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ワッチャプリマジ! 第45話 「科学の道、あうるの道」 感想

ワッチャプリマジ! 第45話 「科学の道、あうるの道」 感想

あうるとめが姉ぇの子育て奮闘記!?

というのは半分冗談にしても自分とめが姉ぇの間に生まれた子と称するボルトと相対することで、登場当初は機械的で人間の感情や不確定要素を極力排する傾向にあった御芽河あうるの変化や、彼女の内面的な成長を如実に見て取れることが嬉しい。互いの意思疎通を図ることの重要性という点において赤ちゃんであるボルトのみならず、これまで兄妹や親子としての会話らしい会話を排してきた御芽河家。

祈瑠とあうる、祈瑠と阿智彦の間にも仕事とか義務感ではない家族の会話が芽生え始め、御芽河家周りの環境が変遷していく様を感じられるのも良いよね。ある意味プリマジによって狂わされたと言ってもいい御芽河家の在り方が、プリマジとプリマジスタとしてステージに立つあうるによって様変わりし希望に満ちた空間と関係性を育み始める。

今回に関してはあくまで御芽河家というミクロの視点なんだけど、これが波及して広がればプリマジ界隈、ひいては互いに反目し合い冷え切った関係にあるチュッピとマナマナの在り方も、反転して光を取り戻すことが出来るのではないか。そう思える内容でもあった。チュッピ側の元凶とも言える彼らの変化が、現状を変える先駆けとなり希望の光となるというのも皮肉が効いているかもしれないが。

また、あうる個人の確かな成長と彼女の根底にある科学への思いが、プリマジスタとしての彼女をより確固たるものとし、それによってヘブンズ化を果たすという王道の流れも心地いいものがありました。ジェニファーの一件もあって科学が絶対ではないこと、その失敗が誰かを不幸にすることもある事実に改めて思い至り、一種の恐れを抱いたことで本当に自分と科学は正しいのか。

そこに懐疑的になるあうるの気持ちもよく分かる。でも、科学は膨大の失敗とその積み重ねの果てに発展してきたこと。使う者次第で人を不幸にすることもあるが、逆に幸せをもたらし新たな可能性を切り開く一助となること。それを失敗し続け恐れを抱きながらも立ち上がり、前を向いて歩き出した祈瑠と、対話は出来ずとも相手の考えに思いを馳せることで見出した改善案によって打破していく様も爽快でした。

あうるが科学の持つ可能性と自分の根底にある科学への信頼を更に深めつつ、初期の彼女が否定していて人との繋がりや対話の必要性。兄との対話と直接言葉を交わせないボルトの考えを汲む。これがひいては立場や種族が異なるチュッピとマナマナの間にある深い溝を埋め、現状を打破する為に最も必要なことを示唆してもいたんじゃないかなと思う次第です。

一度は失敗し傷つけてしまったのなら、今度はそこから学び相手を救い幸せをもたらす力に変えてみせる。一人の人間として科学者として、そしてプリマジスタとして一回り大きくなった御芽河あうるの可能性の広がり。それを存分に感じることが出来た今回のお話でした。

あうるの成長も見応えがあったけど今回はそれと同じくらい祈瑠の立ち回りが際立っていて鮮烈でした。今までは鳴かず飛ばずというか癇癪持ちの可哀想な人という印象も強かった祈瑠。彼の境遇を思えばそれも致し方ない部分もあるのだけど、その彼が長きにわたる呪縛を断ち切り、今までの自分の過ちと萎縮していた元凶たる父親相手に毅然とした態度で真っ向から向き合おうとする姿は、それだけに感慨深いものがあります。

あうるのプリマジのみならず自分の目を正面から見据えて自身を伺わせる祈瑠の姿が、意気消沈して抜け殻になっていた阿智彦に、刺激と活力をもたらしたであろうことは疑いようもない。その成長した息子と娘の姿に、心意気に阿智彦が正しく応えてくれることを願ってやまないのである。

祈瑠は今回のあうるに対しての対応だけでも男を見せてくれたけど、阿智彦はやらかしたことの方が未だに大きすぎるだけに。それを払拭して余りある姿を見せてくれたら良いなと思わずにはいられない。これでなお暴走するというのならそれはそれで悪い意味で見応えはあるんだが…。果たしてどちらに転ぶのか。再度動き出す彼の今後の動向に要注目である。