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ひろがるスカイ!プリキュア 第34話 「もんもん!ましろと帰ってきたアイツ」 感想

ひろがるスカイ!プリキュア 第34話 「もんもん!ましろと帰ってきたアイツ」 感想

何事にも動じることなく一途に思いを貫く強さが道を切り開く力となる。

小物ムーブは相変わらずだけど予想していたよりもギャグコメディ枠としての振る舞いが板についていたバッタモンダー改め紋田さんの堂々たる凱旋。カバトンやミノトンと異なり、姑息な手段を厭わず、また自己の行いを顧みることなく一時退場となっていたバッタモンダーの動向は気になっていたのですが、こういう形で再びプリキュアと交わり相互作用をもたらす存在になろうとは。

バッタモンダーが今までやってきた鬼畜の所業は許されざるものの類だし、それを悪びれることもなかったので、アンダーグ帝国側のキャラでもヘイト要素が強いキャラという印象はあった。それが良くも悪くも親和性のある人間味溢れる描写をされたことで中和されたし、悪の美学ではないけど根は小心者でもある彼の中にある一貫した姿勢と言いますか。

他の誰に何を言われどう思われようとも自分の目的を遂げる為に、ある種の覚悟を決めて突き進む内面的な力強さ。小物と馬鹿にされ姑息・卑怯という謗りを受けようとも揺るがない意思の強さ。作中で誰よりも満たされない自己肯定感を満たすべく自分を大きく見せようとする彼が、自己肯定感に乏しく自分に自信が持てない性格のましろに影響を与える構図が面白いし興味深く映る。

そのましろの天然の優しさからくるエールを受け、今まで何をしても満たされることのなかったバッタモンダーの中にある自己肯定感が僅かとは言え満たされる。他者に認められることの喜びに触れたことで、改めてましろんの特性。彼女の強みや魅力が強調される形になっていたのも良かった。自分に対する自信のなさという点において、似た性質を持つましろとバッタモンダーだから影響を与え合うことが出来たとも言えるだろうか。

一度はソラの心を折り、またソラとましろの本気の怒りを買ったことでトラウマを植え付けられた間柄。立場的にはヒーローとヒールの相容れない存在であった両者が、相互に好影響を与え合って未来への道筋を見出していく。味方だけでなく敵方も含めて全ての心ある者に救いをもたらす。マジェスティクルニクルンの言い伝えの中にも表れていた「すべての人を救う究極の力」という文言。

本作におけるヒーローやプリキュアに求められる資質。力ある者が一人で全てを背負うのではないと感想の中でも度々触れていることだけど、やはり双方向で相互に作用する関係性にあるのが、本作で描く理想のヒーロー像にあるのだと実感させられます。思いがけない方向で進展したましろとバッタモンダーの交流でしたが、二人が今後どんな道を歩んでいくことになるのか見ものである。

それにしても相変わらず小細工を弄しながらも思うように進まず、意図しない方向へ転がるバッタモンダーのギャグコメディパートは秀逸でした。以前のように不快感や嫌悪感が生じないような話の流れで、彼自信も痛い目に遭ったり可哀想と思えるような要素が生じ始めたのが大きいだろうか。紋田さんとしての今後の活躍にも少し期待したい。

知らない内にアパートのお隣さん同士になっていたカバトンとバッタモンダーの掛け合いが面白い。カバトンは一度フェードアウトする前に人間社会に溶け込もうとしている姿が描かれていたけど、バッタモンダーに関してはあの後にどうなっていたのか全く不明だったので。工事の道路交通整備のバイトしてたもビックリ。

これで何だかんだ言いながらもアンダーグ帝国側の三人の幹部が人間世界での生活を満喫している姿がそれぞれ見られて嬉しい。カバトンはおでん屋の屋台のおじさんと親しくなってたし、武人ミノトンことミノさんはジム通いしてたときに周りの人達から親愛を込めた愛称で呼ばれて慕われてたし。バッタモンダーも工事のおっちゃんのバイト呼びから紋田という名前呼びに変わってたので。

プリキュアと関わったことを契機に数奇な運命を辿ることになってしまった三人。アンダーグ帝国から離れた彼らが、プリキュアたちに力を貸すような展開が来るのかどうか。それもまた楽しみの一つ。

アルバイトに明け暮れ美大生に扮していたバッタモンダーのコメディ要員としての活躍に目を見張る回でしたが、その中でも持ち前の無邪気さという天然っぽさを炸裂させたソラと、赤ちゃんならではの無邪気さを発揮したエルちゃんが、バッタモンダーを精神的に追い込んでいくシーンが個人的にお気に入り。

絵本作家を目指すましろに焦点を当てた回だからか絵本風のデフォルメタッチの絵柄がまたいい味を出してくれている。一度は心を折った相手と拉致対象だった相手にこうも振り回される。これもまた因果応報か。