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わんだふるぷりきゅあ! 第6話 「こむぎ、いろはとケンカする」 感想

わんだふるぷりきゅあ! 第6話 「こむぎ、いろはとケンカする」 感想

言葉を交わし同じ目線に立つからこそ生じるすれ違いもある。

こむぎが人間の言葉を話せるようになり、いろはと意思疎通を円滑に図れるようになることで、より深く繋がり通じ合うことも出来るが、一方で言葉を交わせるようになるからこそ生じる諍いやすれ違いも起こるもの。今回は同じ言葉を話し同じ目線に立てたことで一緒になれたと思われた双方の立場や関係性が、実はそう単純明快なものではなかったことを改めて突きつけられる構成になっていて感心させらる。

二人の喧嘩の原因。こむぎのお気に入りのリードの件はあくまで発端であり、その後の戦闘時にワンダフルが本能的な恐怖に抗えずに足が竦んで動けなかったことや、こむぎが大切であるが故に感情的に「全部一緒は無理なの!」と語気を強めて言ってしまういろはの言動等に、互いの思惑のズレや種族として持ち得る考え方や価値観の差異。

その決定的な違いが表れており、無意識下で両者の間に厳然として存在する溝こそが、二人がすれ違う最大の要因となっている。動物が大好きでこむぎも含めて慈しみ庇護すべき対象と考えるいろはと、人間になっていろはの役に立ちたい。プリキュアにもなれて役に立てる。同じ目線に立ちずっと一緒にいられると思っていたのに実際はそうならないことに対してこむぎが感じる歯がゆさ。その行き違い。

仲の良い相手との単純な喧嘩という枠組みには収まらない。動物との心の交流や触れ合いを題材にする本作ならではの味わい深さや問いかけが、絶妙な塩梅で反映されていた内容でもありました。いろはの役に立ちたい、一緒にいたいという思いから人間の姿になり、プリキュアとして覚醒したこむぎにとって、ある種の試練というか現実を突きつけられる回でもあったよなと。

同時にメエメエの言を借りるとプリキュアとしてのこむぎに欠けているもの。使命感とかではなくあくまでいろはの役に立ちたい。一緒に遊びたいという本能的な欲求のままに動いている彼女にとって、恐怖や自分の事情だけを優先する。そんな本能的に湧き上がる感情や誘惑を跳ね除けて、自分の意思に基づいて困難に立ち向かう気概を見せられるのか。

そんなこむぎのプリキュアとしての資質を問われている転換点でもあるのかなと感じる。こむぎがいろはに対して抱く思いは尊重すべきものだし大切なものでもあるが、人の姿でいろはと同じ目線に立ち、彼女と一緒にいる為には、それだけではいけないということなのかもしれませんね。半ば衝動的に家を出ていろはの元を離れたこむぎがどんな答えを見せてくれるのか。

個人的には単発で終わるかと思っていた喧嘩回。それ故に次週へ持ち越しとなったことに驚きもありましたが、それだけいろはとこむぎの関係性においても作品の題材的に見ても重要なウェイトを占めるところなのだろう。むしろいろはとこむぎの関係性に時間を割いて丁寧に描いてくれることが嬉しいし、それ故に育まれる信頼関係も絶対にある。二人の歩みにとっても大きな岐路。次回どうなるか本当に楽しみ。

こむぎのワガママに振り回され思わず早口で捲し立てちゃういろはが可愛い。こういう反応を見せたり思わず愚痴ってしまうところも、悟に対するいろはの信頼の表れと見ることも出来るだろう。折に触れて悟くんは頼りになると発言するいろはの言葉に嘘偽りはなかったことを、改めて実感させられる一幕でありました。こむぎのそれとはまた趣の異なる独特な距離感。堪りませぬ。

こむぎといろはのようにパッと見では互いの関係性は良好で円満。だけど根っこの部分に色々な問題を抱えていたり難しい側面があったりというところは、一見して何も問題なく家庭円満に見える猫屋敷家の事情にも通じるものがあったようにも思える。夫婦仲や親子仲も良好だし両親も娘思いで、まゆのことを気遣っている様子も窺える。

表面的には何も問題はなさそうだが、やはり学校に関する話題を出した際のまゆの反応や、両親の発言などを鑑みるにやはり何らかの事情を抱えていることは察せられる。以前の描写からある程度の想像はしちゃうのだが、同じ人間同士であっても何事も円滑に上手く回るわけではないというところに、今回提示されている命題のようなものの意義深さを感じずにはいられないのです。やはり猫組のまゆとユキのメイン回も待ちきれない!