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ヒーリングっど♥プリキュア 第28話 「苦しみの再来!?ダルイゼン、あなたは」 感想

ヒーリングっど♥プリキュア 第28話 「苦しみの再来!?ダルイゼン、あなたは」 感想

決して相容れることのない存在との因縁の対峙。

自身を蝕んだ元凶と自らを育んだ存在との邂逅の果てに待つものは

原因不明の病に蝕まれたのどかの身に起こっていたことの真相と、自らを生み出す為に蝕まれた宿主がのどかであったことを思い出したダルイゼンと両者のルーツに迫る回であり、本作の本質的な部分に改めて迫る回でもあったと思います。人類と病原体の終わることなき戦いの歴史。そう、人と病は切っても切れない間柄であるにも関わらず互いに決して相容れることのない間柄でもあります。

病は人や動植物から生まれいづるものだし、それらを媒介せずして繁栄も存続もあり得ないものね。人の身の中で育まれなければ成長することは出来ず、さりとてそれを誰からも望まれることはない。基本的には尊いこととされる育みや成長がプラスに捉えられない、というのも病原体特有の事象であるなと改めて思うし、そこに本作のテーマに直結する要素もあるのではないだろうか。

病気は成長させてはいけないし他人に移してもいけない。だから望むと望まざるとに関わらず成長させてしまったことに負い目も感じてしまうし、宿主として生み出した存在だとしても慈しみを持って接することも難しい。同じように生まれたケダリーを即座に浄化したこともそうですが、ここにのどかの対応の難しさもあり、またプリキュアとしての使命以外に一個人としての責任感が生じているのも面白いなと感じたところです。

のどかの子供というわけではないけどのどかを介して生まれ育ってしまったダルイゼン。認めるわけにはいかないけど目を背けることも出来ない。自らを苦しめ今こうして目に見える形で対峙した彼を乗り越えるというのは、のどかにとって本当に色々な意味が込められた行為になるだけに目が離せない。互いに切っても切れない間柄。さりとてただ倒せばいいというわけでもなく、さりとて仲良くすればいいというわけでもない。

この独特なニュアンスと関係性故に物語としての本作の筋、のどかとダルイゼンの関係性の決着がどうなるかは本当に見ものです。毒をもって毒を制す、ではないかもしれないけど病原菌も必ずしも悪いものではなく、使いようによっては人を守り癒やしに通ずる力を発揮することもある。当時はまだだけどプリキュアを宿主として生まれたダルイゼンは、それ故に如何様にも変わり得る特殊な存在とも言えるだろう。

ダルイゼンとの決着は過去との決別、ひいては人間と病の有り様、その向き合い方に対するのどかなりの回答を示すことに他ならない。やはり本作はのどかとダルイゼンの関係性が軸となり、その上で展開されていることを改めて意識付けられた回でした。いや、これ最終的にどのようなところで決着させるのか気になるし、新展開に向けてインパクトある導入が出来ていたと思います。この先どうなるか本当楽しみです。

のどかの内面的な成長と芽生える責任感

過去の病の原因も判明し宿主として二度の苦しみを乗り越えたことで更に増すのどかの逞しさ。いや、実際に原因不明の病気って本人にとっては恐怖しかないし、痛みや苦しみを分かち合うことも出来ず孤独に耐えることって本当に辛いこと。だから立ち向かうべき相手をハッキリと認識し、共に戦ってくれる仲間がいる今の状況は昔と違って本当に心強いし頼もしいこと。のどかが強く在ることが出来るのも分かる。

でも、それだけにその仲間や大切な人に対する負い目も感じちゃうよね。本人は悪くなくても自分が生み出したテラビョーゲンが周りを着実に蝕むことは、誰よりも病の辛さや苦しさを身を以て知るのどかだからこそ耐えられない。その流れを受けての次回の話になりそうだが、仲間がいることの心強さを知ったからこそ一人で抱え込みすぎず頼ることの大切さも感じて欲しいところ。闘病生活などから必要以上に周りに頼ることを迷惑と捉える節もあるだろうし。

あとのどかが大変な時に周囲の人が本当にのどかのことを大切に思っているのが伝わってきたのは純粋に良かったと思う。両親、友人、パートナー。特にラビリンとのやり取りはね。プリキュアにおいて手を繋ぐことは何よりも特別で神聖なものであると思うけど、手と手を繋いで心の肉球にキュンときたときに力が生まれるのがヒープリなので。