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キラッとプリ☆チャン 第141話 「運命のライブ アリスとイブ!」 感想

キラッとプリ☆チャン 第141話 「運命のライブ アリスとイブ!」 感想

想像以上に極まっていたルルナの悪役っぷり。

明かされた過去の経緯とルルナの真意!すれ違うイブとルルナの一つの結末

視聴者目線ではほぼ明確だったアリスとイブの姉妹関係、アリスの出自と今に至るまでの過去の経緯、輝姉妹のデュオライブ、そして極めつけとなる想定を遥かに上回るルルナの狂信的とも取れる支配思想の激白等々。箇条書きにしただけでも濃密すぎる内容で、その一つ一つが物語上でも大事なウェイトを占める要素でしたが、その中でもルルナの立ち居振る舞いと、彼女が辿った皮肉な末路はやはり印象深すぎる。

ソルルの語る過去の出来事が本当にあったことなら、マスコットが人間を支配するというルルナの思想は、イブと夢を共有するよりも前から持っていたことになるもんね。イブへの情愛の強さから長い時間をかけて徐々に歪んだとかではなく、割りと最初からルルナはこういう思考の持ち主だったというのは個人的には意外でした。暴走の果てという意味では変わらないかもだけど。

ただ、人間を支配というところだけ見るとディストピア的な世界をイメージしがちだけど、ルルナが語るマスコットの支配はもっとミクロな視点で個人的なものなのだなとも同時に思います。ここ数話の感想でも繰り返し言ってますが、要は庇護対象であるイブをいつまでも自分の手元に、近くに置いておきたい。子供の独り立ちや自分の意に反する自立した思考を許さず、親の言うことを聞いて安全なところにいればそれでいい。

子供の幸せを願いつつも、その実で真に子供のためにはなっていない。そんな独り善がりで子離れできない親の行き着いた悪い意味での究極系とでも言いますか。だからこそイブに面と向かって拒絶の意思をハッキリ示されたことに深いショックを受けるし、ルルナ視点で安定しているはずの自分たちの関係性を壊し、それを助長するかのように唆すソルルのことが許せないわけで。

アリスとイブの出自と過去が明らかになったことで、ソルルとルルナの思惑と立ち位置も明白になったと思います。子供の自主自立を促し何より子の自由意思を尊重するのがソルルであり、子供の自主自立は認めず子の為という理想を当てはめるのがルルナなのだと。小さいながらも自分のお店を経営して自活するアリスと、親から引き継いだ会社に縛られるイブの相関性も、全てはここに集約されるのだなぁと。

そんな感じでアリイブとソルルナの過去の経緯や胸中が明かされ、今と結びついたことでそれぞれの立ち位置や思惑がより明確に浮かび上がった回だと思います。ルルナに関しては浮かび上がりすぎなところもあり、良くも悪くもその悪役然として立ち居振る舞いは見応え抜群だったよ。ただ今回はソルル目線での見方が強かったのもあるので、もしかしたらがあるかもしれないが…。

ともすれば重くなりがちなシーンも多かったけど、そこはプリチャンでギャグとシリアスの塩梅も良かったんじゃないかな。バトル漫画さながらに散ったかと思ったルルナも健在であり、ここからどのような巻き返しを図るのかにも期待は高まる。最終的にはイブやソルルと和解して皆で笑い合える幸せを手にして欲しいけどね。ともあれ暫くは久方ぶりの再会を果たした本当の家族と姉妹の心温まる日々を堪能していけたらいいな。

新曲『アドリブ・デスティニー』に込められた思いがもたらす皮肉の末路

待ちに待ったアリスとイブのデュオライブ。定められた運命の破壊やト書き通りに動かされる現状の打破、離れても再会を信じ未来への展望を謳っており、まさにアリスとイブの軌跡を追うようなライブなのだが、楽曲の誕生した経緯が経緯なだけに複雑な気持ちにもなってしまう。

幼き赤子の二人を思い、二人に迫る危険を打ち消すバスタープログラムとして生まれた『アドリブ・デスティニー』。当時は純粋に庇護対象であるアリイブを守りたいという思いから生まれたはずの歌。それが、守ってあげたかったの我が子から自らを滅ぼす歌として向けられるのだから皮肉としか言いようがないのである。自分自身が庇護対象を脅かす危険分子と成り果てる悲しき運命よ。

ということで凄く良い曲だしアリイブのライブを楽しみにしていたので嬉しかったんだけど、なまじ曲のバックボーンがしっかりしているだけに、一種の物悲しさを伴うライブとなっていた気がします。イブもあわやルルナを消滅させる歌と知っていれば、ソルルに素直に従って歌わなかったのかもしれないが…。その辺もちょっと気掛かりといえば気掛かり。

ルルナは滅びぬ!何度でも蘇るさ!マスコットの力こそ人類の夢だからだ!

と言わんばかりのルルナの復活劇。いや、あわや消滅しかけたシーンにしても過去回想でのソルルとの対立にしてもそうなんだけど、今回ソルルナだけバトルもののノリで当たり前のように戦闘を繰り広げていたのが面白かった。バスタープログラムの余波で消滅しかけたところなんかは、本当モロにバトルもので強敵が散るときのそれだったし楽しすぎる。

まさかのプチマスコット化、もといチビルルナとして人知れず生き残っていたルルナの逆襲が…果たしてここから始まるのだろうか。ルルナの巻き返しにも期待しておこう。しかし、あれだ。やっぱりぐぬぬってこそのルルナだと改めて思うし、涙目でぐぬぬってるチビルルナが可愛いのズルい!ここに来てマスコット本来の可愛さをアピールしてくるの反則だよ!