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ワッチャプリマジ! 第49話 「マナマナ・マジパ・チュッピ」 感想

ワッチャプリマジ! 第49話 「マナマナ・マジパ・チュッピ」 感想

プリマジとは即ち愛の物語と見つけたり。

プリマジが生み出した功罪。光と影。プリマジで得られる幸せや喜びよりも、辛く悲しいことの方が多いのならば全てを消し去ってしまう。その身に降りかかった苦悩や重圧を押し殺しながら、それでも世界に愛を届けようとしていたジェニファーが、最愛のリューメを失い、もう一人の父と呼び慕い信頼していた阿智彦に自らの愛を否定されるようなことをされ失意の底に沈んでしまう気持ちは痛いほど分かる。

その気持ちをアポローンが掬い取りジェニファーの望みとしてプリマジごと消滅させるという極端な行為に走るのも致し方ないところはある。不動のプリマジチャンピオンにして愛の伝道師たるジェニファーの苦悩。心の内に抱え続けたそれを誰一人として汲み取り寄り添うことが出来なかったのもあるし、ある意味でその意を汲んだアポローンは、例えやり方は過激であったとしてジェニファーに救いをもたらそうとした側面もあるので。

でも、悲しみを消すために全てを消し去ってしまう。それは光があれば影があるように、影があれば光もまたある。即ちプリマジを通して出会えた大切な存在や、楽しくて幸せな思い出も全て否定することに他ならない。ジェニファーが誰よりも大切に想っているリューメとの幸せな時間も、ファンに愛を届け世界を幸せに包もうとした尊き思いも全てなかったことにされてしまう。

それで救われた人がいたことを。プリマジが存在しジェニファーがいたからこそ可能性の扉を開き、自分自身の世界を大きく広げた陽比野まつりが、功罪の功の部分、憧れの太陽がもたらした光の意義を説くからこそ、ジェニファーに響くのだと思います。プリマジスタとして活動する中で、まつり自身も経験したプリマジをすることで感じる苦しみや辛い出来事。

ひなに破れ努力が結実しなかったことや、周りがエレメンツに選ばれる中で自分だけが選ばれない孤独感。ジェニファーと同様これまであまり表立って他のプリマジスタ達に見せなかった心の内に留めていた感情を押し出し、その上でジェニファーとは逆に辛く苦しいこと以上にプリマジを通して出会えた人との絆や楽しくて幸せな時間が自分に充足感や笑顔を与えてくれたことを。

ジェニファーが届けようとした愛は着実に届き、自分を幸せにしてくれたんだと訴えかけるからこそ、影に呑まれたジェニファーの心に光を差し込むことが出来たのだろう。そして、それはこの物語においてまつりにしか出来なかったことなんだと。これまでの経緯や今の立ち位置を含め、ジェニファーとの関連性から主人公のまつりにしか成しえない見せ方をしてくれたのが嬉しい。

かつてジェニファーから問われた「あなたにとってのプリマジとは何?」という命題を、ここでまつりが彼女に返すのも熱いし、ジェニファーが届けようとした愛と彼女の輝きによって育まれたプリマジスタ達が、今度は孤独に苛まれる彼女を愛で包み込み、プリマジを通して繋がった全員の力を、チュッピとマナマナが共に手を携え持てる力を結集したステージでリューメを救い出していたのも、今作のテーマあればこそだろう。

光あるところに影がある。プリマジの功罪を目の当たりにした時に、最終的に真逆の考え方をするに至ったまつりとジェニファーがいたように、この二人の関係は表裏一体なところがありますが、リューメを取り戻したジェニファーがいる一方で、最愛の相方みゃむを失いかけているまつりがいるところにも、それが表れているような気がします。まつりを支え導いたみゃむとの関係が、最後にどのような形で収められるのか。物語も本当に佳境。次回がどういう感じで描かれるのか本当に楽しみでなりません。

あうるもタテジマも含めた全員での『ワッチャ!プリーズ!マジック! -What's your "Please" Magic?-』が見られて嬉しいですな~。チュッピとマナマナ、科学と魔法、理屈と感情。対照的なものとして位置付けられていたこれらの要素が、渾然一体となって奇跡を起こす大きな力となる今回のプリマジステージに、今作のテーマと今まで築き上げてきた全てのものが凝縮されていたようにも映る。

圧倒的な個の存在感や孤独感でプリマジの影を表現したのがジェニファーのライブであったならば、プリマジを通じて出会い繋がった絆でプリマジの光を表現したのが、まつり達だったのだろうと。プリマジステージの中にもテーマや各キャラの抱く思いが込められているのを感じられて良かったなと心の底から思う次第です。