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デリシャスパーティ♡プリキュア 第21話 「この味を守りたい…!らんの和菓子大作戦」 感想

デリシャスパーティ♡プリキュア 第21話 「この味を守りたい…!らんの和菓子大作戦」 感想

和菓子屋はごろも堂が町の歴史となっていく瞬間を垣間見る。

全ての物事には始まりがあれば終わりもある。らんのお気に入りの和菓子屋・はごろも堂の閉店を巡り、諸行無常の儚さのようなものも感じられる夏の一幕。食やシェアする喜びがテーマとなっている本作デパプリですが、食が人の心身を育むものであるならば、人々が集い美味しい料理や味を共有し、思い出が積み重なることで育まれる店舗の歴史もまた人のそれに通じるものがあるのではなかろうか。

店の存続を願うらんの気持ちも理解できるし、技術や味を継承していくこと、店を存続することで積み重ねられる歴史も確かにある。しかし、表立っては見えない店を愛する人々の瞬間瞬間の思い。それが介在して初めて成り立つ歴史もまた存在する。美味しい和菓子と和やかな気持ちに浸ることが出来る場所。それらが生み出すその素晴らしい体験談や感動こそ人に伝えたくなるものであり、その積み重ねがはごろも堂の歴史となる。

美味しい物を食べる人や携わる人を見る。人の思いに触れる。共に実家の飲食店であるらんとあまねだからこそ留意しなければならない点でもあると思うし、そんな二人だからこそ生じた意見の相違を、それぞれがどう噛み砕いて消化し取り入れるかも見ごたえのあるものになるのかなと感じる。キュアスタでちゅるりんとして活動するらんの食レポ周りの設定を、こういう形で活かしていたのも素敵でした。

別の和菓子店で同じ和菓子を食べたときに、ふとした瞬間はごろも堂で美味しいものに触れた感動や楽しかった時間を思い出す。そのための一助となり店舗としての活動はピリオドを打つが、新たに町の歴史として刻まれていく。その新たな一歩を踏み出す歴史的な分岐点に立ち会うことで、食に秘められた可能性と積み重ねてきた歴史の重みを感じることが出来る回でした。

閉店するはごろも堂のかき氷をパンダ軒の新メニューのかき氷として受け継ぐ的な展開も可能性としてはあったかもしれないが、それをせずにらんがキュアスタで紹介するに留めたのも、はごろも堂で食べるお菓子とその場で生じる人々の瞬間ごとの思いを尊重し、店主のお婆さんの意を汲んだからこその対応と感じられますし。

それが安易に手を出せるようなものではなく、長年に渡って美味しいものを提供してきた店と、そこに集う人々の思いが合わさって初めて出来上がる由緒と重みあるものなんだと感じられるオチになっていたのも良かったです。どちらかというと直情型のらんに人を見ることの大切さを説き、その上でらんの食レポスキルとキュアスタ発信者という設定を上手く取り込み昇華していたのがお見事でした。

あまねとらんが絡むシーンも見応えのある画作りで印象に残る。キャラクターの目元周りの線の太さも相まって力強さも増しているというか。互いに譲れぬ主張を繰り広げるからこそ目力も増す。ここねに続いてらんと二人きりのシーンが描かれることで、衝突しつつも互いのことや食に対する思い入れへの理解も深まったと思うし、これが二人の関係性の歴史。その一歩と言ってもいいのかもしれません。

あと、らんとあまねに関してはジェントルー時代に彼女のキュアスタを悪用してた経緯もあったので、お互いの食に対する思いや考えに触れ合った上で、らんのキュアスタを有効活用する形で貢献するという流れに持っていったのは、二人がこれから一緒にやっていく上でも必要なことだったのかなとも思えました。

今回はいつもよりシリアス成分多めなところもあったけど、それでもらんらんの多彩な表情を満喫できて私も満たされたのです。これからも顔芸プリキュアの歴史に新たなる一ページを積み重ねていって欲しいところ。本当に百面相で感情がダイレクトに出るので見てて楽しいし何より可愛らしくて最高。