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ワッチャプリマジ! 第25話 「検証データFile 御芽河あうるの場合」 感想

ワッチャプリマジ! 第25話 「検証データFile 御芽河あうるの場合」 感想

規格外の天才プリマジスタ・御芽河あうる参戦!

あうるの本格的な参戦に伴いより浮き彫りになるコンセプトの衝突。チュッピとマナマナのパートナーとしての結びつき。仲間との絆によって育まれてきたまつり達のプリマジへのスタンスを真っ向から否定するあうるとの相反性は、ひいては人間界と魔法界の対立と乖離に直結しうる対立軸となり、今後プリマジを巡って起きる不穏な気配と激動の展開の幕開けを予感させてくれる。

プリマジは実験であり魔法を始めとする不確定な変数は不要と考える御芽河あうるは、主人公であり心がワチャワチャするようなプリマジを求める陽比野まつりと対照的な存在でもある。全てが計算されたプログラムのあうると、心の衝動に突き動かされるまつりがプリマジに求める物やスタンスは、それゆえに真逆であり裏を返さば自分にない思考と可能性を秘めた存在ということも出来るだろう。

あうるにとってはそれこそが不要な変数Xに他ならないかもしれないが、ある意味で全てが予定調和の世界に生きるあうるに変革をもたらすものにもなり得るのだろう。プリマジ以外のことにおいても突出した才能と家柄を併せ持つあうるにとって、既定路線に収まらない意外性や生き甲斐、そこから生じる楽しさを感じた時に、どのように変わっていくのかは見ものである。

あうるがまつりに惹かれ強い興味を持ったのもそこに起因してるでしょうし、半ば押しかける形で始まる同棲編がどうなっていくのか。いろいろな意味で先の展開が楽しみになる後半戦スタートでした。あうるに刺激される形でここのところ鳴りを潜めていたみゃむの攻撃性というか暴走する姿も久しぶりに味わえましたし、マナマナや魔法は不要と断言するあうるの存在は、みゃむにとっても見過ごせるものではないので。

まつりとみゃむの間で育まれた確固たる絆。そのパートナーとしての在り方を揺さぶり、綻びを生じさせるようなことになれば、それもまたチュッピとマナマナ、人間界と魔法界の縮図を表すものにもなるので。本当にみゃむ目線で受け入れる訳には到底いかないあうるの存在。そんな彼女がまつりとみゃむの関係性を乱す変数になっているのも皮肉が効いていると言えるかもしれません。

オメガコーポレーションへの殴り込みの破茶滅茶さも楽しかったですが、魔法で無理やり侵入したことを逆手に取られ証拠映像で脅され泣く泣くあうるの同棲を認めざるを得ない流れに持っていかれたのも、ある意味でマナマナが魔法を使えないチュッピならではの機械セキュリティーに破れたという見方も出来ると思うので。この同棲に至るまでの経緯もまたチュッピとマナマナの対立の構図を端的に表していたのかもですね。

ともあれあうるの参戦により新たな波風が立ち始めたまつりの周囲とプリマジ界。自分たちがプリマジに求めるコンセプトやプリマジに対するスタンスを真っ向から否定された上で、まつり達は自分たちの信じる道を貫き変数がもたらす計算では生み出されない奇跡を生み出すことが出来るのか。様々な思惑が絡み合う第三クール。激動の期間になりそうで楽しみでもあるが怖くもある。

あうるちゃんのプリマジデビューライブ!語り口調なライブの入りも独特だし、不要なものをとことん排したようなステージ構成にまず目を引かれてしまう。一方であうる自身の子供ならではの可愛さというか表情に残る幼さというか。まつり達よりも一回り小さい体と年齢的な低さも相まってか、決して無機質な感じにはなっておらずデジタルと人間味が絶妙なバランスで織り交ぜられたステージの仕上がりだったかな。

分類的にはいわゆるEDMに該当する楽曲イメージなのだろうか。直訳すると電子の踊る音楽でデジタルとプログラムのみで構成されるステージ。プログラムは裏切らない、魔法や人間の感情のような不確定要素は不要を信条とする御芽河あうるのライブとしては、イメージ的にもピッタリと言える。

今後あうるがまつり達の影響を受けて変わっていったとしても、その場の人々を踊らせる、ファンと双方向で作り出すという本来的な意義に収束することも出来るので。その変化が反映されるのか否かも楽しみなところですね。

あうるの物言いに対し寄ってたかって威圧する三人組の反応が面白すぎた。みゃむもチムムもみるきも揺るぎないというかこれでこそみたいな台詞を言い放っていて安心すらしてしまう。合宿編で連帯感が強まっていくに連れて皆のキレ芸というかイチャモンを付ける姿が減っていっていたので、このシーンからも日常パートに帰ってきたという実感を得られたところでした。