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トロピカル~ジュ!プリキュア 第23話 「南乃祭り!教えて、ローラの願いごと!」 感想

トロピカル~ジュ!プリキュア 第23話 「南乃祭り!教えて、ローラの願いごと!」 感想

小さな願いの積み重ねた幸せの道筋となる。

島に伝わる南乃祭りの風習になぞらえた本作とまなつの願いに対する向き合い方や捉え方が素敵だなぁ。まなつが言うように願い事は誰かに叶えてもらうのではなく、自分自身で叶えるものというのも然りで個人的にもこういう解釈の方が好み。南乃祭りに限らず初詣とかのお参りにしても、願いはその年における自分の目標に対する決意表明の性質もあり、祭りごとはそれを再認識する為の契機となる場なのだ。

たとえ小さな願いでもなんでもいい。目標を見定めそれを叶える為に努力する日々は、その人に並々ならぬ活力と輝きを与えるものとなる。やる気パワーを巡る本作の趣旨に沿うものでもあると思うし、そうして目標を一つひとつ達成していった積み重ねの先に大きな夢が花開いているというのが人の生きざまでもあるのだろう。人の幸せもまたそうした何気ない日々の中にこそある。

他人から見たらちっぽけなことやくだらないと思えることでも、本人にとって大切なことなら何でもいい。夏休みを勝ち取る為に奮闘したエルダーちゃんの頑張り然り。トロピカる肉体と精神を身につけるべく、島に合宿へ来て普段は出来ない数々の体験や独自の文化風習に触れるトロピカる部の面々然り。その目的を遂げる為に付随してくる体験や努力が、日々を輝かせ人間の内面性をも充実させるのだ。

とりわけ今回はローラが石に書いた願いが焦点になりましたが、その見せ方も凄く良かったのではないかと思います。ローラのバタ足はまさに自分の力で叶えたい願いや目標に向かって進むことの表れで。冒頭のスキューバダイビングに参加出来なかったシーンも含め、コミュニティーの輪に入りたいと願うローラの気持ちとか、手に入れた人間の足でも泳げるよう努力して馴染もうとする姿勢とかね。

最初の頃は人間を取るに足らない存在、自らの野望を叶える為の駒として見ていた彼女が、そういう歩み寄りの姿勢のようなものを見せてくれたこと。他人をどうこうではなく自分の力で目標に向かう姿に、これまで築き上げてきたものや彼女の変化を見て取れたことに感慨深さのようなものが込み上げてきたのです。まなつ達との関係性も込みで、小さな積み重ねがローラの幸せの道筋になる。

夏で祭りで浴衣な回の中で育まれた更なる結束。一夏の体験によってもたらされた各々の肉体的精神的な成熟。二週に渡って繰り広げられた合宿エピソードの中に、トロピカる部の面々の確かな積み重ねと成長を感じられる思い出いっぱいの夏エピソードでありました。トロピカる部には素敵な思い出を、エルダちゃんにはこれから先の夏休みを!どちらも充実したものになれば幸いなのです。

全体的にはいいお話だったけどローラは相変わらずローラってことも感じさせてくれるカットに安心する。願い事を他の人に見られたら叶わなくなるなんてことも言われたりしますが、自らの願いを仲間に見せないよう孤軍奮闘するラメールの戦いっぷりにあっぱれ。サマーとフラミンゴも嘆いていたけど今回に関しては「もう全部あいつ一人でいいんじゃないかな」感があったことは言うまでもない。

読書家でどちらかというとインドア派と思われたみのりん先輩が果たした南の島での運命の出会い。みのりん先輩、太極拳を極めるって願いを否定する気は全くないのだけど本当にそれでいいのだろうか。サラッととんでもないこと言い出したりするからみのりん先輩は恐ろしく目が離せない存在なのです。