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キボウノチカラ~オトナプリキュア‘23~ 第2話 「ケツイノスガタ」 感想

キボウノチカラ~オトナプリキュア‘23~ 第2話 「ケツイノスガタ」 感想

あの時のような志と気持ちを胸に!プリキュアは諦めない!

お酒の席での旧友との再会の一時に心温まる。久方ぶりの再会だけど苦楽を共にした旧知の仲だからこそ、一瞬で当時の空気感に舞い戻れるし、プリキュアだった頃のお馴染みのフレーズやネタを交えた会話劇は、作中ののぞみ達だけでなく見ている自分としても嬉しくなるし楽しい気持ちに浸らせてくれる。

お酒を酌み交わしたことで子供だった頃には見られなかった新たな一面や、時間経過による内面的な変化や成長、転じてあの頃と変わっていない部分も引き出されており、憂いを帯びた大人としての顔と本来の持ち味そのままの顔を見せてくれたことで、改めて各キュラの魅力と彼女らがそれぞれ抱えている今の悩みや現状も、視聴者目線において改めて垣間見ることが出来ました。

のぞみ達の目線では皆がかつて抱いた夢を叶えて、表面上は順風満帆な人生を送っているよう各々が振る舞っている。それを互いに悟られないよう振る舞うところが、彼女らが大人になった部分とも言えるし、デリケートな部分にお互い安易に踏み込むことをせず、問題が即座に解決とならないところが、中学生だった当時と異なる今の姿と見ることも出来るだろう。

それだけに前回描かれなかったのぞみとりんを除くメンバーが抱える悩みや葛藤。どこか鬱屈した感情を溜め込んでいる今の現在の在りようが印象深く映るし、かつてのように何とか道を切り開きたいという思いは持ちながらも、どうにもならない現実を前に打ちひしがれたり耐える姿が生々しさを伴って刻み込まれてくる。停滞した現状に対するやるせなさやもどかしさ。

子どもの時のように感情を素直に発露させたり爆発させることも叶わず、立ちはだかる現実という名の壁を前に精神をすり減らすような日々を過ごすことを余儀なくされている。その現状を打破したい思いはありつつも変わらない現実。子供の頃と違って諦めや妥協を良しとするまではいかずとも、それも仕方ないことかと割り切ってしまうことを無意識に受け入れてしまっている状態と言いますか。

それこそが現実を生きる我々の感覚に近しいもので、次第に諦めや妥協を無自覚に重ねるようになることを、大人になることと言い換えることも出来るかもしれません。故にかつてナイトメアに囚われた時のように、シャドウによって自分の無力さを突きつけられ、諦めることを促されたのぞみが、自らの力と意思で振り払い、それを良しとしない「諦めない姿勢と意思」を見せつけることに意味が生まれるのだ。

夢と希望に溢れたあの頃の自分がそうであったように。いつの間にかそれらを受け入れてしまっていた自分が取り戻したかつての意思と姿勢。タイムフラワーが花開きのぞみの元に再び蝶が現れ、成長過程においていつの間にか失くなっていたキュアモが、このタイミングで戻ってきたのもそういうことなのだろう。プリキュアは諦めない!これはオトナプリキュアにおいても変わらぬ絶対不変の真理なのだろう。

大人として成長しそれぞれに苦労する皆の今の現実を見たからこそ、それと改めて向き合い跳ね除けていくキュアドリームの力強い鮮烈な姿に惹かれてしまう。オトナの姿で変身ではなく当時の姿に戻ることの意味。それを存分に感じられる回でした。ナッツやシロップも良い意味で変わってなかったし、同窓会的な意味での楽しさとほろ苦さが程よい塩梅で混ざりあった構成。ココも含めて再会の時が楽しみだ。

タイムフラワーの力によって中学生当時の姿に戻ったのぞみが見せてくれた久しぶりの変身!制作上の都合とかオトナのままでの変身は禁じ手的なメタ的な諸事情は置いておくとして、何故のぞみが当時の姿に戻った上で今一度キュアドリームとしての姿を取り戻したのか。その個人的解釈に関しては上述した通りなんだけど、やっぱりキュアドリームの存在感は群を抜いていると実感させられてしまう。

時を経た再度のデビュー戦に関しても迫真のバトル描写でしたし、男前な表情や拳の振るい方を見せつけてくれた上に、まるで敵役のように赤目を光らせながら圧倒的な強者感を醸し出してくるんだもの。相手をすることになったシャドウの方が絶望感に浸ってしまいそうなくらいね。この力強さ半端ない。

まぁでもやっぱり個人的には禁じ手と思いつつも、それでもオトナ姿でメタモルフォーゼする姿を見てみたい思いは捨てられないのです。諦めや妥協を良しとはしない。最後の方で何かを見せつけてくれる可能性に期待しつつ、その時が来ることを密かに待ち続けたいと思いまする。

お酒が入った状態での皆の会話シーンが純粋に楽しくて好き。絡み酒かと思いきや泣き上戸でもあったりんの酒癖も普段の姿とギャップがあって良いし、妖精枠のくるみを除いてチーム最年少のうららが、普通にお酒を嗜むようになって強いというのも当時と違った印象を抱かせてくれる。ほろ酔い気分に浸る姿は良きものだ。

レモンサワーを頼んだうららに対するのぞみの「はじけるレモンの香り」いじりは、どうしたってニマニマしてしまうのは致し方ないこと。オトナプリキュアをやるにあたって公式も絶対にやりたかったネタの一つではないだろうか。

あと前回の時点で既に日本酒を嗜んでいそうな気配はあったくるみは、もうこっちの世界に馴染みすぎていてね。大吟醸を豪快に頼みながらもお酒には弱くポワポワしている姿に和みます。スーツ姿でキリッとしているようで、やっぱり何かやらかしそうな危うさも内包している。くるみ、もといミルクはミルクで本質的な部分は変わっていないということだろう。ココナッツに対する忠誠心やお世話役としての矜持も含めて。