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デリシャスパーティ♡プリキュア 第42話 「ゴーダッツのたくらみ プレシャスvs.ブラックペッパー」 感想

デリシャスパーティ♡プリキュア 第42話 「ゴーダッツのたくらみ プレシャスvs.ブラックペッパー」 感想

ゴーダッツによって揺さぶられるゆい・プレシャスの信条。

自ら全ての黒幕あることを明かし、長年に渡って内に秘めてきた激情を迸らせて襲いかかってくるフェンネル改めゴーダッツの脅威は留まるところを知らずプリキュアたちを苦しめる。兄弟弟子でもありクックファイターとして同じ釜の飯を食ったシナモンやマリちゃんの奮闘も光っていましたが、それでもなお止まらぬゴーダッツの欲望は息子である拓海とプリキュアの要でもあるゆいにも容赦なく立ちはだかっていた。

強奪というより強欲と言っても差し支えない程の欲望。全てを自分のものにしなければ気が済まないゴーダッツの気質は、皆でシェアする喜びや幸せを体現してきたデパプリチーム、ひいてはそれを牽引してきた和実ゆい/キュアプレシャスの信条と真っ向から対立するものでもあり、今作のラスボスとしてゆいの前に立ちはだかる最後の障害として、本作の掲げるテーマ的にも相応しい存在と言えるのだろう。

今回はごはんは笑顔、シェアする喜び。それらゆいの信念をあらゆる方向から揺さぶってきており、それを最も揺るがせたのが幼馴染で誰よりもゆいが大切にしているものを理解している拓海の存在だったのがやはり大きかったなと。ゆいですら見たことがないと評するほどに鬼気迫る表情で激情に駆られる拓海の姿。そこからの同じ釜のご飯を食べたという説得のくだり。

それを経て拓海が冷静さを取り戻し、ゆいが自分の信条を再度確たるものにしようとしたところへ拓海に降りかかる凶刃。自分の信じてきたもの、貫いてきたことをゴーダッツに真っ向から否定され、自分のその信条が盲信であり、それ故に大切な存在である拓海やコメコメたちが傷つき倒れるさまを見せつけられるのは、なかなかに堪えるものがあり、ゆいを土台から突き崩すのに十分すぎる仕打ちでもあった。

ゆいにとってもお婆ちゃんの教えが全てではなく、それだけでは笑顔になれない人もいることは、第39話でも身をもって痛感させられたところでもあり、その上でお婆ちゃんの教えを下地に自分の実体験を通して得た説得力のある言葉を伝えられるようになりたいという姿勢を見せてくれていた。しかし、今回はその土台となる部分を全て否定されたわけで根底を覆され崩壊させられたと言ってもいい。

ゴーダッツの言葉の正否がどうということではなく、ゆいにとって全く相容れることの出来ない考えを持つ相手が、自分を否定してきたときにそれでもシェアする喜びを如何にして伝えることができるのか。対ゴーダッツとの最終決戦においては、一度は心を折られたゆいが、上述した自分なりの答えを如何にして見出し、それを説得力と実感の伴う言葉としてゴーダッツに伝えることが出来るのか否か。

分け合うことの意義と全てを自分ひとりのものにする意義。テーマとコンセプトのぶつかり合いと言ってもいい。そして、それを成し遂げられたときにこそ、言葉だけではない主人公・和実ゆいの心身の成長の証として受け取ることが出来るのではないだろうか。ここまで明るく元気に物語を牽引してきたゆいにとっての大きな挫折と立ちはだかる障害。

最終局面に来て最も追い詰められた彼女が、ここからどのようにして立ち上がり、どんな答えを見せてくれるのか。それぞれが掲げる譲れぬ信条。そのぶつかり合いの果てにどのような決着を見るのか。物語もいよいよ最終盤。今まで以上にゆいの立ち居振る舞いに注目せずにはいられない。頑張れ主人公!

完璧であろうとしても完璧にはなりきれず、寄る辺であったゴーダッツ様にも見限られ、意気消沈するセクレトルーの姿もまた印象的。自分の信じていたものを打ち砕かれメンタルがボロボロになっている姿は、最後のゆいの姿とも重なるところがあった。この終盤ですべてを失い打ちひしがれるセクレトルーが、この後に果たしてくれる役割にも大いに期待したい。

喜びや幸せをシェアすることがデパプリチームの信条ならば、辛いときや悲しいときにそれらを分かち合うのもまた道理なのである。鬱屈した感情を一人で溜め込み続けたフェンネルとの最大の違いはそこでもあり、だからこそセクレトルーやゆいは、彼とは違った道を歩めるだろうし異なる可能性を選ぶことも出来る。仲間や家族や友達が彼女たちを支え導いてくれる。

ブンドル団の元団員の皆も最後に見せ場があるといいなと思うし、一度は主義主張が衝突しプリキュアとは相容れなかったナルシストルーやセクレトルーが、悩めるゆい達の力になってくれたのなら。それ即ち可能性の光ともなるので。麗しのセクレトルーさんもこれはこれで良いんだけど最後はやっぱり幸せになる姿を見てみたいと思うのよ。

デパプリからは少し離れるけど次作『ひろがるスカイ!プリキュア』のメインキャストや諸々の情報も本日解禁!正直去年の年末くらいにくるかなと思っていたけど今年のプリキュアの初放送に合わせての解禁となりましたね。待ちわびてました!

プリキュアシリーズの20作目にして20周年の節目に向かう位置付けにもなる本作。「ひろがる世界へ!ホップ!ステップ!ジャンプ!」というキャッチコピーにもあるように、次の10年に向けての飛躍を期したところもあるのかなと感じます。そういうシリーズとしても大きな転機にもなる作品なだけに、今までのシリーズでは見られなかった挑戦的な要素も既に散見される。

青キュアであるソラ・ハレワタール/キュアスカイが主人公のポジションにいるのもそうだし、テレビシリーズでは半ば暗黙の了解のように存在していた前シリーズで妖精キャラを演じたキャストは、プリキュアとしての起用はないという前例も、ヒープリでラビリンを演じた加隈亜衣さんが虹ヶ丘ましろ/キュアプリズムに起用されたことで打ち破られることになりました。また、今作では変身ヒロインではなくヒーローを自称する等々。

良い意味で前例に囚われない。シリーズとして築き上げてきた伝統を受け継ぎつつ新たな形を模索し挑戦することを躊躇わない。そんな気概を感じることも出来るんじゃないかなと個人的には思った次第です。どんなときでも意欲的。プリキュアシリーズの可能性を更に広げてくれるような作品になってくれたら嬉しいなと。まだ一ヶ月くらいありますが、ひろプリが始まるのも今からとても楽しみです。