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ひろがるスカイ!プリキュア 第16話 「えるたろう一座のおに退治」 感想

ひろがるスカイ!プリキュア 第16話 「えるたろう一座のおに退治」 感想

不安な気持ちと同じように勇気も周囲の人へと伝播していく。

予告を見た時点ではどちらかというとネタ寄りな回になるのかなと思いきや然にあらず。両親に呪いをかけられたエルちゃんが不安を感じるのは当然として、それ以上に憧れの人を喪い大切な人たちや居場所を傷つけられる様を目の当たりにしたソラ、ましろ、ツバサが負った精神的なダメージは思いのほか大きく、あげは主導の人形劇を演じる過程で彼女ら三人の心のケアに焦点が当てられた作劇が印象的でした。

たとえヒーローであっても、プリキュアであっても、その中身は等身大の人間であり年頃の少年少女。そんな彼女らが戦いに身を投じる中で、肉体的なダメージだけではなく心に傷を負うのも至極真っ当なことであるし、次々に襲来する敵や困難な事態を前にして先行きに漠然とした不安を感じるのも無理からぬこと。どんなに特別な力を持つヒーローだって感情を持つ人間であることは変わらない。

その不安を抱いた三人に敏感に反応したエルちゃんを通して、赤ちゃんである彼女との向き合い方というか。育てる側が感じる不安は赤ちゃん側にも伝わるという子育てに関する一面を描くことで、それらを見守り支えるあげはのキャラクター性の掘り下げもなされていたし、不安な気持ちと同じくらい勇気ある姿勢や声援が周りの人を奮い立たせることを対照的に描くことで、ヒーローとしての在り方が際立つ見せ方になっていたかなと。

いかなる困難に直面しようと屈することなく毅然と立ち向かうことは、ヒーローの基本像にして本懐とも言える姿かもしれないが、それでも人間である以上は傷つくこともあるし立ち止まることもある。その心のケアに触れながらも再度立ち上がって向き合う姿を。ヒーローとはその姿で以て周りにいる人達に勇気や希望をもたらし人々の心を鼓舞する存在であることを。そして時に守る存在から勇気を貰うこともあることを。

特別な力を持つ存在が一方的に助けるというものではなく、仲間や庇護対象であるエルちゃんと助け合い支え合いながら立ち向かう。えるたろうの人形劇を通してチームとしての相互関係や本作のヒーロー像が改めて垣間見えたし、身近な年上の存在としてソラたちを慈しみ、彼女らの心に寄り添ってくれるあげはの立ち位置も確立されてきたのを感じられる回でした。

キュアバタフライの登場はまだ少し先になりそうだけど、あげはがいてくれることに対する安心感というか。ヒーローでありプリキュアである皆の繊細な心の変遷。その機微にしっかりと触れた上で守ってくれることが有り難く頼もしい。