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ひろがるスカイ!プリキュア 第43話 「プリズムシャイン!心を照らして!」 感想

ひろがるスカイ!プリキュア 第43話 「プリズムシャイン!心を照らして!」 感想

自分の価値は自分で決める!ましろが照らし出す希望の光!

自分に酷いことをしたバッタモンダーや威圧的なスキアヘッドに対しても毅然と立ち向かい物申す。そんな、ましろの決意と覚悟が光る!最初の頃は控え目で自分に自信を持てない一面もあったましろだが、相手が何をしようと自分と異なる主張をしようとも、揺らぐことなく自分の意見を真っ直ぐ伝えられることが、彼女の中に確固たる自信と信念が形成されていることを示す何よりの証しで。

ましろとバッタモンダーが本質的に似通った一面を持つ似た者同士であること。それは前々回の感想でも触れた通り。周りと比べて秀でた才覚を持たない自分。誰にも見てもらえず認められないことで生ずる焦燥感。満たされない自己肯定感は、自ずと自分自身を蝕み自分の存在意義や価値すら見出すことが出来ず、未来に目を向けることも希望を抱くことや夢見ることすら喪失させていく。

ましろ自身はそこまで卑屈にはなっていなかったけど、秀でた能力を持たないが故に自信を持てない。自信がないから行動に移すことも出来ず、自分の中での堂々巡りに陥り身動きが取れない状態になっていたのが当初のましろでした。その彼女が自分の良いところや特別な才覚に恵まれなくてもいいのだと。自分は自分でいいと向き合えたのは、ソラやあげはを始めとする自分を見てくれる人が周りにいたからで。

そして、そこがましろとバッタモンダーの最大の違いでもある。アンダーグ帝国内では誰にも見向きもされず歯牙にもかけられない。見下されることが常で何かを示さなければ自分の存在意義も価値も何もない空虚な存在とされる。こういう背景があるからこそバッタモンダーは虚栄心で満ちていたし、何より自分の存在を刻みつける為に攻撃的で残忍な手段も厭わぬ介入をこれまで見せていた。

だからこそ彼に必要なのは特別な才覚を持たずとも自分を見てくれる人がいるのを知ること。そして、それが出来るのは同じような性質を持ちながらも彼とは真逆の道を進み、仲間たちと共に歩む過程で自分の中に確固たる自信と信念を、夢と未来への展望を見出した虹ヶ丘ましろなのだ。共感性が高く自分のこと以上に相手の側に立って思いを馳せることの出来る彼女だからバッタモンダーの心に寄り添うことも出来る。

大切な絵本を破り捨てられた直後でも相手を思い、自分のことのように考えられる慈愛の心。決して怯むことなく助けたいという自分の気持ちを貫き通す力強さ。バッタモンダーに救いの手を差し伸べ言葉をかけ続ける不屈の精神。自らの視野と可能性を広げた強く頼もしいヒーローガール。ましろがこれまでの物語で築き上げてきたあらゆる要素が結実した一つの集大成とも言うべき内容で満たされるのです。

無価値で弱いと断ぜられたバッタモンダーにしても、あのミノトンやシャララ隊長ですら呑まれたアンダーグエナジーに抗い、恐れ慄いた相手に立ち向かう反骨精神を見せてくれたし、真正面から自分を見続けてくれたましろ/キュアプリズムの力強さと眩しさによって救いがもたらされていたのも良かった。やはり物理的な危険だけではなく人の心をも含めて救ってこそのヒーローなのだと。そう思えたのです。

か弱く儚く守られるべき存在。そんな当初のイメージを自分の意思と揺るぎない姿勢で覆し、自分の意見を高らかにぶつけていく。そんなましろの格好良さが一際輝いていた回だったと思います。可愛いだけがましろんの魅力ではない!バッタモンダーを救っただけでなく彼を肯定してくれてありがとう。我らがましろんは本当に格好良かったよ。ましろんの活躍で心が晴れ渡る。

ましろんには幸せな笑顔のままでいて欲しい思いもあるのですが、曇って涙を浮かべる表情もまた…うむ。大切な絵本を破かれたこと。紋田とのあれこれが偽りのものであったショック。諸々あるだろうが、これだけの辛い出来事に直面してなお目を背けず立ち向かい続けるところに、今回ましろの一番の成長を感じた次第です。

もちろん支えてくれるソラたち仲間の存在が大きいのは言うまでもないが、これだけの目に遭っても自分のやるべきこととしっかり向き合って歩みを止めずに進み続けるましろは、本当に頼もしい存在になったなと。

それでもこれだけのことをしたのでね。バッタモンダーも自らを救ってくれたましろんのピンチに際し、最終決戦で今度は光のキュアパンプキンとして助っ人参戦してくれてもいいんだぞ。待ってるぞ。

紋田としてのましろに対する数々の所業やこれまでの行い。それに対する彼の謝罪の言葉が聞けたのと同時に、ましろ相手でなくバッタモンダーがソラにも言及してくれたのが良い。シャララ隊長の件を筆頭に彼がこれまで行ってきたことは許されざるものであることは間違いない。

そんな自らの行いを彼が確かに悔いていることが伝わる文言が聞けたのも大きかったし、その言葉に対するソラの返しもまた良いものでした。悪事を働いた敵を倒し滅するだけが全てではなく。対話を重ねることで許し許されることが出来るのなら、それもまた一つの救いの道なのだろう。

ましろにしても今回はキュアプリズムとしてプリキュアの特別な力以上に、虹ヶ丘ましろという一個人としての意思と言葉を貫くことで、自分の思いをバッタモンダーに届け続けたことが何よりも大きく尊いものであったんじゃないかと思います。