密やかに伸びやかに

アニメ、PCゲーム、PC関連のニッチな備忘録

キラッとプリ☆チャン 第137話 「イブを救え!プリ☆チャンファンタジーだッチュ!」 感想

キラッとプリ☆チャン 第137話 「イブを救え!プリ☆チャンファンタジーだッチュ!」 感想

魔王ルルナの塔から捕らわれのイブ姫を助け出せ!

歴代要素も交えたプリチャンファンタジーから紐解くイブとルルナの現況

古き良き日本のロールプレイングゲームを踏襲した一騒動。純粋にネタに振り切っているところもあったので、ゲームキャラに扮したみらい達のドタバタ騒動や、魔王ポジでも相変わらずノリノリで巨大化までして楽しそうなルルナのはっちゃけ具合等々。見ていて素直に楽しい回でしたが、それだけで終わるとあんまりなので今回のゲーム内の冒険。その中に散りばめられた諸要素からもう少し読み解いてみたい。

一見するとネタ回で結局ルルナが何故ここまで性急とも言える過激な行動に出たのか。急変した態度を取ったのか。その理由は分からなかったのだけど、プリチャンファンタジーの中に散りばめられた諸要素から、今回の話の中で何を訴えかけたかったのか。現在のイブとルルナの関係性や立ち位置、二人が抱える問題の要点は何なのか。それが少し見えてくる気がします。

前回の感想でも書いたけど、ルルナはイブが自分の庇護下から離れること。保護者である自分の意に反し子供のイブが自分の意思で何かをしたいと思い立ち、ルルナが作り出す安息が保証された閉じられた夢のような世界から独り立ちして外に向かうことを良しとは出来ない感情を抱えている節が見受けられる。端的に言ってしまえば子離れできない親のそれ。

我が子の成長を認められず、いつまでも手元に置いておきたい過保護とも言える歪な愛情の発露。それが今のルルナの現状ではないかと。それに対する一つの解が今回のライブ構成にも表れていたと思います。若干唐突にも思える形で挟まれたメルテックスターのライブ。流してしまえばそれまでだけどルルナのライブに対の構成と取ると、その意義も変わって見えてくる気がします。

ルルナの「Lustro della LUNA」は夢を見ない眠りへの誘いや閉じた世界での永遠の安息を歌っている。それに対しメルテックの「寝ても覚めてもDREAMIN' GIRL」は寝ても覚めても夢を見るから生きていける。夢のためなら広い世界に飛んでいけることを歌っていて、何よりメルティックスターは好きなことに突っ走り、どんなときも失敗を恐れず広い世界に飛び出していける女の子たちなのです。

つまるところ今回のメルティックのライブは、ルルナの考えや彼女が体現する思想について一種のカウンターとして機能していたと感じた。他にもイブが捕らえられていた鳥かごは、プリパラそふぃの解放乙女ヴァルキュリア。つまり自立を認められない鳥かごの初期そふぃを連想させるし、パックの塔を連想させるルルナの塔は、歪んだ愛情から来る独占欲を連想させられるのです。

子どもはいつまでも親の庇護下にあるものではなく、自我が芽生え育まれ自分のやりたいことを見つけて独り立ちしていくもの。その流れは止められるものではなく、在りし日の親子の関係性は時の流れと共に変容していくものです。故に時を止めようとするかの如くイブを手元から離そうとしないルルナにとって、同じように止まっていた時を動かし、硬直していた状況を打破した夢川ゆいのスターシステム的キャラ、激川ゆいはルルナにとっての天敵であり一種のアンチテーゼの象徴として成立するのではないだろうか。

そもそも今回の騒動の発端であるルルナの「これはあなたのため」発言も、プリリズ時代の毒親勢の決まり文句にして象徴的台詞。かように今回はプリティーシリーズの歴代要素からも、歪んだ親子関係や歪んだ愛情表現が浮かび上がる構成として仕上げられており、ネタ要素の中にプリティーシリーズの本質というか闇の部分が見え隠れする回でもあったかなと。

最後のお互いに一旦距離を置いて冷却期間を設けるという流れも、完全に歪んだ親子関係のそれだったものね。幼少期から常に一緒にいた育ての親と手塩にかけて育てた愛娘。イブとルルナが初めて離れた時にお互い何を思うのか。本当の家族であるアリスと共同生活を送る中で、イブは何を思い何を感じるのか。話が動いてきた俄然楽しくなってきたシーズン3終盤。波乱含みな展開を楽しみに見守っていきたい。

激川ゆいはルルナの天敵となり得るだろうか

上の方でも触れたけど本作における激川ゆいの立ち位置と役回りが今回の話で見えた気がします。単なるファンサービス要員で終わるのではなく、テーマに基づいてしっかりとして役割が振られていそうなのが伝わってきて嬉しいな。勿論主役はみらい達であり、当事者になるのはイブたちなのだが、それを変えるキッカケや背中を押す役割は、シリーズの先代主人公として果たしてもいいんじゃないか。

思うにバグッチュを捕獲しようと激情にかられておしゃまを追い回していたときも、彼女に冷静さを取り戻させたのは他ならぬゆいでした。意図せず田んぼ荒らしてたもんね。ともあれあの時にしても今回にしてもルルナにとってゆいが壁役としてせき止めるみたいな構図になっているようにも見える。在りし日のままで止まることを強いるルルナにとって止まった時を動かしてしまいかねない特異点

激川ゆいは大きな鍵を握る存在となり得るのかもしれないですね。思わぬ障壁にして予想外の来訪者。激川ゆいはやはり本作にとってターニングポイントとなるキャラだったと改めて思えたところでした。しかし、前の時といい今回といいゆいの出したお米やおにぎりをしっかり食べてるルルナ可愛いじゃないか。ともあれお腹が空いたらイライラしちゃう。ゆいのメッセージに真理を見た思いで一杯。

おしゃまも冒険の仲間として正式に加わってたのが嬉しい

仲間になりたそうにこちらを見ているおしゃま可愛すぎか!おしゃマミーになった二人もゲーム内でしっかり仲間に加わり、共に戦う存在として並んでくれたことの喜びよ。ファンサービス精神とは別にシーズン3ではおしゃまも立派な主要キャラの一角ということが、こういうところからも感じられる気がして嬉しい。