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トロピカル~ジュ!プリキュア 第46話 「トロピカれ!わたしたちの今!」 感想

トロピカル~ジュ!プリキュア 第46話 「トロピカれ!わたしたちの今!」 感想

最高に楽しくてトロピカる一年をありがとう!

本当に毎週楽しかったトロプリも大団円のクライマックス!決断を後回しにしたことで悲しい運命を辿った魔女様とキュアオアシスの行く末と生き様を見届けているからこそ、今この瞬間に自分の人生を大きく左右する選択を迫られたローラの決断がとても意義のあるものになるし、今一番大事なことをやるという本作が発信し続けていたテーマを体現することに繋がる。

この一年間で自分たちの身に起こった出来事を、私達の物語という演目として追従していく過程で、仲間の大切さを改めて実感すると共に、ラストシーンの内容を変えてでも女王になるという当初の夢を貫く姿を見せるからこそ、今や掛け替えのない存在となったトロピカる部の仲間と自分の夢を天秤にかけ、その上で別れる決断を下すローラの覚悟の重みも増すというものです。

思うにこの一年トロプリの皆が闘っていたのは、明確で分かりやすい敵や悪といったものではなく、人が誰でも持っている自分の心の中にある弱さだったのだと思います。一度はローラの選択を尊重し背中を押すことを決めたまなつが、劇中でローラに対する思いが溢れ感情が爆発してしまったのも、彼女の心の弱さを表すのと同時に選択の先延ばし、後回しを仄めかす一幕だったんじゃないかなと。

しかし、本作を引っ張ってきたプリキュア達はそれを良しとはしないのです。たとえ辛く悲しい別れとなっても勇気を持って決断し前に進んでいくことを。自分たちが本当に自分たちらしくある為に必要な選択をし、力強く今を生きていくことを見せてくれている。楽しさと明るさが前面に押し出される作風にあって、こういう心の機微や感情の繊細な表現をしてくれるのは、本作トロプリの魅力の一つであることを改めて実感させてくれる。

最終回で最後に決断に別れのとき。ともすればシリアス一辺倒で重くなってもおかしくない要素だらけだったのに、シリアスとギャグコメディの要素を絶妙な塩梅で織り交ぜながら進行する話運びが痛快であり、それらを破綻させることなく一つのお話の中に纏め昇華してくれたトロプリに最大級の賛辞を送りたい。本当に笑って泣けて楽しいトロプリらしさ全開の最終回でした。

本作のキャッチコピーでもある「メイクでチェンジ!ムテキのやる気!」の通り、まなつのリップが消えた直後に彼女の本音が溢れる一幕と、ローラの感情が溢れそうになるところでまなつが彼女にリップを手渡す一幕の対比、ハートフルリングの消失と共に消える記憶描写等々。通常通りのギャグ描写もあったからこそ、感情を揺さぶる演出面での美麗さも際立って映りました。

今一番大事なことをやる本作だっただけに、まなつとローラの関係性も三度目の対面を経て新たに構築していくラストもあるかなと思っていたのですが、幼少期の一度目の別れを経て再度巡り合った本編の始まりでもある二度目のときと異なり、二人が記憶を取り戻し再度結びつくという流れに落ち着いて何よりでした。

それ即ちキュアオアシスと破壊の魔女が願いながらも生前では叶えられなかったことを、二人の行く末を見届けたまなつとローラが成し遂げたことに他ならないとも思うので。元敵幹部勢が記憶を取り戻す鍵となっていたところも素晴らしく、それもローラがまなつ達との再会を期して今一番大事なことをやったから得られた結果なのだろう。本当に晴れやかな気持ちで今一番大切なことを積み重ねた先にある素敵な明日を感じられるような良い形での幕引きとなったのではないかと思います。

本当に最初から最後まで明るく!楽しく!元気よく!を地で行く作風で楽しかったです。ありがとうトロピカル~ジュ!プリキュア。私の中でまた一つ大好きなプリキュア作品が増えました。

本当に大団円と言っていい内容でしたし、ローラとのお別れも感動的なものであったことは間違いないのですが、やっぱりそれらを消して余りあるコミカルなギャグコメディ描写が光っていたのもまた事実。まなつの号泣シーンからの灯台セットが倒れてローラが顔芸を披露するところだったり、みのりん先輩の黙れ発言だったり、まなつとローラの再会シーンだったりと枚挙にいとまがありません。

その中でも次作プリキュア主人公・和実ゆいとの対面を果たした後の最後の締めで、まなつが犬のフンを踏んでトロピカる部の面々が飛び上がるシーンが、トロプリメンバー出演の最後の瞬間であったところが実にらしくて最高でした。さようならと言いつつ最後の最後まで楽しいノリ。徹頭徹尾トロプリしてて私の心もトロピカってしまったよ!

まほプリ以降は恒例となった本編中での次作プリキュアとの邂逅シーン。これまでは何らかの事情で生じたトラブルを前に共闘する展開がお約束でしたが、今回のキュアプレシャスは直接の戦闘シーンが描かれずに日常パートでの交流に留まったところが一つ印象的。これはトロピカる日々を重視する本作トロプリならではの作風が影響していると言えるのかもしれません。

はらペコった~が口癖で名前がゆい、お米大好き少女というのも相まって、個人的にはユメ目でお馴染みのあの子を連想したりしちゃってるのですが、あそこまでの暴走キャラには流石にならないだろう。ならないよね?

ともあれやっぱり基本は素直で明るい子でピンクキュアを担うに相応しい王道の主人公像という感じは、今回の短い出演パートの中でも感じられたし、次作デパプリを牽引する主人公としてこれからの頑張りを見届けていきたいところです。キュアサマーからキュアプレシャスへと託されたプリキュアのバトンをこれからも繋げていって欲しい!

コロナ渦に陥ってからの暗い世の中、先行きの見通せない漠然とした不安が蔓延する昨今。東日本大震災の翌年のスマプリもそうでしたが、本作トロプリや次作デパプリはそんな世相を反映したプリキュア作品として生まれたという側面は確実にあると思います。だからこそ今一番大事なことを全力でやって楽しむこと、誰かと一緒に食を楽しむことが如何に大切で尊ぶべきものなのか。

それが改めて問われているのかもしれないなと感じる今日このごろであります。今一番大事なことをやるためには活力が必要で、その活力やエネルギーは人間を形作る上で不可欠な食から生まれるもの。そう考えるとトロプリからのデパプリの流れは、一つの繋がりの上に成り立っていると捉えることも出来るのではないでしょうか。いつもの私お得意の無理やりなこじつけもあるかもですが、そう考えると次作への移行も個人的には入りやすさを生むかなと思う次第であります。

昨年も同じこと書きましたが当たり前が当たり前ではなくなった今の世の中。その中でプリキュアを以前と変わらず楽しめる喜びを、決して忘れることなく今一度噛み締めていきたいなと強く思います。毎週本当に楽しい時間をありがとうトロプリ!