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デリシャスパーティ♡プリキュア 第33話 「清く正しく!あまねとハロウィンパーティ」 感想

デリシャスパーティ♡プリキュア 第33話 「清く正しく!あまねとハロウィンパーティ」 感想

あまねの中で燻り続ける暗い感情と今一度向き合う。

今年もやってきましたプリキュアハロウィン回。ハロウィンといえば仮装をしてお祭り気分な楽しい回になることも多いが、デパプリのハロウィン回は敵方から味方になったあまねの心模様。光と闇の間で揺れ動く不安定な彼女の心に、プリキュアとして活動し仲間たちと絆を紡いだあまね自分自身が再度向き合う内容で、どちらかというとシリアス寄りな構成でしたね。

デパプリの性質を鑑みてもトリック・オア・トリートでお菓子を題材にした内容との親和性は高そうなものですが、どちらかというとハロウィン本来の死者の回帰という性質を、あまねの心情に重ねて描き出していたように感じました。同時にプリキュアであろうと決して聖人君子ではなく、未だ未成熟な少女らしい八つ当たりや醜い感情の吐露が印象深く、その人間らしい在りようが非常に鮮烈でしたね。

マリちゃんからの報告でナルシストルーが食物アレルギー持ちで好き嫌いも多く極端な猫舌であることが語られていたが、そこで改めて食を嫌悪し憎しみをぶつけるナルシストルーの行動と、彼に対して抱く嫌悪感と憎しみの感情を抱き動こうとした自分が同じであること。何が違うのかと。

清く正しくあるためにはどうすればいいのかをあまねが意識し葛藤する様は、彼女がジェントルーとして操られ意に沿わぬことを強制された経緯があるから際立つ。ナルシストルーの食物アレルギーにしても彼自身が望んだものではなく、強制的に天から与えられたもの。本人の意に沿わぬ業を背負わされたという点においては、ナルシストルーもあまねも似た境遇にあったと言えるかもしれません。

それ故に憎悪に身を委ねざるを得なかった可能性に思い至ったからこそ、心に侵食する暗い気持ちとどう相対すればいいのか苦悩するあまねの出す答えは、彼女自身だけではなくナルシストルーにとっての光。可能性を指し示す道筋にもなり得る。同じく心に葛藤を抱えつつもそれを呑み込み、向き合った上で歩んでいる大人のマリちゃんの立ち位置やスタンス、あまねへの接し方も良かったなぁ。

普段は見えない意識しない自分の心の内。在りし日の出来事に思いを馳せつつ未来への展望を見出す。ハロウィンの性質に則りつつ、あまねやナルシストルー、そしてマリちゃんの過去にあった出来事に回帰しながら、それらを一つに繋げてあまねの心の向き合い方に繋げる見せ方が素晴らしかったです。お祭り要素は控えめだったかもしれないが、デパプリならではのハロウィン回として仕上がっていたんじゃないかな。

自分の心の内から湧き上がる暗い感情にどう向き合えばいいのか悩むあまねに対するマリちゃんの接し方が本当に素敵すぎてね。今までの描写からマリちゃんもシナモンと何かがあって、自分が望まぬ業を背負っていることは仄めかされているが、だからこそあまねに対して誰かを許せず恨む気持ちは誰しもが持ち得るものであり、その感情に呑まれ流されることの怖さを説くことが出来るのだろう。

あまねに助言を送る過程でマリちゃんが心の内に抱えている葛藤が垣間見える。この見せ方もまた良いなと思えたのと同時に、大人であるマリちゃんが今のゆい達以上に多くの経験や失敗を積み重ねての今の姿であることを感じさせてくれた。クックファイター達の間でかつて何が起こり、どんな形で離別することを余儀なくされたのか。その詳細が語られる日が楽しみです。

今回はお祭り要素は控えめだったけど各キャラのハロウィン衣装は真っ当に可愛くて良いね!パンプキンゆい、赤ずきんここね、キョンシーパンダらん、天使あまね、魔女マリちゃん、お化け妖精ズ。ある意味で何時も通りな格好かもしれないパンダらんらんが特にお気に入り。あと想像で出てきた小悪魔なあまねもこれはこれで…良い!