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ミュークルドリーミー 第32話 「誕生日はワンワンいちごー!」 感想

ミュークルドリーミー 第32話 「誕生日はワンワンいちごー!」 感想

これで朝陽くんもティーンエイジャーの仲間入りだ!

二組の幼馴染の対照的な在り方が際立つ誕生日エピソード

人の振り見て我が振り直せとまでは言わないにしても、ゆめが幼馴染の誕生日を契機に自分にとっての朝陽の存在を今一度見つめ直し、もう一組の幼馴染である杉山先輩と百合先輩の在り方を見て、自分の気持ちと客観的に向き合う回でもあったんじゃないかなと感じました。ゆめの杉山先輩に対する想いにしても、好意以上に素敵な先輩であり幼馴染な二人が一緒にいることへの憧れが強調されたのも印象的でしたね。

それにしてもフリマ回ではモヤモヤを抱えた朝陽くんが良い形で報われる一方で、杉山先輩と百合先輩側の幼馴染同士の感情が不穏すぎて新たな悩みのタネも生まれている。特に杉山先輩が抱えている心の闇は、当初私が想定していたよりも相当に根深く厄介なものなんじゃないかと思えてきて、歪な環境や感情に身を任せている杉山先輩がどのような顛末を辿るのかが怖くもあるな~。

周りからは完璧な先輩、羨望の対象である杉山先輩ですが、自分に対する自己評価はかなり低い、もしくは厳しいものがあるのでという感じも見受けられます。両親も優秀過ぎる子供たちという評を述べていたけど、自分以上に優秀過ぎる弟との比較で今みたいな感じになってしまったのかなぁ。この自己評価の低さが百合先輩や杉山ファンクラ部への対応に出てるのかもしれませんね。

自分にはそこまで慕ってもらう価値も気にかけてもらう価値もないみたいな。誰も悪意があるわけじゃない。でも、必要以上に周りから寄せられる過度な期待や羨望の眼差しが、杉山先輩をある意味で孤立させ誰にも相談できない状況を作ってしまった面もあったのかな。まるで全てを振り払うように周囲との関わりを断とうとする今回の彼の行動も、その印象をより一層強めていた気もする。

七五三の頃から今に至るまで変わることない日向ゆめと南川朝陽がいる一方で、海外留学や多くの人にとって初めての人生の分岐点となる受験を間近に控え、変わらざるを得ない状況にいる杉山遼仁と沢村百合がいる。幼馴染はいつまでも仲良しでプレゼントを渡し合える関係でいたいと願うゆめが、自分たちとは異なる幼馴染に対しどのような立ち回りを見せてくれるのか注目したい。

でも、今回は朝陽がゆめにプレゼントを貰えて真っ当に報われたのが何よりでした。前回の流れから更に曇るんじゃないかと危惧していたけど杞憂に終わって本当に良かった。一途に頑張る彼にも報われて欲しいし、杉山先輩や百合先輩にだって幸せになってほしい。杉山先輩のことを本当に心配し気にかけてくれる存在は、きっと彼が思っているよりもずっと多いはずだから。

ゆに様とつぎはぎが杉山先輩にとっての救いとなってほしい

今回も敬愛するご主人様の為に頑張るゆに様たちが健気可愛い!上でも少し触れたけど幼馴染や両親にすら心に抱える本音を曝け出すことが出来ず、全てを自分の胸の内に秘めて一人で抱えているのが今の杉山先輩のような気もするのです。だからこそ彼の表と裏の顔を両方見ることが出来るオンリーワンな立ち位置にいるゆに達の存在って特別で大きなものがあるんじゃないかなと。

ゆにたちにとっても初めてのご主人様で全能の存在のように捉えている杉山先輩。でも決してそうではなく彼もまた人知れず悩みを抱える一人の人間ということを、ゆに達もなんとはなしに察し始めている様子も見受けられる。もとは誰にも顧みられることもなく一人孤独に耐え悩みを内に抱えることしか出来なかった存在。それがゆにであり生まれてから悪夢の女王様に見初められるまでの在り方でもありました。

そんなゆに様が今みたいになれたのも自分を曝け出せる相手。悩みを共有し一緒にいてくれる相手ができればこそ。ゆににとっての大切な存在がつぎはぎコンビであり、杉山先輩にとってもそういう存在がいれば…いや、いることに気が付き向き合えれば光が見えるんじゃないかと思えるのもそういうわけなのです。

ドリーミーストーンを巡る利害関係だけじゃない。ご主人様としてだけでなく一個人としての杉山遼仁も慕ってくれているゆに達が向ける思いと真に向き合えたのなら。きっと今の状況を脱するキッカケになるのではないかと思えるのです。今はまだ仕えるべき主と部下。でも最後は今のゆめやみゅーちゃん達のようにね。皆で笑い合って幸せになれるようなね。そんな関係性を構築して欲しい。杉山陣営にも幸あれ!

地味に気になる杉山ファンクラ部の今後の行く末

事前にプレゼントを集積していたり公園を貸し切って生誕祭をやろうとする相変わらずのトンデモぶりを見せてくれた杉山ファンクラ部。森村さんやミカちゃんもすっかり染まってしまってましたが、よくよく振り返ってみると彼女らも中々に報われませんな~。森村さんの「南川くんに続いて杉山先輩にも拒否されるなんて!」という台詞が、やたらと印象深く響き渡るのです。

報われるためだけにやっているわけではない。しかし、彼女たちのある種ミーハーな好意と行為が、却って杉山先輩を悪意なく追い詰める一因になっていた面もあるかもしれない。でも、そこは解釈次第で受け取り手側の問題でもある。杉山先輩の意を汲んだか否かはともかくとして、押尾部長のように前向きに捉え杉山先輩の邪魔にならないよう支え続けようと思ってくれる子もいるのです。

決して卑屈になりすぎることなかれ。自信過剰も行き過ぎれば毒だけど、やはりゆめや押尾部長のように物事を前向きに捉え、自分の感性に従うこと、抑えすぎず解放することも時には必要なんじゃないかな。杉山ファンクラ部の在り方と押尾部長の考え。ミーハー感情とは別にここにも杉山先輩のことを真剣に思い、支えようとしてくれている存在がいることを、他ならぬ杉山先輩自身が気づき再び受け容れてくれる日が来るといいな。