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劇場版アイカツプラネット! 感想

劇場版アイカツプラネット! 感想

双方向の感謝の気持ちが伝わる大感謝祭!

時間軸としては本編のラストで展開されたプラネットプリンセスグランプリより少し後。そのアイドルとしての人気を不動のものとし仕事も順調に増える日々の中で、忙しくなり一緒にいられる機会が少なくなった仲間たちと、ここまで自分を支えてくれたファンに対する感謝を示す為に、お祭り舞台『アイカツプラネット大感謝祭』を開催し一同が再び集結するという筋書き。

音羽舞桜/ハナが主導する大感謝祭のコンセプトは、その名が示すように「感謝」が一つのテーマになっていたわけですが、これが初代アイカツの最初の映画でもある『大スター宮いちごまつり』の理念に通じるものがあったように感じます。トップアイドルとなった自分が今したいことは何か。返せるものはあるのか。今までの軌跡と今の立場から生じる衝動を形に表すという点も星宮いちごが示したものを彷彿とさせるものがある。

アイカツシリーズのファンサービス要素として登場した斧、崖登り、実写版かえで寿司等々。歴代を象徴する描写を踏襲しながらも、響子/ビートのドラカツや紗良さん主導のファッションショー、木彫りのメルリ作りなど、実写だからこそインパクトがあって映像的にも映えるシーンも織り込まれていて、アニメと実写が入り乱れるプラネットの特性が活かされている構成になっていたと思います。

ライブパートでは組んだキューピットとアンが本編終盤で結成したユニット・ラブリーマロンと、同じアバターハナを継承した間柄にして頂点を競い合ったハナとローズのユニット・プロミスブーケの活動とライブシーンを遂に見ることが出来て感慨深いものがある。響子先輩のドラカツを含め終盤で描かれていた「この先」を見たいという一視聴者としての願いが回収されている所も多く、それを見せてくれたことに感謝したい。

大スター宮いちごまつりの時のいちごは、明日を生きるための活力を少しでも与えられたらという願いをファン側が受け取りましたが、今回のアイカツプラネット大感謝祭ではハナが応援してくれるファンに感謝の意を示しつつ、ファン側からもハナに対して感謝の気持ちを「手形の花」で作った花畑で返し、アイドルとファンの双方向の感謝が伝わる形になっていたのが印象的でした。

作中の現実世界とアイカツプラネット内の世界。実写とアバターが交錯しファンが日常生活の延長線上に、より近い距離感にいる本作だからこそ導き出された答えなのではないかと感じた次第です。実写×アニメというシリーズの中でも唯一無二にして異色な面を持つ挑戦作。アイカツプラネットの特性が存分に発揮された映画だったと言えると思います。

あと個人的にプロミスブーケのドレシアとして、学園マザーが満を持してプラネット世界にドレシアという形で参戦してくれたことが嬉しかったなぁ。アイドルを見守り導く象徴的な存在として、今のハナが行うことを見届けてくれた意義というか。唯一オンパレードの後に始まった作品というのもあるけど、今回の映画でシリーズとしての繋がりを感じられる要素として機能していたようにも思えたよ。

プラネット未視聴で今回の同時上映で初めて触れた人もいると思うけど、やっぱり根底には変わることのないアイカツの尊ぶべき理念、シリーズとして魅力的に感じる大切な要素が詰まっていると思うし、この映画をキッカケにプラネットを見る人がもっと増えたら良いな。