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ワッチャプリマジ! 第33話 「太陽を目指す者たち」 感想

ワッチャプリマジ! 第33話 「太陽を目指す者たち」 感想

目指すべき光を見失い心の迷子に。

プリマジスタ・弥生ひなにとって最大の試練ともいうべき前後編エピソード。ひなが自己鍛錬を欠かさず自らを研ぎ澄まし、どこまでも真っ直ぐ突き進むことが出来るのも、全ては自分よりも高く跳び光り輝くジェニファーという頂に立つ存在がいればこそ。目指すべき場所、乗り越えるべき存在をハッキリと見定めているからこそ弥生ひなは迷うことなく挑戦する気構えが出来るというものです。

プリマジを行う原動力や理由。それらを他のプリマジスタに委ねているというか寄る辺としている節のあるところが、弥生ひなと他のプリマジスタの最も異なる点ということが出来るかもしれません。自分の内側に起因しないモチベーション。自分のみで完結しないプリマジへのスタンス。それが機能している間は問題ないかもしれないが、一度それを失ってしまえば一転して目標を見失い活力をも失ってしまう。

他のライバル達と競い合い高め合う。これ自体は素敵なことだし他のプリマジスタ達も大切にしていることだけど、ひなの場合はその傾向が強すぎる嫌いがあるし、何より最大の目標にして越えるべき存在と位置付けていたジェニファーに、再度熱い思いをぶつけたにも関わらず、直接対決の場であるグランドフェスに改めて出ないことを告げられた挙げ句、ともすれば眼中にないとすら取れる発言を真っ向から言われては、ひなの心が折れて曇ってしまうのも致し方ないところであろうと。

もちろんジェニファーにそんなつもりはないのは視聴者目線では明白だし、彼女も行き過ぎた競い合いや頂きを求めれば求めるほどに突きつけられる孤独感や虚無感。何よりも大事なパートナーやプリマジを楽しむ心を失ってしまう悲しみを誰よりも知るからこそ、ひなにとって大切なことはそれではないと言いたいのだろうと推察は出来るが、今のひなにそれを求めるのも酷というものだ。

彗星の如く現れ周囲の期待を一身に浴びていたかつての自分。突きつけられた現実。自分より確かな高みにいるジェニファーに破れてから一年、彼女を越えることだけを目標に自己研鑽に務めてきた弥生ひなにとって、ライバルではないと告げられ直接対決すらしてもらえないとなれば空虚に囚われすべてを失ったかのような無気力状態に陥るのも無理からぬ事だ。

だからこそ彼女の傍でずっと見てきたあまねが最後に言ったように。前回自分がそうしたように他者に依らない自分の内から湧き上がる衝動を。どうしてプリマジをするのか。プリマジに何を求めているのか自分なりの答えを見出さなくてはならないのだろう。ここに来てまつりやれもん、みるきたち後輩組が既に乗り越えた壁にトッププリマジスタであるひながぶつかるという構成は興味深い。

第一クールにおいて陽比野まつりを筆頭に問われていたプリマジをする理由。あなたにとってのプリマジとは何なのか?作品名にも連なる『What's your primagi?』というジェニファーの問いかけ。巡り巡って突きつけられた改めての命題に、ひなは如何なる答えを導き出し復活を遂げるのか。ひなの心が沸き立つ原動力となるものが見つかることを願ってやまない。

ラストのひなとあまねの歩道橋シーンはプリティーシリーズファン的には色んな意味で盛り上がりどころですな。降りしきる雨や中央分離帯の茂みを挟んで対峙する両者の心情描写や立ち位置の示唆も王道ながらやはり良いものです。あまねがひなに先んじて壁を乗り越えたのもこの流れを見ると納得。

あとは歩道橋と言えばあれですよね。本作と同じく坪田文さんが脚本とシリーズ構成を務めるレインボーライブの時に、蓮城寺べるの感情の振り幅をより際だたせるのに一役買っていたロケーションでもある。才能に恵まれつつ誰よりも努力家で周囲も認める実力派。奇しくもそんなべると似た境遇を持つひなが、彼女と同様に心が折れ曇った先に見る景色はどんなものになるだろうかと。

その意味でも来週の後編エピソードは非常に楽しみなところです。前後編で見るなら「ひとりぼっちの女王」からの「さよなら、べる」回を彷彿とさせるところがあるだけに余計にですね。