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ひみつのアイプリ 第36話 「ひみつのプリうさ」 感想

ひみつのアイプリ 第36話 「ひみつのプリうさ」 感想

ちゃむちゃむ可愛い田村鈴夢(ちゃいむ)の意外な秘密!

ひまりとみつきのクラスメイトにして人気モデルでもある鈴夢との交友により改めて見えてくる大切なことと核心部分に触れるかもしれない意外な事実。隠し事が直ぐに分かるくらい根が素直な鈴夢のキャラ造形や、可愛らしいプリうさが軸に来てるので、それらの要素を愛でるだけでも楽しいし和んでしまいそうになるのですが、随所でメッセージ性に富んだ要素が散りばめられている回でもあって。

アイプリとモデル。畑は違えども見ている人や応援してくれる人を楽しませたい。盛り上げたいという点においては似通っているところがあり、そこに向けて何かを発信する立場という意味でも共通項があって。だからこそ好きなものを好きと素直に言えるひまりと、ファンの期待を裏切りイメージを損なうことを恐れるあまり、好きなものを好きだと素直に公言出来ずにいる鈴夢の対照性も浮き彫りになる。

勇気を出せずに立ち止まっている鈴夢の背中を後押しし、彼女に勇気を与えられるようなライブを行うことは、アイプリの本懐を遂げるものであるのと同時に、自分の伝えたいことを素直に伝えることの大切さを改めて提示してくれている。その役を担ったのが登場当初は感情表現に乏しく、他者に自分の気持ちを伝えることが不得手であったつむぎというのが感慨深い。

自分が好きなものを否定されることは怖いことだし、それでイメージを損ない人が離れることも怖いこと。でも、自分が好きなものを好きである事実を否定するのは苦しいことで、故に板挟みになり鬱屈した感情を抱きながら悶々とした日々を過ごしている人は大なり小なり大勢いるのだと思う。

だからこそアイプリやモデルのような影響力のある人が、勇気を出し先陣を切ってそれを発信してくれたらどれほど頼もしいかということで。流行の最先端や人気のあるものを追うのも一つの道だが、古いものでも自分が発信者となってムーブメントを巻き起こせたなら、それはそれでとても素晴らしいことだし自分が好きなものを世に広めた充足感や、上述の心苦しさから開放された爽快感をも得られる。

勇気とプリうさを通じて広がりを得たもの。そこからひまりの過去とつむぎとムギちゃんの繋がりに持っていった構成の妙もあって、横軸と縦軸の繋がりや影響を受けて変化していく様が目に見える形で分かりやすく広がっていったのも良かったなと思えたところです。出来ないことが出来るようになる秘密の合言葉。幼少期ひまりとムギちゃんに端を発した勇気が、今こういう形で鈴夢の世界を広げてくれたのが素敵。

今回が本格的な初登場になった鈴夢のキャラクターも良かったし、今後も定期的にひまりやみつき達と絡むところを見てみたいという思いに駆られる。願わくばアイプリデビューしてくれたらと思わずにはいられないのだが流石にそれは高望みが過ぎるというものか。ともあれ結心などと同様に、名前ありのクラスメイトとの交流回によって、物語や世界観の広がりを感じられるような日常回でした。

ひまりの「友達を1万人作る」という当初の目標を叶えるべく、引っ込み思案だった彼女がアイプリの活動とは直接関係しなくともリアルの方で自発的に動いて関わりを持とうとしていたのも印象的で。グランプリとかよりこういう日常回や各々のちょっとしたヒミツに迫っている回のほうが、アイプリの持ち味を発揮出来ているのではと感じる今日この頃なのです。

幼少期のひまりが話していたムギちゃんが喋れるようになった意外な真実!ひまりの記憶違いとか都合の良い妄想とかではなく、ひまりの父親が何やらチップのようなものを埋め込んだことで話せるようになった経緯が、今回始めて明らかにされましたね。

しかし、気が付いたときにはムギちゃんは喋れなくなっていて、そう出来るようにした父親をしても原因が分からないままということも新たに判明して。AI的な要素を組み入れたことで喋るようになったプリうさ。幼少期のひまりが発していたフレーズを、今違うところで用いているつむぎ。そして、ひまりに対しては特別な思い入れを持っていることを伺わせる彼女の反応等々。

妄想を広げる余地は多分にある。タイトルのアイプリにはAIプリ的な意味合いも込められているのかなとか思わないでもないですが、アイプリバース内で進行している異変のことも込みで鈴風つむぎの誕生とムギちゃんにどのような関わりがあってそうなったのか。その辺りも気にしつつ今後の推移を見守っていきたいところです。