ってくれたことが、ラビリンにとってどれだけ救いなったのかは言うまでもないだろう。使命だけの繋がりでもなければ引け目を感じ合う間柄でもない。のどかとラビリンが対等のパートナーであり友達になれたことを喜び合うシーンは、すれ違い喧嘩からきたパートナー解消騒動までやった今までの積み重ねがあるだけに、より感慨深いものがありました。

ひなたもニャトランに直接的に涙を見せないよう堪えているところに成長を感じたし、ペギタンを気遣っていたちゆちーも別れ際に一番涙腺にきていた感じがあったし、やっぱり寂しいけどパートナーとのお別れシーンって良いものだと改めて思えたよ。