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ひろがるスカイ!プリキュア 第33話 「究極のちから!マジェスティクルニクルン」 感想

ひろがるスカイ!プリキュア 第33話 「究極のちから!マジェスティクルニクルン」 感想

子は親から学び親もまた子から学ぶのである。

キュアマジェスティとして強大な力を有しながらも、まだ赤ちゃんであるエルちゃんの身を案じ、戦闘の矢面に立たせたくないと考えるましろんの気持ちも痛いほど分かる。一方でエルちゃん自身の意思を汲み取り、その気持を尊重して見守り支えようとするあげは達の考えもまた然り。これは一概にどちらが正しい間違っているという話でもないし、どちらも大切な子の健やかな成長を願う上で大事なことであることは揺るがない。

最初期は今のエルちゃんと同じように守られる側だったましろ。しかし、エルちゃんと出会って保護者となり、またキュアプリズムとして覚醒し大切な人々を守る守護者となったことで、当初とは立ち位置や考え方に変化が生じたキャラとも言える。

そのましろんの変遷と当初抱いていた気持ちをエルちゃんを通して追想することにより、ましろにとって何よりも説得力を生む形となったこと。同時にエルちゃんの成長を実感出来る構図となっていたことが見事という他ない。大切な人を心配し守りたい気持ちに大人と子どもの違いはなく、力の有無ではなく共に困難に立ち向かう気持ちこそが、一緒に戦う上で何よりも求められるものなのだ。

ましろがキュアプリズムとしてキュアスカイと共に戦う意思を表明した時の流れを汲み取り、今それをキュアマジェスティが踏襲することで、自分とエルちゃんが共に並び立ち戦う同志であることをましろが認め決意を固める瞬間が最高でした。エルちゃんの変身前の「出番です!」というソラのお馴染みの口上。かつてのソラましのやり取りを踏まえた意思の伝達。

一番最初からエルちゃんを守ってきたソラまし二人の歩みと彼女らが身を挺して守ってきてくれた光景を。胸に秘めた思いをエルちゃんはずっと見てきた上で自らの身にもそれを宿し、今それをましろに返して応えて見せてくれたのだ。親も子を見守っているが大人が思っている以上に子も親を見ていて多くのことを日々学んでいる。マジェスティとしての力だけでなくエルちゃんの内面的成長からそれを実感できたのが大きかったなぁ。

ましろんがエルちゃん/キュアマジェスティを共に戦う同志として受け容れる。そこに本作におけるヒーローとプリキュアの在り方を。力ある者が全てを背負い一方的に守るのではなく、互いに助け合い尊重する相互関係性にあるのだと改めて感じさせらた次第です。最後のプリズムとマジェスティのやり取り。尊みが過ぎる。

すべての人を救う究極の力。マジェスティクルニクルンがもたらしたひろプリチームの全体浄化技であるマジェスティックハレーションが初お披露目!いつも以上に凛々しく各プリキュアの特性が出ている個別カットも際立っていたし、これまで追加戦士として途中参戦し圧倒的な力を見せつけていたマジェスティ個人に頼り切るのではく、心を一つに重ね本当の意味でチームの一員になったことを感じられて嬉しい。

ひろプリにおける理想のヒーロー像は、一方的なものではなく双方向の相関性にこそ真髄があると思っているのですが、それは敵対する相手に対するスタンスにも見て取れるものがあると思う。アンダーグエナジーによって操られ本意ではない戦いを強いられていたミノトンでしたが、ソラは武人である彼の矜持を尊重し、相手の心を汲み重ねようと語りかけている。

登場当初から使命以上に武人としての在り方に拘っていたところもあるミノトンでしたが、彼とは真逆のカバトンバッタモンダーにしても、ソラ達は力でねじ伏せ否定するのではなく、自らを高め受け止める覚悟を示して見せてくれていた。アンダーグ帝国側のキャラが未だに誰一人として完全消滅や脱落をしてないところからも歩み寄り心を重ねることに重きを置いていることが窺えるのではないかと。

それだけに次回予告で出てきた彼っぽいキャラが、どんな立ち回りを見せてくれるか見ものでもあります。内面的な成長を遂げていることを感じさせてくれるソラ達と、精神性において完全敗北を喫したと言ってもいいバッタモンモンが再び巡り合ったときに何が起こるのか。色んな意味で楽しみは尽きない。

今回からはエンディングも映画宣伝の為の特別仕様!このエンディングもう見せちゃっていいの!?という思いもありますが自分はもう映画を見てきたので問題ないのです。正式なプリキュア78人が並び立つとそれだけでもう壮観なのですが、映画の中では映画限定キュアとか妖精キュアとか先代枠のプリキュアなども、姿だけとはいえ軒並み登場していたと思います。本当一瞬で一回だけでは全て見きれないくらい。

映画の内容やテーマもまさに20周年を飾るのに相応しいもので、歴代シリーズを見ている人ほど嬉しいシーンも多いし感慨深さも増す内容だと思います。逆に殆ど見てない人で映画が初めての人でもキュアシュプリーム側の視点で見た場合に違った物が見えてくる作りにもなっていて、既存のファンと新規のどちらの人が見ても楽しめるのではないかと。是非とも見てもらいたい。