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キボウノチカラ~オトナプリキュア‘23~ 第3話 「ココロノキオク」 感想

キボウノチカラ~オトナプリキュア‘23~ 第3話 「ココロノキオク」 感想

立ち返るべき原点と意外な出会いと再会。

医者になったかれんのメイン回ということもあって、身体的な意味での十代の頃の差と、子供と大人の感性や目線の違い。人と接する上で相手の心を慮ることの重要性が際立っていた。飲み会の席でのぞみが言った十代の体の軽さや肌艶の良さに関しても、ネタ性を有した発言であると同時に、当時は当たり前のように享受していた十代の若さ。特権。

それを二十代になったからこそ思い至れるようになったという事実も有している。そして大人になったから気付けるようになったことがある一方で、大人になってしまったからこそ見えにくくなることもあるのだ。かれんが担当することになった陸上部の篠崎ナナの気性の荒さ。周りの全てを拒絶し頑なに自分の殻に閉じこもろうとする意固地さを見せた少女の複雑な心境。

医者を志した頃よりも専門的な知識や経験も蓄えてきた自負がありながらも、何故か患者に寄り添えず互いに気持ちを通わせることが出来ない現実。手術も無事に終わりリハビリを頑張れば元のように走れると諭すのに、医者としての自分の思いがナナに届かないもどかしさ。医者として確かな知識や経験に基づき適切に対処する。それは当たり前のことで間違っているといはいえない。

しかし、人間を相手にする以上、全てを一律に括って語ることは不可能なのである。人それぞれ性格も違えば辿ってきた境遇も異なる。だからこそ一人ひとりの心に寄り添うことが肝要で。まして相手が多感な時期の少女であれば尚の事。理想論と言われようともそれなくして互いをよく知らない相手に自分の本心が伝わることもないし真の意味で信頼を得ることも叶わない。

かれんの夢の始まり。医者を志した原点は弱ったミルクを介抱した一件に端を発している。あの時は今のように専門的な知識も経験も皆無で、かれんは看病の経験すらロクになかったんだよね。故にじいやに助言を貰いながら自分に出来ることを必死に考えて、苦しむミルクを少しでも助けてあげたい一心で寄り添っていた。だからこそかれんはミルクから絶大な信頼と好意を寄せられ、今もなお互いに強く結びついているのだ。

相手の目線に立つ。その立場に立って初めて気付けることや見える物事がある。一年頑張れば快復するという大人の意見は事実だが、二十代以降の一年と十代の一年は同じ一年でも密度も意味合いも全く異なる。車椅子でのリハビリ生活に対する不安や焦燥にしてもそうで。先行きが見えず目標や熱意を喪失した相手に対する接し方。心に寄り添うことの意義。

たとえ完全に理解は出来なくとも。かれんが改めてそこに思い至り不器用ながらも同じ目線に立って寄り添う姿勢を見せてくれたからこそ、頑なだったナナの方も少しずつ心を開き、かれんと視線を交わして合わせようと歩み寄ってくれる。相手に寄り添い心を通わせ合う。かれんにとっての医者としての原点でもあり、プリキュアとしての原点と言えるかもしれませんね。

知識や経験も勿論大切だけどそれが全てではない。あの頃と同じように自分の気持ちを伝えることが苦手で、胸に思いを秘してしまう傾向にあるかれんの愛すべき不器用さだが、同じように不器用で未熟な患者の篠崎ナナと相対する中で、相手の気持に寄り添うことの大切さという心情的な初心に立ち返り、それを経て内面的にも成長したことを感じられたのが良かった。

かれんとくるみ/ミルクのコンビエピソードということもあって二人の原点や仲良くなるキッカケの描写。そして今も変わらぬ繋がりを感じられる要素が随所に見受けられたのが嬉しい。なかなか両親と会えないかれんを幼少の頃より支えてくれていたじいやさんも今なお健在ですし、両親は変わらず世界的に著名な演奏家として各地を飛び回っていたり。

その中でもやっぱり極めつけはかれミルのイチャイチャっぷりですな。お酒に酔ってへべれけ状態のくるみを介抱するかれんさんと、じいやさんにまで絡もうとするくるみのフワフワした感じが見ていて微笑ましくて。共にちょっと厄介な上司を持つ者同士が心の友である相手と愚痴り合い、二人だけの空間で当時の空気に浸りながら原点に立ち返っているのも堪らないじゃないか。

オトナになった今かれんに何が必要なのか。プリキュア5時代の名シーンや、かれんとミルクにとっての大切な思い出をしっかりと回収した上で、かれんの確かな成長エピソードとして仕上げてくれていて嬉しい。今もかれんに甘えるミルクに乾杯。

今回はかれミル回だったけど最後の最後に熱い見せ場!まさかここで5組とSS組が対面するとは予想外だけど嬉しいサプライズ!まぁ皆の行きつけの店が健太と優子が経営してるところなので、5勢より咲と舞の2人がいる方が自然とも言える。

オールスターズなどの映画やニチアサ本流の方の特別回などでも全員勢揃いして出会っている経緯もあってなのか。今作オトナプリキュアの中では互いに面識がある状態のようで。オトナになった咲舞の現状も気になるし、のぞみ達とどんな交流を見せていってくれるのかも楽しみ。

何より個人的にプリキュア界でも屈指の美少女だと今でも思っている美翔舞さんがオトナになっても美人すぎて破壊力やばす。あどけなさも残しているの本当ズルい。こんなの反則です。