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デリシャスパーティ♡プリキュア 第16話 「らんらんって変…!?肉じゃがとウソ」 感想

デリシャスパーティ♡プリキュア 第16話 「らんらんって変…!?肉じゃがとウソ」 感想

たとえ変でも大好きな気持ちは誰にも止められない!

一見するとお調子者枠かと思えるらんらんですが、実は主要キャラの中で誰よりも繊細で空気を読み周りに合わせようとする子。そんな華満らんの人となりが改めてよく分かる回でもありましたが、やっぱり自分の好きなことを否定されるのはとても怖いことですし、大好きなことに邁進する自分の姿が周りとズレた変なものと奇異の目で見られるのは辛いことでもあるよね。

幼少期に自分の好きを友達から否定された経験から極力それを表に出さないように務めるらんの生い立ちが、彼女がキュアスタを始めたキッカケとなっていたり、前回のクラスメイトとのやり取りにも表れ結びついていて、自分の好きを堂々と公言したい気持ちはあるのに出しきれない彼女の根底に根ざしたものとして描かれていたからこそ今回のテーマに対する訴求力も生むのだと思います。

でも、本当に好きな気持ちって誰かに否定されてなお抑えきれないくらいに強いものです。らんらんの場合は食に対する思い入れの深さや愛情を抑えきれず、それをキュアスタに投稿することで発散していたわけだが、やはり自分の周りに居る大切な人たちに、自分の大好きを受け容れてもらって共有できる喜びは格別のものがあるだろうと。

だからこそ、自分の好きを声高に発信しても喜んでくれるゆいやここねやマリちゃん達との空間は、らんにとって心地よく得難きものになるのではないだろうか。人によって普通の定義も違えば好きなものだって千差万別。他の誰かから見た「変」を必要以上に意識するではなく、自分の好きに対して自信を持ち堂々と胸を張ることが人生を豊かに彩る秘訣と言えるのかもしれません。

今回らんをからかう形になった高木くんにしてもね。彼の誇張混じりの嘘みたいな話も、他の人からしたら突拍子もない与太話に聞こえるかもしれないが、彼と彼の兄にとっては大好きな肉じゃがを作る時間をより刺激的で楽しいものへと昇華する一種のスパイス。他の人から見た変が当事者にとっては特別な思い入れのある大切なものになることを知ればこそ、それを貫くらんを格好いいと思えたのではないかな。

自分の好きを貫くことは時に大変なことだけど周りを意識しすぎて自分が苦しい思いをするのであれば本末転倒。勿論場を弁える必要がある際は一時的に抑えることも大切だが、一見すれば変なことでも自分と同じく大切で大好きなことに通じているかもしれない。そんな相手の好きに思いを馳せつつ自分の好きを大切にしていくことの重要性を考えさせられた回でした。私もプリキュアが好きな気持ちは抑えられないし!こればっかりはどうしようもないことだからしょうがないのだ!

今週もマリちゃんの含蓄のあるお言葉が心に染み渡る。閉ざされた学校という空間。加えて普通でないものに対し排他的になりがちな難しいお年頃の少年少女たち。そんな彼女たちだけでは解決出来ないとき。言葉を届けきれないとき。年長者としての立場から見守るような形で支え導いてくれるマリちゃんの存在感の大きさを改めて感じずにはいられない一幕でした。

女子中学生の輪の中に自然体で混ざる彼の存在も、傍から見れば異物というか変な人に映ってしまうかもしれないが、プリキュアである三人の目から見た彼は決して変な人ではなく、自分たちにとって大切な仲間であることは揺るがない。プリキュア側の人間関係や立ち位置もまた今回のテーマを体現していたと言えるんじゃないだろうか。