被告人・甘瓜みるきを『あざとかわいい罪』により有罪に処す。
あざとさ全開でみるき節が炸裂!センターを取る為に周りを籠絡しようと奸計を巡らせた「あざとすぎる罪」で裁判にかけられるという字面だけでもネタ感が半端ない回であり、実際にネタ要素に溢れていた回でもありましたが、一方でみるきの「あざと可愛さ」にかける本気の情熱と、プリマジスタ甘瓜みるきの根底にあるものに迫る真面目な回でもあったかと思います。
主人公まつりのようにありのままを体現し自然体でいることで何よりも魅力を発揮するタイプもいるが、全てのプリマジスタが同じであるとは限らない。プリマジスタそれぞれに個々の異なる魅力が強みがあり、またプリマジに対して求めるものや懸ける思いも異なるのである。みるきにとってのそれが「可愛さ」という魔法を自らに施して纏うことであり、いわばこれは各々のコンセプトの戦いでもあるのだ。
みるきがプリマジスタとしてデビューする前の様子も描かれ、彼女の実家が八百屋であることや、それになぞらえ同じように育ち同じ味がするのに見向きもされず売れ残る訳あり品に対する複雑な思い。見た目が地味目でクラスの中心からは外れた立ち位置に居たみるきとの境遇の重ね合わせにより、彼女の根幹にあるものがプリマジスタ陽比野まつりの強みである自然体・ありのままと相容れないものであることを訴えかける見せ方も巧みだなと思うところです。
そんな訳あり品のような自分や野菜も可愛さという魔法を纏うことで皆の注目を集め見られる。求められるという実体験こそが、甘瓜みるきの根源にある譲れぬ思いであり、それを身をもって知っているからこそ彼女はプリマジを通して可愛いが持つ可能性を発信せずにはいられないのだと思います。決しておふざけや安易なキャラ作りの為だけではなく。
みるきの人生を懸けた本気のあざと可愛いは、それゆえに軽いものではなく、だからこそ揺るがない。自分の信念を貫き目的を遂げる為に全力を尽くす。それは形は違えども他のプリマジスタ達と比べても遜色なく本気でプリマジに懸けている一人のプリマジスタの姿に他ならない。本気だから見ている人に訴えかける力が生じるし、だから今回もライバルのまつり達もみるきがセンターと認めたのだ。
プリマジに何を求めるのか。みるきにとってのプリマジとは何か。彼女の出自というかバックボーンを掘り下げる過程で家庭環境や作品の命題と上手く絡めつつ、プリマジスタ甘瓜みるきの魅力と強みを再確認出来る回だったのではないかと思います。最終的にジェニファーに話題を持っていかれるというお約束のオチもありつつ。それでも甘瓜みるきがまた視聴者の好感度を確実に上げる回だったんじゃないかな。
被告人・甘瓜みるき。そのあざと可愛さで視聴者の心を惑わし魅了した罪でやっぱり有罪!
まだプリマジスタとしてデビューする前。黒髪で物腰控え目なみるきもこれはこれで良いですな。ピンクはあざといを逆手に取るような形で自分の武器にする逞しさと強かさ。本編の最期ではジェニファーに話題を持っていかれたけど、ピンク髪デビューしたその日はクラスメート達の話題をジェニファーから自分に持ってこさせて奪っている。
ただオチのネタとして用いられるだけではなく、みるきが変わった瞬間や確かな手応えを得た瞬間。その実感を肌で感じるところで使っているところに脚本の妙を感じる次第です。ジェニファーのプリマジもさることながら、甘瓜みるきが実力で掴み取りセンターを務めるエキシビジョンのプリマジがどんなものになるか楽しみ。