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ミュークルドリーミー 第47話 「ゆめちゃんの夢」 感想

ミュークルドリーミー 第47話 「ゆめちゃんの夢」 感想

大切な人を思う気持ちが悪夢に包まれた心に希望の光を灯す!

思いやり慈しむ心が悪夢を払拭する!優しき大団円の瞬間!

思いやりと慈しみの精神に溢れる一年目の実質最終回と言っても過言ではない内容に満ち足りる。女王様姉妹の確執に関しては、全ての発端になった出来事がアレなだけに、シリアス風味な展開でも結局たくあんに収束してしまうので、どこか締まりきらない緩さもあるんだけど、それでも互いに自作のたくあんを作る程に大好きな姉妹のことを思う気持ちという点は揺らがないのである。

この大切な人を思い慈しむ優しき心。やはりここに全て帰結するのだと思います。本作で一番の心の闇を抱えていた杉山先輩の窮地を救ったのも、彼のことを大切に思い心の底から案じる人たちの優しき気持ちがあればこそで。他の誰でもない。才能とか優劣ではなく杉山遼仁という一個人を慕い見てくれている百合先輩やゆに様たちがいる。

それを実感出来たからこそ杉山先輩の心も救済されたのだと思います。弟アッキーに対して憎しみがあったから闇堕ちしたのではなく、彼に対して引け目や劣等感を感じ誰も本当の自分を見てくれていない、誰にも必要とされていないのではという思いから心に闇を蓄積させていた面の方が強いものね。だからこそそうではないことを知ることが杉山先輩の心を救う上での鍵となるのだと。

杉山先輩と百合先輩にとって共通の思い出。シロツメクサ花言葉である「約束」や「私を思って」は、まさに二人の関係と根底にあるものを象徴していたよね。誰かとの比較ではなく自分自身を見てくれている人がいる。優しく思いやってくれる相手がいる。だからアッキーとの直接対峙とかを経るまでもなく、杉山先輩の心は救われたのだと思います。

だって決して弟に対して憎しみを持っていたわけではなく、劣等感を抱き距離を置いて壁を作っていたのは杉山先輩だけなのだから。その彼の心が比較する必要などなく自分は自分なんだと思えたのなら、それで全ては解決しているのである。そう思わせてくれた百合先輩やゆに様たちの存在が大きく尊いのであり、彼女たちが傍にいてくれることが何よりも大事なことなのだ。

思いやりに関してはゆめにしてもそうだよね。ドリーミーストーンを全て集めたご褒美。なんでも一つ願い事が叶う願い事を、自分のためではなく大切な友人たちの記憶を取り戻すために迷わず使う。大好きで大切な人を思い慈しむ精神が悪夢の力を払拭する一番の力になっている。人が人を思う貴さに満ちたミュークルドリーミーの優しき世界観がやはり大好き。

ということで一年目の集大成的となる内容でしたが、ゆに様たちのご主人を思う熱い気持ちに触れられたのも嬉しかったし、カオスに満ちたプチトマトマン回やバレンタイン回で描かれていた夢から現実を侵食する要素を逆手に取る伏線の回収等々。女王様姉妹の煩雑さを感じさせるテンポの早い掛け合いとは裏腹に、全体の構成面での丁寧さも垣間見えた内容だったんじゃないかと思います。

やっぱり最後は大団円でハッピーエンド!年度が変わる前に各キャラの精神性の成熟や成長を感じられる回でした。次回はみっくすへの橋渡しを行う回になりそうですが、無印の物語をどのように締めるのか最後まで注視していきたい。

おやびんと部下ではなくこれからは互いを思い合う友達に

やっぱり今回は杉山先輩とゆに様たちのやり取りが最高すぎましたわ。これからはおやびんと部下ではなく一個人の杉山遼仁として接し友達としての関係を育んでいく。頭ポンポンは親愛の情の表れであり、それで杉山先輩とゆに様たちが通じ合い満たされている光景を見て感無量なのです。

地上に落ちてきても誰にも見向きもされず長らく放置されていたゆに様の境遇。優秀過ぎる弟ばかりが注目され誰にも見てもらえていないのではと心に鬱屈とした感情と闇を蓄積させていた杉山先輩の境遇。それを思うと孤独を味わった二人がね。今目の前にいる大切な相手が自分を思い見てくれていると。そう確信させてくれる相手がいることの何と喜ばしく尊いことかとね。

それを実感出来る現実の喜びに満たされるのである。杉山先輩の心の中では区切りが付いた感もあるし上でも書いた通りなんだけど、みっくすに行く前に今の杉山先輩がアッキーと相対したときに、どんな反応をするのかは気になるので次週その辺りのところに少し触れてくれたらいいが…。今後のゆに様たちの身の振り方も含めて注目したい。多分一番の見せ場になるんじゃないかな~。

大人の階段を一歩登った我らが主人公ゆめちゃん

少し前からゆめちゃんの中で杉山先輩に対する気持ちに区切りを付ける兆候は見受けられていたが、今回の杉山先輩と百合先輩の間にある硬い絆や割って入れない特別な関係性を目の当たりにしたら一区切り付けざるを得ないところはやはりある。それでも決して悲観的なものではなく、この一年の間に自分を育み大切なものを満たしてくれた前向きな姿勢で踏ん切りをつけているのが良いよね。

初恋は実らなかったかもしれないが後ろ向きになる必要は全くなく。誰かを大切に思う気持ちの尊さを知り、自分の心を育むものとしていることが肝要なのかなと。大切な人を思い思われることで人の内面は成熟し自己を確立することが出来る。この一年の出来事と向き合い振り返るにあたって、これ以上にない気持ちの区切りの付け方だったんじゃないかなと。

現実でも異例中の異例だった激動の一年。ミュークルドリーミーが始まって間もなく一年経つという事実に驚くのだが、これからも明るく楽しく元気よくで皆を引っ張るゆめちゃんで在り続けて欲しい。一番近くにいる大切な人の存在も含めて、みっくすで更に成長した姿を見せてくれることを期待しているよ!