
誰にも止めることは出来ない時の流れにより各人にもたらされる喜びと寂寥。




人の成長は喜ばしいものであるし大人になって出来ることが増えれば嬉しいものである。しかし、それらは立場や見方が変われば物悲しく寂しいものへと転じることもあるもの。時間という概念が鍵になっている本作にあって、今回は殊更に誰にも止めることが出来ない時間経過がもたらす変化。それに伴う各人の反応が印象に残る回でもありました。
子供の頃は年を取るのは喜ばしく楽しいことであったはずなのに、大人になり加齢による老化を感じるようになればその限りではない。みらいの父・大吉やかの子お婆ちゃん、引退を仄めかすグスタフさんのように、出来ていたことが出来なくなっていくことは悲しいし、自分が成長したことで頼もしかったはずの大人たちの衰えを目の当たりにするのは、子供の側からしても一抹の寂しさを覚えるものである。
モフルンがツッコミを入れるとは思わなかったのですが、子どもがやれば微笑ましいぬいぐるみの連れ回しにしても、大人がそれをやると奇異の眼差しで見られることもある。短期間で肉体のみが急激に成長しているひーちゃんにしても、本来その成長は喜ばれるものであるはずが、あまりにも短期間であるが故に同様に奇異の眼差しで見られる一因となってしまっている。
今の姿では愛らしく見えるご飯を食べる未成熟な所作も、仮に見た目が更に大人になった状態でやれば見苦しいに転じてしまいかねない要因たり得るのである。みらい達からすればワクワクもんの同棲生活にしても、保護者の立場からすると娘の成長が喜ばしいという思いがある一方で、やはり心配で不安が尽きないという思いが沸き起こるものです。
コドモニナール回の回想で楽しかったと語るみらい達に対し、世話役になったモフルンは気苦労が絶えなかったことを追想していたのもそうですし、リコ先生の初めての授業に関する回想にしても、在りし日のリコの補習の情景と重ねて見ることで、同じ事象に対する見え方や印象が変わって見えるのです。かように今回は立場や視点による各人の受け取り方や相反する反応が随所に見受けられる構成になっていた。
嬉しいことや楽しいこと。寂しいことや悲しいこと。同じ事象に遭遇しながらも自分の年齢的な変化や立場の変化によって受け取り方や感じ方が変わってしまう。故に人はこう思ってしまうのである。時の流れは止められないし現実を受け止め今を生きていくしかない。それでもなおあの頃に回帰し戻りたい。この楽しい時間がいつまでも続いて欲しい。このまま時が止まってくれたら…。
誰もが一度はそう考え望んだことはあるだろう。叶わないと思いつつ願ってしまう。それもまた人の性であり根源的な欲求。そして、それを知りつつも諦めきれずに追い求めてしまった者。願い=魔法である本作において闇の魔法にその可能性を見出してしまったのがアイルなのである。不可能と思いながらも求めずにはいられない。衝動を抱き焦がれる気持ちに突き動かされる姿。
それは、みらいやリコたちプリキュア側のそれと何ら変わることのない姿勢ではないかと。そう見ることも出来るのではないかと思った次第です。予言に記された危機を回避すべく、闇の魔法に染まり道を踏み外したかつてのドクロクシー=クシーもそうでしたが、元は校長先生と同じ志と願いを抱きながらも対照的な未来を迎えてしまった彼らの末路を。その境遇とも重なって見える。
アイルの真の目的に関しては未だ不明瞭な部分もあるのですが、時間経過によるみらい達側の変化や反応を通して、アイルの内面にあるものやプリキュア側との共通性。単純な善悪や是非の問題ではなく彼の心の奥底にある願いを見なければいけないなと。その思いを新たにした次第です。
立場や見方が変われば受け取り方や印象も変わる。みらいだけでなくリコやモフルンも見た破滅のビジョン。ひーちゃんが取り込まれ魔法学校が崩壊しているように映る未来視がもたらす光景。それは本当にみらい達にとって悪いものなのか。アイルの真の目的も含めて大きな転機となりそうな次回のお話を楽しみに待ちたい。






夢にまで見たみらいとリコの同棲生活が現実のものになって感無量。生活に必要な家具の買い出しに出かけたりインフラに必要な契約をしたり。そして、思い通りにいかずに失敗して実家に出戻りして所在なさ気なところを見せてくれたり。初々しくも微笑ましい新たな家族の在り方が微笑ましくニマニマせずにはいられない。こういうのが見たかったのさ!
自分も一緒に暮らす気満々なのに、リコとひーちゃんだけ一緒に暮らして自分は一緒に住めないとリコに仄めかされたことに我慢ならない姿の大学生みらいが可愛すぎるし、初めてのお茶碗にときめき無邪気に喜ぶモフルンが愛らしすぎて堪らない。
極めつけに同棲生活を送る部屋の家具の配置がですね。このシングルベッドでみらリコひーモフの四人が一緒になって寝るのかと思うと妄想が無限に広がって止まらなくなってしまう。やっぱり公式が最大手。アイルとの一件に決着が付いたら、みらリコひーモフの四人とはーちゃんも加えた平和なまほプリ日常編をやってくれても…。そう思えてしまうくらいの生活感が心地よかった同棲開始パートでした。




大学生でぬいぐるみとお出かけするのは変わって見えるモフ。みらいが大学生設定になったこともあって視聴者的にもネタにしたいけど触れてはいけないデリケートな部分な気もする点を、まさか愛らしいマスコットであるモフルン自身が言及して指摘してくるとは夢にも思わず。それに対してみらいが「全然良いでしょ。私は一緒にいたいから」と迷うことなく即答してくれるのが素敵。
上述した立場や見方を変えれば印象や受け取り方が変わるのお話ではないのですが、他の人から見たら変わって見えることであっても、みらいにとっては生まれた時から一緒にいるモフルンとお出かけすることはワクワクもんで楽しいこと。それは何があっても揺らがないし、一度は魔法の力を失って喋れなくなったモフルンと今こうして再びお話しながら同じ目線で同じ物事を体験出来る喜びを。
失ったはずの在りし日の過去の光景を。二度と手に入れられない失った時間を、その奇跡をこうして噛み締めていると思うと尊さも増すというもの。同時に時間経過によって色んなものが変わっていく現在を。変わらないものはないと見せられている中にあって、朝日奈みらいの本質的な部分や魅力は変わらないことを感じられたことが個人的にとても嬉しく思えた一幕でもありました。いつまでもこんなみらいとモフルンの姿を見ていたい。それが私の願い。