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ミュークルドリーミーみっくす! 第15話 「大そうじでピカピカハッピー!」 感想

ミュークルドリーミーみっくす! 第15話 「大そうじでピカピカハッピー!」 感想

消すことなんて出来ない大切な気持ち。

母校である小学校を訪れ朝陽の脳裏に蘇る幼き日の思い出。節目での大掃除は一つの区切りを付けたり、色々なものを整理して改めて見つめ直す契機になるものだけど、中学生になった今の立場とか色々と変わったことなどを取っ払い、純粋でシンプルだった頃に漠然と感じていた気持ちを、成長した朝陽の今の感性で見つめ直し自分の気持と向き合っている見せ方が凄く良かった。

幼い頃からずっと一緒にいる間柄で周りもその特別な距離感を何とはなしに察している。でも、特に小学校の時分だと周囲はそれをからかったたり当人同士だと素直に認められなかったりするのもままあることで。朝陽は極端な反応とか過剰な否定をする子ではなかったようですが、それでも黒板の日直のところに書かれた相合い傘を、当時はその意味を知らず消したのも気恥ずかしさを覆い隠すささやかな抵抗の表れで。

それに加えて今まで特別な意識をすることなく仲良くしてきた幼馴染のゆめとの関係性が、それを意識した途端に確実に変わることへの恐れ。未知の感覚の片鱗を感じたからこその拒絶反応の表れでもあったのだろうと。だからこそ中学生になった朝陽が、あの時に感じたものに今一度触れて、今度はこのままでいいと言い切るところに、彼の確かな成長と変わっていくことへ決意を感じられたのです。

朝陽目線でゆめとの関係性はもうただの幼馴染ではなく、気になる異性として意識してることを改めて明示してくれたのが嬉しい。それを誤魔化したり気付いていないのではなく、しっかりと自分の気持ちとゆめに向ける感情を理解した上で、素直にそれを認められるようになっていることが感慨深い。れいくんの度重なる教育の賜物とでも言いますか。それも確実に今の朝陽に影響を与えているのだろう。

前回の花火大会で色々な動きがあったのだけど、朝陽とゆめの間にそれぞれ意識を向ける人の存在が仄めかされただけにですね。朝陽の意識が誰を向いているのかをハッキリとさせ、それが単に幼馴染に向けるものではなくそれ以上のものが含まれていることを描いてくれたのが良かったなと。相関関係をスッキリさせるという意味も含め非常に意義深い大掃除回だったのではないでしょうか。

二人の共通の思い出が詰まっている母校を舞台に、成長した朝陽が当時の自分の気持ちを見つめ直し、この先の展望を見据えるというプロセスが本当に丁寧だし巧い魅せ方でした。ギャグ全開のミュークルドリーミーも勿論好きだけど、ゆめと朝陽の関係性は本作の軸の一つであることを改めて実感させれた次第です。その切なる純粋な思いがいつか届く日が来ますよう。

姿形はまんまでしたが名前を出せない「げ○○○くん」の作中での扱いと行動が面白すぎた。いや、内容的にも正統派の凄く良い回でしたし普通に許可が貰えそうな気もするのですがダメだったのか申請するのが面倒だったのか。

チアふるタイムの補助とか朝陽が自分の気持ちと向き合うキッカケをくれたりと大活躍。げくんにかかれば恥ずかしい過去も綺麗サッパリピカピカとのことでしたが、朝陽が消すべき過去はこの素敵で無敵な相合い傘ではなく、あの回とかこの回でのあれこれの方ではないかと思ってしまったことは内緒。