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魔法つかいプリキュア!!~MIRAI DAYS~ 第6話 「真の目的」 感想

魔法つかいプリキュア!!~MIRAI DAYS~ 第6話 「真の目的」 感想

大切な人と共に過ごしたあの頃に戻りたいという純粋な願い。

みらい達が見た破滅のビジョンが意味するところ。アイルの真の目的。今まで断片的に描かれてきたそれらの要素が一つに結実する。物語的にも大きな転機を迎える回となりましたが、アイルの語る目的=彼の願いがみらい達にとっても否定しがたい一種の共感を覚えるものであるからこそ、性質的にも厄介でありプリキュア側が彼の行いを止めきれなかった要因にもなっていたと思います。

過去・現在・未来。誰の身にも等しく流れる時間の概念。その止めることの叶わない大きな流れの中で、様々な記憶や思い出が蓄積されていくことで人は育まれる。その中には楽しい出来事もあれば悲しい出来事もあり、全てをひっくるめて今の自分というものが確立されているものだが、誰しもが悲しい思いはしたくないし楽しかった時間を喪失して寂しい思いに囚われたくないと思うもの。

それは人の性でもあり生きている中で誰しもが一度は味わう感情。衰えたくない、失いたくない。前回の感想でも書いたところなのですが、時の流れは止められないし現実を受け止め今を生きていくしかないと皆が自覚している。それでもなお人は想起せずにはいられないのです。あの頃に戻りたい。この楽しい時間がいつまでも続いて欲しい。このまま時が止まってくれたら…と。

叶わぬと知りつつも願わずにはいられない。作中では主にみらいの回想を通してそれが仄めかされていましたが、前作の終盤でリコやはーちゃんとの別離、モフルンとの直接的な意思の疎通が不可能になったことで、みらいが長きに渡って人知れず味わうことになっていた孤独感や寂しさ。転じてそこから生じる無意識的な過去への回帰への渇望。根源的な欲求に連なる願い。

断片的に見せられるみらいの在りし日の情景を通し、視聴者目線で見ても「あの頃に戻りたい」という純粋な願いが悪いものではなく、誰の身にも起こり得る尊きものとして描かれることで、それは一種の共感を呼び起こし同時に迷いや惑いを生み出す要因たり得ている。それもアイルの目論見の一つではあったのですが、他ならぬ自分自身がその願いを抱いてしまうからこそ彼の願いを否定しきれない。

そして、みらいだけでなくリコもまたはーちゃんの件を通してそれを突きつけられている。大切なはーちゃんにまた会いたい。もし、はーちゃんの身に何かが起こり消滅して二度と会えないとしたら。そんな未来を仄めかされた時に、現実を突きつけられた時に、それをなかったことにしたいとか皆が平穏無事に暮らしていた頃に戻りたいと願うことは悪いことなのか?

自分自身がそう思ってしまったからこそ、即座にそれを否定することは難しいのである。闇の魔法つかいやデウスマストの眷属のように、人間や世界の消滅を願い力で以てそれを実行しようとするのを止めることは出来るのです。それは共感できないことで間違っていると思えるからこそ、かつてのみらいやリコは強大な彼らやムホウの力に敢然と立ち向かうことが出来たのだ。

でも、現在二人が直面しているこれは事情も心情的にも全く異なるもの。失った大切な人に再び出会いたい。楽しかったあの頃の時間を取り戻したい。アイルの願い=魔法は他でもない自分たち自身が願ってしまったことと同じ類のものであり、それを否定することは自分自身を否定し、はーちゃんやひーちゃんの喪失を受け容れることと同義になりかねないものでもあるからだ。

アイルの願い=目的が性質が悪いと言ったのはそういうことで。自分たちですら願ってしまうこともある過去への妄執を否定するのは正しいことなのか。まして、彼の在りし日の情景に断片的とは言え触れてしまった今、それを跳ね除けることは尚更難しい。願い=魔法が根底にある本作にあって、みらいやリコと対極にある願望ではなく、彼女らと同じ側にいる願いを持つ敵の厄介さを改めて思い知った次第です。

形はどうあれ念願のはーちゃんとの再会は叶ったのにこの後味の悪さ。それはひーちゃんを喪失したからだけではなく、分かりやすい善悪や是非で差し迫る問題や敵対者を切り分けられないところもあるだろう。例えはーちゃんが戻ってきたとしても、ひーちゃんも取り戻したい。救いたいと願えば、それ即ちアイルの願いに通じてしまいかねない。

やりきれない気持ちを抱えるみらいやリコの反応ももっともなのですが、二人に立ちはだかる厄介極まる問題と敵を前にして、魔法つかいプリキュアはどのような答えを導き出し未来への道筋を示してくれるのか。物語も折り返し地点には来たけど未だ見えぬ終着点の形。不確定な未来がどのようなものになっていくのか。要注目!

みらいとリコが未来視で見た情景を避ける為に、あえて使うことを封じたサファイアスタイルもやむを得ない事態を前に遂に解禁!これから何が起こるかを見ているからこその戦い方と対策でしたが、それすらも定められた未来へと至る道程の一つに過ぎなかったということは厳しい現実。でも、そういう対策を講じて事に当たろうとするのは本流のプリキュアの方ではあまり見ない描写な気もして新鮮なところもありました。

少し話題が逸れましたが、まほプリの基本フォーム四つの中でもサファイアスタイルは肌面積が大きく露出も一番多いということで扇情的。と同時に高貴な美しさも損なわれることはなく、そのバランスの良さが良いなと改めて思える綺麗な変身バンクでした。

王道の可愛さのピンクダイヤ、情熱と物理のルビー、そしてポップな可愛さで年齢的なアンバランスさを感じさせるトパーズ。それらに対し大人びた意匠を凝らした面もあるサファイアは、大人になった今のみらいとリコにある意味一番似合っているスタイルと言うことも出来るかもしれませんね。

台詞はなかったけど今のソルシエール先生の姿を見られただけでもう涙が…。それはともかくソルシエールの存在は、時間をテーマに据える本作の意義を思い返すに殊更印象深いものがあります。彼女もまた大切な恩師との別離を機に人生が狂い、二度と取り戻すことは叶わない過去の妄執に囚われ振り回されていた経緯があるので。姿だけとは言え今回の話で彼女を出した意味もやっぱりあるのだろうなと。

もう取り戻すことは叶わない、変えられない過去を受け止めた上で新たな未来を見据え魔法学校の教師になっている現在のソルシエール先生を思うにですね。映画のソルシエールさんも本作のテーマに通ずるものがあると改めて思わずにはいられないのです。今後台詞ありで出番があると個人的には嬉しい。