変わらないものもあるが変わるものもある。
キラリンアニマルが全員揃いニコガーデンも元の美しい光景を取り戻したが、それで全てが元通りというわけでは決してなく。未だ戻らないニコアニマル達もいれば、未だ行方も安否も不明なままのニコ様がいて、更にニコ様の力を宿したと思しき不思議なたまごが一同の前に現れるという現状。変わらないものもあるが、むしろ変わっていくものの方が多く、それこそが世の常であり人や動物の生でもあるのだろう。
その中でも今回はユキのスタンスの変化や、キラリンアニマル達との交流する姿が印象的でした。まゆが全ての行動理念であり、彼女以外のことには興味も関心も寄せなかったのが当初のユキの姿で。その中で紆余曲折を経てプリキュアの仲間入りを果たし、キラリンアニマルが指摘したように今はもう違うユキのスタンスや考え方が彼女の言動にしっかりと表れていて。
母親と引き離されたアニマルの為にさり気なく気を配っていたし、ニャミーとしても以前は戦闘時に一切の容赦なく物理攻撃を加え、迫る脅威をまゆに近づけないことのみに徹していたが、今はプリキュアの使命に則る形を自然と取るようになり、ガルガルとなったアニマル達を極力傷つけないように立ち回り、彼らの心に寄り添う姿勢を見せてくれている。
大好きなまゆ以外の相手にも目を向けるようになったこと。その相手の心にも気を配り広い視野を持って行動するようになったこと。クールさは変わらずまゆのことが大切なことも揺るぎないが、ユキの確かな変化を目に見える形で示してくれたことは嬉しいし、少し前までの切羽詰まった感じや鬼気迫る鋭い印象が薄れ、心に余裕を持つことでしなやかな強さを体現してくれているように映りました。
今回ニコ様の卵の世話をすることに固執し、他者が関わることを頑なに拒もうとしていたメエメエの姿は、それこそ初期のユキに通じるものがあったような気もしますが、だからこそ変わり始めたユキのスタンスや考え方。自然とプリキュアとしての資質に馴染んだユキの姿を際立たせる。大事な人だけでなく目に映る人や動物の心にも寄り添う。わんぷりチームの一員としてユキが溶け込んだことを感じられたことが何より嬉しい回でした。
何度回収されてもこむぎといろはの元に帰って来る恐怖のニコ様の卵。メエメエの束縛が強すぎて一種の狂気じみたものを感じ取ってしまったからなのか。卵ながらニコ様が逃げ出したくなる気持ちも分からんでもないのです。育てられるなら偏愛傾向のあるメエメエの元より、人や動物に対し普遍的な愛情を注ぎ別け隔てなく接してくれるいろは達の元のほうが良いってものよね。
ともあれツノの生えた不思議な卵となってしまったニコ様が、どのタイミングで孵化するのかも気になるし、ニコ様はニコ様とメエメエが主張するだけに、ニコ様がどんな姿形をしているのかも俄然気になるところで。もしかしたらワンチャン人型もあるのかなとか。それなら追加戦士枠に収まる可能性もあるのかなとか。妄想は広がるばかり。
子育て路線に入ると秋映画で共演が決定してるまほプリやひろプリとの共通項も生まれるが…。その辺りもどうなっていくか引き続き注目して見ていきたい。
ニコ様に対しては絶対信仰に基づく崇拝に近い形の強い感情を抱き、異常なまでの執着心を見せるメエメエの狂気を孕んだ言動が見ていて面白いところでありました。あれだけの信頼と親愛の情を抱いている悟くん相手にすらニコ様の卵に関しては気を許すことなく、自分の手元に置くべくあれこれ行動するあたりにも彼の強い感情と拘りを感じずにはいられない。
特定対象に対する過保護っぷりや偏愛っぷりは、少し前までのユキを彷彿とさせるものもあるような気もするが、ユキはここまでの壊れた感じは表向き見せなかったので。それでもやはり通じるものはあるだろうと。事あるごとにメエメエの元から逃げ出す卵だけど、無事に卵が孵ることを願わずにはいられない。強すぎる束縛や重すぎる感情は、時に大切な人を苦しめ蝕む毒となることもあるだけに。メエメエには程々に新たなニコ様の健やかな成長を見守ってもらいたいものです。