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ワッチャプリマジ! 第26話 「あうるの英吉研究白書!」 感想

ワッチャプリマジ! 第26話 「あうるの英吉研究白書!」 感想

データや数値だけでは計れない楽しさがある。

全てを数値化し最大効率を突き詰める御芽河あうるが居候生活を通して得る新たな知見。しかし、そのあうるが興味を抱き目下最大の研究対象であるまつりではなく、年齢的にも性別的にも離れた英吉おじいちゃんが変化の足がかりになるという話運びが興味深く、あうるがプリマジに対する視野を広げるのと同じように、物語全体としての見せ方の幅が広がった回でもあったように思えました。

如何に天才と言えども自分ひとりだけで完結した世界では、やがて行き詰まってしまうもの。自分とは異なる価値観に触れ、自分にはないものを持つ相手と交流することで、自分だけでは気づけなかった自身の中にある一面を知ることもあれば、相手に触発されることで思いもよらぬ化学変化を起こし、自分ひとりでは至れなかった境地に飛躍を遂げることもあるだろう。

互いに異なる者同士。他者との交わりによる可能性の拡張。度々あうるが掲げる効率の追求は、徹底した不要な要素の排除であるが、それは同時に可能性の芽を摘むことと同義である。不要と断じた要素も見方を変えたり新たな発見があれば有用なものへ転ずることもある。遊び心ではないけど幅をもたせることで、画一的に定めたものを超える可能性の広がり。即ち変数がもたらす奇跡の呼び水にもなる得るのだと。

あうるが飴の店舗運営に関しても効率重視を推す中で、英吉が説いた提供側と客が共に作り上げる空間の意義。これはプリマジにも通じるものがあったと思うし、プリマジとはまた異なる日常生活において、多種多様な人との交流の中での新たな気付きを得るというのは、御芽河という特異な環境で育ったあうるが変わっていく過程で必要な描写でもあったんじゃないかと思います。

また、今回はあうるが自分が知らない楽しさがあることを知ったこととは別に、機械による自動化や利便性の向上が随所で示され、これからの人間界において魔法とマナマナは不要になっていく流れが、暗に刻み込まれていた回でもありました。高度に発達した科学は魔法と見分けがつかない。科学によって推し進められる魔法とマナマナの排除。

マナマナ不要論を公言して憚らなくなった御芽河阿智彦の加速する過激思想。視野を広げ可能性を拡張していく娘のあうるとは対照的に、先鋭化し自分の考えこそが絶対と視野狭窄となっていく阿智彦の構図の見せ方も巧いなと感じたところです。ミクロ目線とマクロ目線。個々の人間関係と物語全体の動きの連動も上手くハマっているんじゃないかなと感じられました。

これからの居候生活であうるがどのように変わり、そして自分の道を突き進む父とどのような形で相まみえることになるのか。父には従順な御芽河祈瑠もあうるに対しては悪印象を隠そうともしてませんし、チュッピとマナマナ、人間界と魔法界の構図とは別に御芽河家の行く末と在り方も気になるところです。陽比野家が温かさと楽しさに満ちた空間なだけに余計にね。

みゃむを容赦なくディスるあうるの物言いが面白い。水と油というか第一印象からして互いに悪印象を抱いている感じもある二人。ただ、みゃむの不必要性をあうるが訴えるのも、マナマナという不確定要素の排除という物語の背景にある事情を反映したもので、代替手段となり得る機械やシステムで魔法と同等かそれ以上の成果を示していたのも、その一環というか表れと言うことも出来るのだろう。

相性最悪の二人が行う掛け合いの面白さもさることながら、それを今のテーマと絡めて単なるコミカルな要素として終わらせない見せ方が良かったなと思います。

プリマジのめが姉ぇはロボットであったか。プリティーシリーズの中でも明確に人間キャラと断言出来るめが姉ぇはプリチャンめが姉ぇだけなので、これはある種のお約束というか今作でもシステム周りに大きな影響力を持つ存在であることは変わらないだろう。

ただ、魔法とマナマナは不要になるという主張が明確になり、そこに向けて動き出したこのタイミングで、めが姉ぇ情報を解禁したのは何らかの意図というかメッセージ性を想起させるものもある。あうるや阿智彦に対しても何か含みをもたせたような感じにも見受けられますし、今後プリマジめが姉ぇがどのような役割を果たしていくのかも要注目ですな。