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ひろがるスカイ!プリキュア 第12話 「ツエェェェ!キュアスカイ対カバトン!!」 感想

ひろがるスカイ!プリキュア 第12話 「ツエェェェ!キュアスカイ対カバトン!!」 感想

本当の強さとはその人の心の中にこそ存在する。

最後通告を受けたカバトンからソラへ申し込まれた決闘。もう後がなくなり形振り構わなくなることでシリアス寄りの鬼気迫る勝負とかソラの心に暗い影を落とす展開もあるかなと思っていたが、決闘に至るまでのソラ達の特訓シーンだったり戦闘時のカバトンとの掛け合いや最後に彼が迎えた結末などを見ても、割りと和むシーンやポップなノリも多く、いつものひろプリらしいテイストは健在。

ただ、キュアスカイとカバトンの一騎打ちの決闘の過程で、カバトンが何故あそこまで力に固執し弱く見られることを忌み嫌い恐れるのか。アンダーグ帝国の実情と存在が明るみに出る中で、その理由も垣間見えましたしソラたちプリキュアの強さや力の本質とは何処にあるのかも、それらと対比するような形で明示されていて作品のテーマやヒーローの資質に関して非常に重要な内容であったことも間違いない。

弱い奴に価値はなく見向きもされない。アンダーグ帝国という負の世界で培われたカバトンの価値観。力の限りを尽くし自分ではなく誰かの為に戦うスカイと正面からぶつかり合い、更に極限状態に追い込まれた瀬戸際で敵対していた相手に救われることで、自分ではなく他の人の為に強くなれる人がいることを。そのために振るわれる力があることを。ソラがもたらす救いの中に確かにあるヒーローの力を認めるのが良いなと。

一方でソラが目指すヒーローの在り方は一貫している。敵であろうとなかろうと眼の前で困っている人や救いを求める人がいたら助けずにはいられない。ソラの思う正しいことは、彼女が目指す理想のヒーロー像に起因したもので実際今回はそれが良い方向に作用しているが、ともすれば甘さとも言えるそれがマイナス方向に作用する危険性も内包していて一定の成果を得るのと同時に今後の展開の布石としても作用していたように映った。

最初の敵対者で自分たちに悪意をぶつけてくるカバトンとの関係に一区切りが付くにあたってソラのヒーローとしての在り方や強さ。本作のプリキュアに求められる資質。本作ひろプリが掲げる本当の強さとは単純な力の強さではなく、心の強さの方にあることなのだとカバトンが思い至ることで、視聴者に対しても訴えかける見せ方になっていたのが巧かったと思います。

カバトンもこれで退場になる可能性もあるかと思ったけど無事に生き残りましたし、本当の強さを知った彼が後々物語にどう関わってくるのか。見せ場はあるのかということも頭の片隅にとどめておきたい。一方で今後ソラたちプリキュア側が迎える新展開もどうなっていくか見ものですし、ソラの掲げるヒーロー像が通じない相手が出てきたりね。試練ではないけど彼女が一度壁にぶつかる展開もあるのかなと期待している。曇ったソラちゃんの姿を見たくないけど見てみたい。嗚呼、抑えきれないこのジレンマがもどかしい。

前回のあの最後通告からの覚悟の決闘申込みだっただけにね。カバトンがここで退場する可能性も普通にあり得ただろうけど普通に生き残れたようで何より。リストラ扱いかどうかは置いておくとして、元所属組織から抜け出して再起を図るところなどは、皆に愛された悪役ブンビーさんの往年の姿を彷彿とさせるものがある。劇場版で絡むところとかちょっと見てみたいもの。

自分ではない誰かの為に発揮される強い力があること。本当の強さは心の方にあることを知ったカバトンが、今後物語でどんな役割を果たしてくれるかは本当に注目したい。カバトンが中盤か終盤あたりで真の強さを身につけて助っ人参戦してくれるのか。はたまたこっちの世界で意外な大成功を収めてしまうのか。無限に広がるカバトンさんの再出発。その先にあるものをいつか見られるといいな。

決闘を前にして行われたゆるキャン、もといソラの特訓シーンでしたが、戦闘能力の向上というところよりも、むしろひろプリチームの交友関係を更に深めるためのものになっていた。ソラが何を思っているのかを自然と汲み取り、それを尊重してくれるましろがいたし、頼りがいのあるお姉さんのようでいて意外と抜けていたりしたあげはのウッカリ具合だったり。それを理解してか誰よりも頼りがいのあるところを見せてくれたツバサもいましたし。

滝行とか山の主のくだりとか結構ネタ寄りな修行シーンも多かったけど、実質的にキャンプをやってるような三日間の特訓が、チームとしての結束をより強めるものになっていたし、一人で力を追い求めるカバトンのそれと対照的なものになっていて結果として意義のある一幕として映り込みました。個人的にはトロピカル部活のあすか先輩あたりがやりそうな、あげはが考えた漫画的な特訓の数々にワクワクするましろんの反応がお気に入りポイントでした。