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デリシャスパーティ♡プリキュア 第43話 「レシピボン発動!おいしーなタウンの危機」 感想

デリシャスパーティ♡プリキュア 第43話 「レシピボン発動!おいしーなタウンの危機」 感想

おむすびに込められた思いが人を結び希望の灯火となる。

自分の信条でもあったお婆ちゃんの教えが大切な人を傷つける要因となり、またその思いを真っ向から否定されたことで憔悴しきってしまったゆいを救うのは、やはり同じくお婆ちゃんの教え。祖母が大切な人たちに伝えた思いが沢山の人を結びつけ繋がり、それらが巡り巡ってゆいを再び奮い立たせ背中を押してくれる力になってくれている。ゆいを形作る大元は大好きなお婆ちゃんの思いなのだ。

のみならず今回はそこにゆい自身が結びつけてきた人と人、思いと思いを感じられる構成にもなっており、プリキュアとして友人としてゆいを気遣ってくれる仲間。他でもないゆい自身が思い出させてくれたお婆ちゃんの教えの意義を改めて伝えてくれる拓海。良いことだけではなく失敗を糧に成長し前に進んだことを語るマリちゃんや支えとなってくれている家族の支援。

お婆ちゃんが込めたゆいの名前の由来を絡めることで、ゆいの根幹となる部分と大切にしたい思いがより明確に力強く浮かび上がる見せ方は巧いなと感じるし、全ての料理が奪われてしまった世界で、おむすびをきっかけに人と人が繋がり合うことの大切さや分け合い支え合うことの意義も際立っていた。まさに、ご飯は笑顔でありシェアする喜びが体現された瞬間でもある。

これまでは基本的に明るい感情が先行していて後ろ向きな面があまり見えなかったゆいだけど、この終盤に来て本気の泣き顔や落ち込み具合を見せつつ、失敗から立ち直り自らのルーツを改めて見直すことで、心身ともに今までより一回りも二回りも大きくなったところを印象付けられたのではないかと思う。成功体験だけではなく失敗を糧にしてこそ人は真に成熟していく。

食べることだけでなく出会う人々や関わってきた物事。それらを包み込む環境の全てが密接に結びついて人を育んでいくのだと感じられる回でした。答えは大切な人の笑顔にある。人との繋がりや結びつき。大切な人の笑顔を思うことの重要性。ゆいの再起に関してこれらの要素が描かれたからこそ、それを放棄して全てを我が物にせんとするゴーダッツと相対する事ができる。

人は一人では決して生きられないという普遍的なテーマではないですが、自らを形作ってくれた大切なことを胸に秘め、ゆいが再びゴーダッツと対峙したときに、それをどのようにして体現することが出来るのか。自分の実体験を通し確かな実感を得たゆいが、何もかもを自分ひとりのものにしようとするゴーダッツにシェアする喜びを伝えることは出来るのか。

一年を通して描かれてきたデパプリの物語もいよいよ大詰め。全世界を強制的に兵糧攻めして意外と理に適った侵略をしてきたゴーダッツに対し、時を超えて託されたジンジャーの思いも胸に秘めて、ゆいたちプリキュアは希望の灯火を、シェアする喜びを見せることが出来るか否か。どのような形で決着するのか最後の最後までしっかりと見届けていきたい。

ゆいと同じく憔悴しきっていたセクレトルーでしたが、ここねのママにして神の舌を持つ芙羽はつことの対面で今までのイメージを一気に塗り替えるような可愛らしい反応を連発してくれて、本筋とはまた違った意味合いで見せ場を作ってくれていて有り難い。やたらとハイテンションだったり慌てふためいたりとブンドル団の職務を忠実にこなしてきたお堅いイメージとは真逆で無限の可能性を感じさせてくれる。セク姐さん本当ポテンシャル高いぜ!

完璧でなければならないと自ら強迫観念にかられているセクレトルーでしたが、はつことの対面を経て完璧だと思っていた人が実はそうではなかったこと。誰にだって苦手なことや失敗した経験があること。その上で大切な人への思いが自らを奮い立たせ信じる道を歩む力になっていくことを伝えられている。この点で今回のゆいとセクレトルーは共通した悩みを持つ存在として対比的な見せ方をされていたとも言えるだろう。

直接的に繋がりはなくとも人は結びつき大切な人に向けて託した思いは巡り巡って還ってくる。子育てにも料理の味付けや美味しさにも絶対的な正解はないもの。だからこそ大切なのは自分が大切に思う人が笑顔に、幸せになれるように思いを込め向き合い続けることなのだと。師匠ジンジャーや兄弟弟子のシナモンやマリちゃんから目を背けてしまったフェンネルに対するメッセージが、この二人のやり取りにも表れていたように映りました。

ここにきてキャラとして良い味わい深さを発揮してくれたセクレトルー。ナルシストルーも含めてなんだけど本当に最後は幸せになってほしいものです。

ゆいを励ます皆の心遣いが本当に温かかったけど、なかでもここね/スパイシーの格好良さは際立っておりました。流石ははつこさんの娘。対人スキルに難有りで自分の気持ちを上手く伝えることが苦手だった初期の彼女を思うと、作中で一番成長したのはここねだったのではないかとも思えてくる。皆と強く結びつき頼もしい存在になってくれて本当に嬉しい。