密やかに伸びやかに

アニメ、PCゲーム、PC関連のニッチな備忘録

ワッチャプリマジ! 第39話 「灼熱ドリーマー 御芽河阿智彦」 感想

ワッチャプリマジ! 第39話 「灼熱ドリーマー 御芽河阿智彦」 感想

御芽河阿智彦が追い求める真のエンターテイメントとは…。

御芽河阿智彦を特集した作中の番組という体裁で進行するだけでも面白いのに、本音と真逆の建前を悪びれることもなく言い放ち、やっぱり大衆向けに聞こえの良いことを言っていたを地で行く御芽河阿智彦のスタイルそのものが一種のエンターテイメントと化していた感じもする灼熱ドリーマーの特番。それを主要プリマジスタだけに留まらず魔法界の面々も含め皆が律儀に見ているところもまた面白い。

大企業オメガコーポの総責任者にしてプリマジ運営の中核にいる成功者にして経営者でもあるので、本音と建前を使い分けるのも至極当然のことではるかもしれないが、それにしたって視聴者目線で見てても絶対に本心でないことは見て取れたし、作中キャラの目線でもあうるには看破されていて、番組内の彼の言葉を真に受けていたのは祈瑠ただ一人だったかもしれないところもシュールさを感じさせる。

勿論、阿智彦には彼なりの信念があって成し遂げなければならない大義のようなものもあるのだろうが、今までの強引且つ独善的とも言える思想がプリマジ界隈にとって良いように働くとは思えないのは自明の理。むしろ彼が建前として語っていたプリマジは潰し合いじゃない、自分に出来ないことをやっている者を認める、弱さや欠点を慈しむ心を持つことの重要性等々。

これらの台詞は阿智彦の本心にそれだけ強い忸怩たる思いがあればこそ出てくる発言でもあるのだろう。マナマナを排除し未だかつて前例のない新たなプリマジのスタイルをチュッピだけで成し遂げようとする様も、彼の言葉を借りれば既成概念を打ち破り革命を巻き起こす。そこにこそ彼の掲げる真のエンターテイメントがあると信ずればこそのものなのだ。

それが正しいのか間違っているのか。そもそもそういう尺度で図れるものかも定かではないが、かつて共にいたまつりの父親である道人との確執。リューメを奪われたジェニファーに対する思い入れ。今まで断片的に示された過去の経緯が彼をここまで強行的な姿勢に駆り立てているのは間違いない。

阿智彦曰く奪われたとも表現していたが、だからことチュッピとマナマナ、人間界と魔法界の異なる存在が手を取り合い力を合わせて事を成そうとするまつり達に対するアンチテーゼとして彼女らの前に立ちはだかる存在になれるとも言えるので。表裏一体で本音と建前を使い分け彼の内心に迫る回をわざわざ用意したのも、最終盤に向けてまつり達が乗り越えるべき課題というか試練というか。

テーマを明確にする意味合いもあったかと思います。グランドフェスに向けてジェニファーと共にもう一波乱巻き起こしてくれそうですし、今まではみゃむにしか興味を向けなかった阿智彦が、道人の娘という事実を知ったまつりに対し、どうアプローチしてくるのかも気になるところで。真のエンターテイメントという名のもとに突き進む御芽河阿智彦の革命。色んな意味で荒れること必至だし楽しみ。

御芽河阿智彦の一番近くにいて恐らく作中の誰よりも彼のやり口や考えを目の当たりにしてきたはずなのに、純粋に灼熱ドリーマー内での父親の発言を信じてヌルいプリマジ企画を持ってきて、相変わらず罵声を浴びせられ駄目だしを食らう祈瑠が哀れというか不憫というか。まぁこれが彼が彼である所以であるかもしれないが、祈瑠が嫉妬して目の敵にしてる妹のあうるは、しっかり父親の本質を見抜く姿を見せてくれてるだけにね。

まつり達との交流でオメガ意外の考え方ややり方があることを知り、外から異なる世界に触れたことで視野を広げ着実に成長してることを伺わせる御芽河あうると、初期から一貫して父親の顔色を窺うことに終始し、不満や鬱憤を溜め続ける一方で変わる気配すら見せない御芽河祈瑠の対照的な在り方も、人間界と魔法界、チュッピとマナマナとは異なる一つの対立軸になっているのかなとも感じる。

これも初期から可能性としてあり得るのかなと思っていたことの一つだが、この鬱憤を溜め続けている祈瑠が父親に反旗を翻し、阿智彦以上の大暴走を見せてくれることは果たしてあるのか。このまま木偶人形のまま終わるのではあんまりにもあんまりだし、最後の最後で悪い意味での輝きを放つか否かも個人的に注目しておきたいなと思ってるところの一つです。