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ワッチャプリマジ! 第30話 「めがねとコンタクト」 感想

ワッチャプリマジ! 第30話 「めがねとコンタクト」 感想

二人の結びつきが共鳴を超えた化学反応を巻き起こす!

人間とAI。種族どころから生物と無機物である御芽河あうるとめが姉ぇの間に生まれた絆の強さに感無量になってしまうのです。あうるの生い立ちとプリマジめが姉ぇの成り立ちが詳らかにされたことで、掴みどころがない部分も多々あった二人が確固たる存在になってくれたし、何もかも一人でやるのが当たり前と思っていたあうるが心の奥底で本当に望んでいたものはなんだったのか。

それを他ならぬ彼女自信が生み出しためが姉ぇが気づかせてくれる存在になってくれるのが尊いし、まつりの度重なるアプローチも決して無駄ではなく、あうると繋がりを持った者たちとの関係性があっての今の決断が成り立っているのが素敵。その部分に良くも悪くも彼女の生家である御芽河家が関わっているのも興味深く、これまで見えにくかった御芽河家の実情も垣間見えたのが印象的でした。

何でも一人でやってしまうあうるの気質にしても、元から備えていた天才性とは別に、特異な家庭環境によって育まれた面が大きくてね。元を辿れば彼女の根幹にあった思いは父親の役に立ちたい、褒めてもらいたいという純粋な願いであり、どこにでもありふれる子供らしいささやかなものであった。それを汲み取ってくれず自らの目的の為に利用することしか考えない父・御芽河阿智彦のアレさも際立つのだが。

ただ、それ故にあうるの純粋な思い。心のエネルギー=ワッチャを動力源として動くめが姉ぇにそれが伝わり、本当の身内には伝わらなかった思いが実質的な姉のポジションにあたるめが姉ぇの感情を呼び起こす契機となっているのが巧い見せ方だと感心させられる。本気=マジは自分のみならず相手を揺さぶり変化をもたらす大きな呼び水となる。

改めて本作におけるマジの位置付け。デュオ結成に至るまでの経緯。最近の物語の流れを汲み、異なる者同士が結びつくことで生まれる奇跡や可能性の広がりという点を踏まえた上で、あうるにとってデュオを組む意義は何かを見出していたのが素晴らしい。予想以上に強い結束を見せてくれたあうるとめが姉ぇの関係性も見応えのあるもので嬉しかったのです。

ある意味においてマナマナが不要のプリマジを実現させた張本人であるあうるが、一人だけで完結しない他者との繋がりを求め始めるという流れも面白いですよね。人間と機械、チュッピとマナマナ。異なる者が結びつくことで生じる可能性と奇跡を、他でもない彼女が体現して見せることの意義。まつりとのデュオプリマジでそれを実現してみせてくれるのが楽しみでならないのです。

あうるとめが姉ぇの共鳴を超えた化学反応によってまさか百合出産が実現してしまうとは夢にも思わず。雷のフラッシュエレメンツ・ボルト…これはもう実質あうるちゃんとめが姉ぇの子供と言っても過言ではないだろう。ワッチャがもたらす奇跡の体現の一つ。象徴的な存在として今後の物語でどんな役割を担ってくれるのか注目したい。

しかしワッチャが高まればプリズム出産も可能な世界と判明したので、各デュオの子供がこれから複数登場する可能性もあり得るのかな。エレメンツコーデは限られてはいるのだろうが、今後のデュオプリマジが違う意味でも楽しみになったのは言うまでもない。

あうるの生い立ちを描く過程で御芽河家の歪なところもより鮮明になってきた。子供を顧みることなく自らの目的に邁進する御芽河阿智彦の在り方は、ある意味でプリティーシリーズ、特にプリリズ時代に見られた毒親のそれに通じるものがある気もする。一方でその影響を受けざるを得ないのが彼の子供である祈瑠とあうるで。特に祈瑠の方の歪みっぷりは今後の懸念材料の一つで今回を見てその感じは更に増した。

自分こそが御芽河の後継者に相応しいと自負しながらも能力は妹よりも圧倒的に劣り、目をかけてもらいたい父親からはまるで相手にされることなく、あうるのように頼りにされることもなくて。そんな環境で生まれ育てば歪むのも無理はないとも思うけど、ひゅーいや橙真に対する物言いなどを見るに、今後その歪みと危うさが増していきそうで嫌な予感しかしない。

昔の如何にもな嫉妬する姿から主に髪型面では垢抜けた感じもあるが、いずれにしてもストレスとフラストレーションを溜めに溜めまくった祈瑠の暴走が危惧される今日このごろ。このままヘタレで終わればそれはそれで良いのだけど、一騒動起こしそうですよね。むしろ自らを省みない父親への長年の積もり積もった感情から取って代わろうとする展開も見てみたいかもしれない。あうるとは違う意味でこちらの御芽河の犠牲者にも要注目なのである。