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デリシャスパーティ♡プリキュア 第39話 「お料理なんてしなくていい!?おいしい笑顔の作り方」 感想

デリシャスパーティ♡プリキュア 第39話 「お料理なんてしなくていい!?おいしい笑顔の作り方」 感想

受け売りの言葉だけでなく自分自身の言葉を見つけて皆を笑顔に。

現代は非常に便利なもので冷凍食品や惣菜も進化して美味しいし、安価な弁当やウーバーなどのサービスも普及して、下手に自炊しなくても(お金さえあれば)充実した食生活を送れる環境が整っている世の中でもある。そういう背景もあるので今回の副題を見た時に、手作り料理や自炊だけが全てではないという切り口のお話なのかと漠然と思っていたんですよね。

でも、今回の「お料理なんてしなくていい」という副題は、そういうのとはまた少しニュアンスが異なるものでもあり、料理に対する思い入れや幸福度、充実を感じる要素は人それぞれ異なっていることに触れていて、その上でお婆ちゃんの教えを何よりも信条とする主人公ゆいが、それだけでは笑顔に出来ない人がいることを肌身で感じ、自分自身の経験に基づく言葉を見つけることの意義を実感する。

内面的な成長のきっかけを得るような話でもあって、単純に手作り料理が全てじゃない!みたいな安易さでは収まらない内容に仕上がっていて味わい深かった。料理が大好きで食べることでこの上ない喜びを感じる人がいるのなら、必ずしもそうでない人もいる。家庭の事情もそれぞれで飲食店を営むデパプリチーム主要メンバーとそうでない一般家庭の感覚で齟齬が生じるのも至極まっとうなことで。

父親思いのゆいの友人わかなも自分の夢を後押しすべく、身を削ってお弁当を手作りしたり身の回りのことをしてくれる父の行為に感謝はしつつ、それで父が自分の為に無理をすることを心苦しく感じる子でもありました。大切な人が大変な思いをしていることを肌で感じてしまえば、例え手作りしてもらったお弁当を食べても心が充足しないのも当たり前のことなのです。

そうであるならば必ずしも手作りは心の充足に直結し得ないものにもなる。ゆいとは異なりそれ以上に父と苦労を分かち合うこと。一緒の時間を増やしたとえ手作りでなかったとしても父と共に食卓を囲って一緒に食べることの方に、わかなが重きを置いてそこに幸せを見出すのも当然のことなのである。手作りが全てではないというのは怠惰がどうとかそういうことではなくね。

好みが千差万別であるように食に対する思い入れは人それぞれであり、どこに重きを置くのか。幸せを感じるのかは各家庭の事情によっても大きく左右されるもので、画一的なものではないことをゆいが実感したのが今回何よりも大きかったのではないかなと。手作りじゃなくても一緒にご飯を食べて笑顔で話し合う。そこで生じる幸せがあることを描いてくれたのが良かったなと思えた回でした。

お婆ちゃんの教えを糧にそれを血肉として成長してきたゆいが、それだけに留まらず今度は自分の実体験に伴う言葉を見つけて更に一回りも二回りも大きくなっていく。体だけではない心の成長。食を通じて描かれる人の育みが味わい深い。

手作りを軸に全ての人が料理好きなわけではないという点から、セクレトルーの過去に何があって彼女がどんな思いを抱いているのかも断片的にではあるけど見えてきた感じですね。何事も完璧でなければ生きていけないと語る彼女の実体験に伴う言葉の説得力が、心身ともに成長期で未熟である悩めるプレシャスにとって一筋の光明となるところも皮肉が効いていて良いなと思えたところです。

それにしても眼鏡をかけていたセク姐さんの卵割りスキルがこのレベルのものであったとは…。プリキュア、卵割り、ポンコツという要素からどうしたってドキプリの偉大なる先輩まこぴーのことを思い出さずにはいられないのであった。ぽこぴーの残した伝説の一幕は未だに語り草なのです。

いつも以上に悩んで頭を使っていたゆいちゃんの腹ペコ具合&溶け具合がいい感じで可愛らしさと面白さを良い塩梅で包み込んでくれている。心と体。どちらも充実しなければ最大のパフォーマンスを発揮することは叶わない。悩みに対する一つの答えを見出し心が充足したゆいちゃんのさらなる活躍に期待せずにはいられない。