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ひろがるスカイ!プリキュア 第25話 「ワクワク!プリンセス、動物園に行く!」 感想

ひろがるスカイ!プリキュア 第25話 「ワクワク!プリンセス、動物園に行く!」 感想

一個人として相手と向き合うことの大切さを知る。

数々の不思議な力を持ち運命の子と称されるエルちゃんの育児方針について、ひろプリチームの面々が改めて思い悩み試行錯誤しながら共に向き合っていく姿が非常に印象深い。子育てに画一的で絶対の正解はないと言われる程に、子供の性格や趣味嗜好は千差万別で時々によって変わっていく。だからこそ、大切な子としっかり向き合い、何に喜びを感じ何を求めているのか見極めていくことが肝要なのだ。

これは何も子育てに限ったことではなく、大人でも人付き合いをしていく上で求められる。対人関係の形成にも通じるものがあるのだろう。特別な子だから特別な何かをするわけではなく、一緒に過ごしていく中で時に失敗したり相手を怒らせたり悲しませることもありながら、その子に必要なものや資質を共に探り、より良いものを見定めていく。それが何より大切なことなんだと。

エルちゃんに対してどう接していけばいいか悩む過程で、エルちゃんだけでなくソラたち自身の内面的な成長も窺えましたし、相手と向き合うことの大切さに改めて思いを馳せることで、独り善がりなヒーローではなく共に支え合い一緒に成長していく本作の理想とするヒーロー像。それにまた一歩近づけたのではないかと感じる。子供や教え子に逆に教えられることもある。

これもまた育児要素を取り入れた作品ならではのアプローチだし、一方的な押し付けではなく相手の立場に立つことをより求められるヒーローを題材にした本作だからこそ映える内容なんじゃないかな。新たな敵幹部のミノトンも武人タイプで真っ向勝負を求める気質を持っていて、今までのアンダーグ帝国の者とは違う空気を纏っている。

そんな新鮮さを持つ相手と向き合う中で、ソラたちやエルちゃんは何を感じ取りどう変わっていくだろうか。その真っ直ぐさが彼女たちに良い影響を与えてくれることを期待せずにはいられない。ソラやましろの教えや生き様もエルちゃんの中でしっかりと根づいているのが伝わってきたし、より多彩な反応を見せてくれたエルちゃんの可愛らしい姿に癒やされる回でもありました。これからがますます楽しみ。

カバトンの親族ながらも彼とは真逆で真っ向勝負を好む武人気質なミノトン参戦。今までのカバトンやバッタモンダーは、虚栄心があって見せかけの強さを主張したり、目的達成の為には姑息な手段も用いる小物感を漂わせるようなね。言ってしまえば悪役らしい悪役でしたが、ミノトンはそんな彼らとは正反対のタイプで正々堂々とした男気に溢れるキャラで、その潔さや真っ直ぐさに敵対者でありながら好感を抱かざるを得ない。

人を見る。相手を見て向き合うことの重要さ。それらは今回のテーマであったと思いますが、たとえ赤子であっても強者に毅然と立ち向かう強さを見せたエルちゃんに敬意を払う姿勢などは、相手がプリンセスだからどうこうではなく、一個人としてその在り方を認めたからこそ出る反応ですし。

プリキュアに対しても彼女たちのこれまでの奮戦と実際に目の前で戦う姿を見て、好敵手たる存在と認めればこそ、不意打ちや弱い者を狙うような手法ではなく真っ向勝負を望み挑んでくる。自分の目で見定め相手と真正面から向き合う。育児とはまた別の意味で相手と向き合うことの大切さを、その身を以て示してくれていたのがミノトンだったと言うことも出来るだろう。

最終的な目的はプリンセス・エルを連れて行くことで、それはそれで悪役のすることで悪いことではある。しかし、それを成すにしても正当の手順を踏んだ上で行う。プリキュアを正面から打ち破りエルちゃんを連れて行くのはその後のこととするね。そんな矜持の持ち主で初登場ながらに多くの視聴者の心をつかみ好感を抱かせた存在であることは間違いないだろう。

歴代でもキントレスキーやガメッツのような武人タイプな敵幹部もいるが、ミノトンも彼らに通じるものがあるかもしれません。今までとは異なるタイプの敵対者ミノトンの存在が、本作ひろプリにどんな影響を与えてくれるのか見ものです。

今週のエンディング前担当はキュアブルーム!持ち前の素朴さと元気ハツラツとした快活さで周りを鼓舞するタイプの咲は、その真っ直ぐさで周りにいる人達と正面から向き合ってきた主人公。それは敵対していた満と薫に対する向き合い方に特に顕著に現れていて。相方の舞と共に立場とかではなく一個人として相手を見ることが如何に大切なことかを教えてくれた先輩でもあるだろう。

今年の秋映画でも出番があるか気になるところだが、既に主要人物として登場が確定しているオトナプリキュアでの活躍は本当に楽しみ。舞たちもそうだけど今どんな大人になっているのか。年月の経過も相まって感慨深さもひとしお。