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デリシャスパーティ♡プリキュア 第45話 「デリシャスマイル~!みんなあつまれ!いただきます!!」 感想

デリシャスパーティ♡プリキュア 第45話 「デリシャスマイル~!みんなあつまれ!いただきます!!」 感想

お腹いっぱい幸せいっぱいな物語をありがとう!

やはりエピローグに時間を割いて丁寧に描いてくれる構成が好きだなと改めて思わされた最終回。冒頭のゆいとフェンネルのおむすびの件とか、後日談で出てきた更生中のブンドル団の面々もそうなんだけど、悪事を働き誤った道を歩んでしまった彼らに対しても、その心にどこまでも寄り添って嬉しいことや楽しいことをシェアする喜び。その尊さを感じられる内容で本作のテーマが浸透してることを実感する。

シェアする喜び。高嶺の花の芙羽様ではなく友人のここねとして皆を自宅に招待するこここねの積極性。自信を持ち家族と一緒にキュアスタへの投稿を行うらん。ゆい達以外の友人にも砕けた態度と満面の笑みを見せるあまね。拓海との最後のやり取りやフェンネルへの相対し方から見えるゆいの成熟した姿。おいしーなタウンを取り巻く人達との繋がりと変遷からも各人の成長した姿が伺えて嬉しい。

ゆい達との別れを惜しみながらも各々が背負う使命を全うすべく、新たな道に進もうとしているマリちゃんやエナジー妖精の三人も、今まで抱えていた心情をダイレクト且つ素直に吐露してパートナーと共有することで、より強く密接な結び付きを見せてくれている。特に最後までゆい達のことを慮るマリちゃんの大人としての姿勢は素敵でしたし、劇場版限定かと思われたパムパムとメンメンの人間態を本編でも見られたのは最高でした。

また、直近のシリーズでは恒例となっている次作プリキュアとの絡みにしても、共闘展開になるのではなく、あくまでもありふれた日常の一幕の接触に留められていて、どこまでも日常の延長上にある物語として描いているのが心地良く印象深い。プリキュアに変身して力を振るうシーンにしても、戦闘用途ではなく巨大ケーキのロウソクに火を灯して皆と楽しさを共有する為に使っている。

ゆい達がプリキュアとして、そしてデパプリがどこに比重を置き何を大切にしているのかが伝わってくるシーンだったかと思います。このように最終回である今回は作品のテーマと共に、シェアする喜びが徹頭徹尾、一貫して描かれており、特別なわけではない当たり前の日常の中にある幸せを共有することの意義を、最後の最後まで訴えかけてくる内容でした。

この御時世にあって人との繋がりが希薄になり、当たり前のことを当たり前に出来なくなり、誰かと一緒に楽しいことや嬉しいことを共有する機会も減った今だからこそ、当たり前だと思っていたけど決して当たり前ではない平和な日常の有り難みと、楽しさや喜びを共有できる幸せの在り方を改めて考えさせられる。そんな本作デパプリが出来上がったのではないのかなと自然に思える最終回でした。

最後まで魅せてくれたゆいと拓海の関係性も素敵でしたなぁ。お弁当販売の時のやり取りなどは夫婦感がマシマシでしたし。最後の二人きりの会話もね。無自覚ゆいの罪作りなところも健在ですが、拓海くんも振り回されながらもこれも悪くないという感じが出ていて堪らんかったです。これが惚れた弱みというものか。いつまでも幸せな二人でいてほしいし、いつか今よりももう少し特別な間柄になれたならと願ってやまないのである。頑張れ拓海!

まほプリ以来恒例となっている次作プリキュアとの絡み。最初は交流パートが描かれない内にエンディングに入ったので今作ではないのかなと思ったけど、最後の最後に次作主人公ソラ・ハレワタールと交流する姿が描かれて一安心。でも、ゆい達とソラとの交流は近年とは少し趣を異にしている部分があって、そこが新鮮で味わい深いのと同時に如何にも本作らしいと感じたところでもありました。

というのもまほプリ以降の共闘パートは、何らかの偶発的事情や残党の悪あがきによってコメディ風になりながらも戦闘行為が発生し、それに対処すべく最後のプリキュアに変身する姿が描かれ、同時に次作主人公のプリキュア姿もお披露目という流れがお約束でもあった。ただ、前作トロプリの交流でもそうだったように、ゆいが絡んでいる去年と今年は戦闘行為は一切発生しないんですよね。

キュアスカイのお披露目にしても本当に最後の引き継ぎパートにおいての登場で。本編内ではあくまでも年相応の等身大の女の子としてのソラの姿を描き、上述したように当たり前にある日常の風景や交流。誰かと何かをシェアする喜びの方に重きを置いていたんだとここからも感じられるのではないだろうか。

ゆいからソラへ託されたおむすびとプリキュアシリーズのバトン。先輩たちが育んできた伝統や精神と自分が大切にすべきものを胸に秘め、初の青キュア主人公でもあるソラには信念を貫きながらも新たな道を開拓していってもらいたい。変身ヒロインというイメージもあるプリキュアにあってヒーローを自称するソラの活躍に期待大。「ひろがるスカイ!プリキュア」も楽しみです!

コロナ禍に入って早三年目。昨年の初頭にはロシアのウクライナ侵攻が開始され、更に世界情勢が不安定になったことも相まって、ここ数年に渡って言い続けているけど当たり前のものは決して当たり前ではないこと。そして、毎日お腹いっぱいご飯を食べられること。家族や友達と楽しい時間を過ごせることが、多くの人の努力と繋がりによって生まれる平和の上に成り立つ奇跡のような時間なのだということを改めて考えさせられました。

平和だけに留まらず私が好きな物を好きな時に食べることが出来るのも、多くの人の頑張りと繋がりがあって初めて得られるものであり、本当に多くの人達とのシェアがあって成り立っている。それを当然のものとするのではなく、時々でもいいから思い出し思いを馳せて日々生きられることの喜びを実感することもまた大切なことなのかなとしみじみ感じるわけです。

そんなテーマ的なこともさることながら本作ではマリちゃんやブラペ。シナモンを始めとする男性キャラクターもプリキュアと同じような立場で活躍し、物語の本筋にガッツリ関わる作劇で、喜びや幸せだけでなく辛いことや苦しいことも分け合って、そうすることで生まれる繋がりの意義をより訴えかけられる側面もあったんじゃないかなと思います。そういう意味で二十周年を前にしての挑戦的な意欲作でもあったかなと感じる次第。

一年が経過する時の流れの速さを感じるのと共に、本作で描かれたシェアする喜びの意義を忘れず、いつでもデリシャスマイルを胸とお腹に秘めて日々を強く逞しく生きていきたい。楽しく明るく元気よく!そうあるためにもお腹いっぱいになる必要性。そうなることで生じる幸せを噛み締めながら本作の感想を締めたいと思いまする。ご飯は笑顔!お腹いっぱい幸せいっぱいな時間をありがとうデパプリ!